膠着相場では銘柄選びとその後の投資行動がカギ

3月11日の大震災による急落のあとのリバウンドを経て、日経平均株価は若干下落含みの膠着相場という状況です。

しかし、個別銘柄に目を転じれば、銘柄によって本当に株価の動きがまちまちであることに気がつきます。

大局的な上昇相場では、ほとんどの銘柄が上昇しますから、極端な話、株さえ保有していれば利益を得ることができます。一方、大局的な下落相場では、ほとんどの銘柄が下落するため、下降トレンドが続く限り手を出さない、という戦略がとれます。このような相場環境では対応策がはっきりしている分、手がけやすいといえます。

ところが、日経平均株価が上にも下にも行かない横ばい・膠着相場では、どの銘柄へ投資するかによって投資成績が雲泥の差となってしまいます。

そこで今回は、各個別銘柄ごとに、筆者であればどのような投資戦略をたてるかをご紹介したいと思います。

上昇トレンドが続く限りは保有で問題なし

まず、ウエストホールディングス(1407)のチャートを見てみましょう(日足。以下も同様)。3月下旬に上昇トレンド入り(株価が25日移動平均線より上+25日移動平均線自体が上昇)してからは、25日移動平均線はずっと上昇していますから、基本的に保有を続けて問題ないといえます。5月中旬に株価が移動平均線を下回ったときがありましたが、慎重を期す場合はその時点で一旦売却し、その後再び上昇トレンドの2要件を確認できた段階で買い直せばよいでしょう。

最も望ましい買いタイミングは、株価が上昇トレンド入りした直後です。でも、上昇トレンドにある限りはいつ買っても間違いではありません。上昇トレンド途中で買う場合はできるだけ押し目買いを心がけましょう。

ウエストホールディングス(1407)の日足チャート


(出所:楽天証券マーケットスピード)

上昇トレンド終焉はとりあえず一旦売却が吉

次に、日本風力開発(2766)です。ウエストホールディングスと同様、3月下旬に上昇トレンド入りしましたが、5月下旬に株価が25日移動平均線を割り込み、その後下降トレンドに転換してしまっています。

上昇トレンドの間は買って保有してよいものの、株価が25日移動平均線を割り込んだ時点で売却(損切り含む)をすべきです。株価と25日移動平均線との乖離が大きな場合は、株価が5日移動平均線を割りこんだ5月中旬に持ち株の一部または全部を売却するのも一法です。

日本風力開発(2766)の日足チャート


(出所:楽天証券マーケットスピード)

下降トレンド継続銘柄は買い見送り

ソニー(6758)のチャートをご覧下さい。上記2銘柄とは対照的に、一貫して下降トレンド(株価が25日移動平均線の下方にあり、25日移動平均線自体も下落)にあることがお分かりいただけるでしょうか。こうした株価の動きをしている時に中途半端なタイミングで手を出すと、あっという間に損失が膨らんでしまいます。このような銘柄は下降トレンドが続く限り買いは見送り、上昇トレンドへの転換を待ってから買い出動するのがセオリーです。

ソニー(6758)の日足チャート


(出所:楽天証券マーケットスピード)

下降トレンド終了の可能性がみえてきたら要注目

最後にマネックスグループ(8698)をみてみましょう。これもソニー同様下降トレンドが続いていますが、5月下旬になり株価が25日移動平均線の上方に顔を出すなど、変化の兆しも伺えます。現時点では上昇トレンド入りには至っていないため、買いタイミングとはなりませんが、近いうちに上昇トレンド入りする可能性も考えられるため、継続的にウォッチしていくことが重要です。

マネックスグループ(8698)の日足チャート


(出所:楽天証券マーケットスピード)

このように膠着相場では、各個別銘柄ごとに株価のトレンドを注視して投資戦略をたてていくことが重要です。

本コラム中の各個別銘柄に関する記述は2011年6月10日時点のものです。また各個別銘柄に対する記述は筆者が株価チャートおよび移動平均線の動向から個人的に述べているものに過ぎず、読者の方等に対して各銘柄に対する売買の推奨もしくは非推奨を行っているものではありません。投資判断は自己責任にてお願いいたします。