3年後の「大躍進企業」・その結果は?

ゴールデンウィーク中に古い雑誌を整理していると、2006年の夏に発刊された雑誌に「3年後に大躍進が見込まれる企業ランキング」という特集がありました。ランキング上位にはソフトバンク、ヤフー、楽天が並び、確かにこれらの企業は好調な業績の伸びをみせました。その一方で、同様に上位にランキングしていた日本板硝子(5202)とレオパレス21(8848)の両社は、その後業績が大幅に悪化、株価も大きく下落してしまいました。日本板硝子は当時の株価から4分の1に、レオパレス21に至っては40分の1まで下落しました。

また、2008年初頭の新聞に目を通すと、日経平均株価が2008年中に18,000円~19,000円へ上昇するという専門家の予想が掲載されていました。しかし実際は、リーマンショックに端を発した世界同時株安により、7,000円割れにまで下落したのは記憶に新しいところです。

過去の雑誌や新聞に書かれた「将来を予想する」記事を今になって振り返ってみると、予想通りの結果になっていることは非常に少ないことが分かります。やはり将来はそう簡単には予想できないのです。

1年後の業績さえ見通せない企業が続出

3月決算企業の決算発表が佳境を迎えていますが、来期の業績見通しを公表していない企業が増加しているように思えます。業績見通しは投資家が銘柄選択や売り・買いの判断基準とするために重要な情報の1つですが、これを企業側が発表しないということは、経営者がたった1年後の先行きでさえを予測できないことを意味します。今回は、東日本大震災が企業業績に与える影響が把握できないという特殊要因もあるとは思いますが、そうでなくとも以前から業績見通しを公表しない企業が増える傾向にありました。

当たらない将来の予測を信じるより株価の動きを信じよう

このように、将来を予測するのは非常に難しいことが分かります。そのため、私たち個人投資家は、仮に将来の予測を踏まえて銘柄選択や投資行動を実行したとしても、その後の臨機応変な対応が求められます。

もし雑誌や新聞、その他の情報により今後好業績・高成長が期待できる企業を見つけてそれに投資したとしても、株価が予想や期待に反する動き、つまり上昇を見込んで買ったにも関わらず株価が下落する動きを見せることが少なくありません。そんなとき、雑誌や新聞の予想をかたくなに信じて株価が間違っていると考えるよりも、実は株価の動きが正しい、株価は真の将来を暗示している、と考えて行動した方が失敗ははるかに少なくなります。

株価チャートでトレンドを確認し大失敗を防ぐ

そこで活用したいのが株価チャートです。例え好業績の企業であっても、高成長が見込まれる企業であっても、株価が割安な企業であっても、株価チャートから株価のトレンドを見極め、下降トレンドになったら売却ないし損切り、再び上昇トレンドになれば改めて買い直すようにすれば大失敗は防げます。

上で挙げた日本板硝子やレオパレス21も、雑誌掲載時に買って現時点まで持ち続けていれば多額の含み損を抱える結果となってしまいますが、もし株価チャートをチェックして下降トレンドに転換したところで売っていれば、損失ははるかに少なく済んだはずです。

株価は真実を示す、ゆえに株価には逆らってはならない……筆者が実践で学んだ事実です。