以前ご紹介した上昇トレンドへの転換のタイミングを見計らって新規買いする方法は、昨年11月から続いた上昇局面でも、上昇の初期段階で買えることができ非常に効果的なものでした。ただ、この方法は、底値からの立ち上がりの局面でしか使えないのが難点です。

そのため、株価が底値から反発し、上昇トレンド入りした後は、別のタイミングで買い時を探ることになります。その代表的なものが「上抜け買い」と「押し目買い」の2つです。
今回は、「上抜け買い」につき、その活用例や注意点をご説明したいと思います。

「上抜け買い」とはなにか

「上抜け買い」とは、株価が直近の高値を「上」に「抜け」たら「買い」、という方法で、上昇トレンド途中にある銘柄を新規買いするときのセオリーの1つです。直近高値を更新するということは、上昇トレンドが継続しているサインとなるからです。

もし、上昇を続けていた株価が反落したのちに再び上昇したものの直近の高値を超えられなければ、やがて力尽きて株価が下がってしまい、下降トレンド入りしてしまう可能性が高まります。

したがって、「直近高値を超えた=上昇トレンドが続いている」ことを確認して買いに入るのが重要なポイントとなるのです。

高値連続更新中の飛び乗り買いは要注意

できるだけ安く買うことが株式投資で利益を得る原則ですから、「上抜け買い」をするときも、上昇トレンド継続が確認できた直後、つまり直近高値更新直後に新規買いするのが最も安全性が高いといえます。

直近高値を更新したらすぐに買うことができるように、ご自身が注目している銘柄の株価の動きはこまめにチェックしておくとよいでしょう。

逆に、毎日(毎週)のように高値を更新し続け、株価がかなり上昇した時点で新規買いすることは、いくら上昇トレンド途中での買いとはいえ、その後の株価下落リスクを考慮すると慎重になるべきです。

なお、「上抜け買い」をするときには、上昇トレンド入りしてからの経過期間が短く、底値や直近の押し目底からの上昇率がまだ高くない銘柄の方が、すでに株価が大きく上昇した銘柄よりもリスクは小さいといえます。

損切りはしっかりと

直近高値更新は上昇トレンド継続の重要なサインではあるものの、上昇トレンドがいつまでも続くわけではありません。また、直近高値更新したものの上値が伸びずすぐ下落してしまうこともあります。このように「上抜け買い」をした後に株価が下がってしまう可能性も当然ありますから、損切りもしっかりと実行する必要があります。

特に、「上抜け買い」では損切りの重要性が高まります。確かに直近高値更新は上昇トレンドの継続を意味するものの、株価がすでに大きく上昇していることも多いからです。もしそこから株価が大きく下落したときに、損切りをせずに放置しておくと、損失が膨らみ大ダメージを受けかねません。

「上抜け買い」の損切りは、「直近安値割れ」を損切り価格に設定できないことが多いため、若干難しくなります。例えば直近安値を下回ったら損切り、ということにすると、直近高値超えの時点で直近安値よりかなり株価が上昇しているため、買い値から20%、30%も下に直近安値が位置していることもあります。実現損が20%、30%にもなるのは避けるべきです。

したがって、抜け買いを実施した場合の損切り価格は、「買い値から10%下回ったら損切り」など、買い値を基準とせざるを得ないことがどうしても多くなります。なお、移動平均線(日足チャートであれば25日移動平均線、週足チャートであれば13週移動平均線)と買値とが大きく離れていないならば、株価が移動平均線を割れたら損切り、という方法でも良いと思います。

あらかじめ逆指値注文を入れておくのが有効

この「上抜け買い」は、特に一旦上がり始めると短期間で大きく上昇することの多い低位株(株価100円前後の銘柄)や新興市場銘柄には有効です。

一方で、こうした銘柄はたった1日目をそらしただけで株価が直近高値を超えて大きく上昇してしまい、新規買いの絶好のチャンスを逸してしまうこともあります。

そこで、こうした銘柄にはあらかじめ直近高値を超えたら成行で買うとする逆指値注文を入れておくとよいでしょう。

例えば最近大きく上昇した銘柄の1つであるアクロディア(3823)は、昨年12月16日には11月26日につけた直近高値47,650円を超え、終値は51,000円でした。もし、逆指値注文を入れずに、直近高値超えを確認できた翌日12月17日の寄り付きで買うと、52,800円で買えたことになります。しかし、事前に直近高値47,650円を50円上回る価格の47,700円になったら成行で買うとする逆指値注文を入れておけば、47,700円近辺で買うことができるのです。上記の52,800円と比べると、10%も安く買えることになります。買うタイミングが1日ずれるだけでこんなに買値が大きく異なることもあるのですから、逆指値注文を有効活用しない手はありません。


(出所:株式会社マーケットチェッカー提供 マーケットチェッカー2