長期上昇相場こそが個人投資家にとって最大のチャンス

株式投資ではデイトレードをはじめとした短期売買でも利益を得ることは可能です。しかし、短期売買で成果を出すのは皆さんが思っているよりも難しく、高いテクニックとセンスが必要です。一般の個人投資家が一度にまとまった利益を得ることができる最大の機会は、やはり「長期上昇相場」です。

直近では、2003年4月の大底から2006年初めのライブドア・ショックまで、3年弱の長期上昇相場がありました(日経平均株価の高値は2007年2月ですが、大部分の個別銘柄は2006年初めに高値をつけています)。この時は簡単に資産を2倍にすることができ、資産を10倍、100倍にまで増やす個人投資家も大勢現れました。

長期上昇相場の初期段階で買い仕込むには

しかし、いくら長期上昇相場といっても、その終盤に買ったのでは利益を得ることができないどころか、下手をするとその後の下落で多額の含み損を抱えてしまうことになりかねません。

そこで、日経平均株価が7月に入り震災後の戻り高値を更新し、長期上昇相場入りの可能性も見えてきたこの機に、今までのコラムの復習も兼ねて、いかにして長期上昇相場の初期段階で買い仕込むかを考えてみたいと思います。

個人投資家の誰もが簡単に実践できるのが、株価と移動平均線との組み合わせで買いタイミングを把握する方法です。

具体的には、日足チャートで株価が25日移動平均線を上回ったときが重要な買い時です。このとき25日移動平均線自体も上向きになっていることが必要です。

もし、株価が25日移動平均線を上回っても、移動平均線自体が下向きだと、多少株価が反発した後、再び下落してしまうことが結構あるからです。

移動平均線の向きは、株価の先行きの方向性を示していると思ってください。

実際の株価チャートで買いタイミングを確認

実際の株価チャートに照らし合わせてみましょう。

(1)の箇所では、株価が25日移動平均線を超えていますが、25日移動平均線自体が下向きのままです。損切り価格をしっかり設定するのであれば、ここで買ってもよいですが、あまり無理をするポイントではありません。

これに対して(2)の箇所は、株価が25日移動平均線を超え、さらに25日移動平均線自体も上向きに変化しています。したがって、絶好の買いポイントとなります。

筆者個人としては上記(2)が最強の底値圏買いタイミングと考えていますが、「そのタイミングで買いそびれてしまった」という場合もあるでしょう。そこで、(2)以外の買い時も示しておきます。

1つはA(一番底形成後の高値)を超えた直後の(3)のタイミングです。もう1つは、Aを超えて上昇したあとの押し目(4)です。

さらにそこから上昇を続けて本格的な上昇相場となる場合は、押し目買いが基本となりますが、底値からの上昇率がそれほど高くなければ押し目を待たずに飛び乗ってしまうのも手です。

日足チャートだけでなく週足・月足チャートでも適用可能

なお、ここまでの説明では基本的に「日足チャート+25日移動平均線」を用いて買い時を見極めていますが、これを「週足チャート+13週移動平均線」や「月足チャート+12カ月移動平均線」に置き換えることも可能です。毎日株価の動きを逐次チェックする時間がない、という方は、日足でなく週足チャートを用いるのも悪くありません。

ただし週足や月足を使う場合は、日足に比べて買い時のタイミングが遅く出る(つまり日足の場合よりも高い株価で買うことになる)のと、株価と移動平均線の関係を用いた売却基準を用いて損切りを実行すると損失率が非常に大きくなってしまう恐れがある点には注意が必要です(後者の注意点については次回ご説明します)。

2003年中ごろ~2006年初頭まで続いた長期上昇相場では、多くの個別銘柄が大きく上昇しました。それから5年以上経過し、いつ長期上昇相場が再びスタートしてもおかしくありません。大きな利益を得る大チャンスとなる長期上昇相場を逃さないよう、定期的な株価チャートのチェックは怠らないようにしたいものです。