前回、「成長株」の探し方として、売上高と当期純利益が毎年順調に増加し、今後もその流れが続く可能性が高い企業をみつけるのがポイントであることをご説明しました。
今回はそこからさらに1歩進んで、より株価上昇が期待できる「成長株」の探し方をご紹介したいと思います。
できるだけ知名度が低い「成長株」を探し出すのがコツ
「成長株」の中でも特に狙い目となるのは、成長が著しいものの、知名度がまだ低く、企業規模も小さく、その高成長に多くの投資家が気づいていない会社です。そうした会社はまだ高成長が正当に評価されておらず、株価も低水準にとどまっていることが多いからです。知名度が高くなればなるほど、高成長を多くの投資家が知ることになり、その結果株価は将来の高成長を織り込んで高くなっていきます。
例えば、DeNA、グリー、ミクシィといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を展開する会社は、今では各社ともテレビCMを数多く打っており、知名度はかなり高くなっています。
一方、スタートトゥデイが展開するZOZOTOWNも、最近では広告やテレビCMを良く見かけるようになったものの1年前はほとんど見かけませんでした。さすがに最近は知名度が急上昇しているものの、1年前はSNS3社より知名度はかなり低かったものと想像できます。
ここで、上記各社の2010年の株価の騰落状況をみてみましょう。
銘柄 | 2009年末株価 | 2010年末株価 | 騰落率 |
---|---|---|---|
DeNA(2432) | 1,833円 | 2,912円 | +58.9% |
グリー(3632) | 1,144円 | 1,033円 | △9.7% |
ミクシィ(2121) | 732,000円 | 442,000円 | △39.6% |
スタートトゥデイ(3092) | 170,500円 | 324,500円 | +90.3% |
最も知名度が低かったスタートトゥデイが最も高い株価上昇率だった点は大いに注目すべき点でしょう。
DeNAの株価上昇率も結構高いですが、これは2011年3月期の売上高・利益が前期比2倍以上と驚異的な増加が予想されていることによるものです。ただDeNAは、業績鈍化懸念から2008年~2009年にかけて大きく売られたので、その反動高という側面もあるかも知れません。
グリーは、2011年6月期の売上高・利益が前期比大幅増加予想であるにもかかわらず、1年間で株価が約1割下落しました。
そして、成長鈍化が以前から懸念されているミクシィに至っては、1年間で株価が約4割も下落してしまいました。
知名度の高い成長株は成長鈍化で株価急落リスクも
このように、知名度が十分に高くなった会社は、いくら成長性が高くとも、それを多くの投資家が認識しており、その結果、株価もすでに今後の成長性を反映した高いものになっている可能性があります。そして、「知名度が十分高い=企業の規模もかなり大きくなっている」といえますので、企業規模が小さかったときのようにそれこそ倍々ゲームで売上高や利益が伸びる、というような超高成長はまず期待できません。
もちろん、投資家が現時点で思っている以上の成長を今後見せるなどの理由で、さらに株価が大きく上昇する可能性もありますが、高値から5分の1まで株価が下落してしまったミクシィのように、ひとたび成長の鈍化が顕在化すれば、逆に株価の大きな下落を招くこともありますので注意してください。
知名度の低い「成長株」は家族が知っている?
まだ知名度の低い「成長株」を見つけるには、会社四季報で探すのもよいですが、お子様やご主人、奥様などに最近流行っていることや売れている商品などを聞いてみるのも有効です。そうすれば、他の投資家よりも早く、将来の成長が期待できる会社を見つけることができるかも知れません。特に、上記のSNS関連銘柄や、スタートトゥデイなど、最近では、若者の間で支持を受けている商品やサービスを提供する会社の株が大きく上昇することが多いように感じますので、若者の流行や生活スタイルに敏感になることも重要です。筆者も、スタートトゥデイという会社を知ったときには株価は結構上昇しており、もっと早く知ることができていれば高成長の会社の株を安く買うことができたのに、と悔しい思いをしているところです。
「成長株」を買うのもタイミングがある
ただし、業績のよい会社を見つけたからといって、すぐその会社の株を買ってよいというものではありません。業績のよい会社であっても、株価は右肩上がりに上昇するわけではなく、上昇の時期と下落の時期を繰り返すものだからです。例えばグリーも2010年6月から11月まで株価は40%以上も下落しています。
また、いくら業績が良い会社でも、すでに買われすぎの水準まで株価が上昇していれば、それ以上の株価上昇は見込めないかもしれません。
そのため、「株価チャート」を使って、買ってもよいタイミングを見極めることが重要となります。本コラムでも繰り返しご説明しているとおり、「株価が下降トレンドの間はいくら好業績が期待できても買わない」のが最も重要です。そして株価が安値から何十倍にも上昇している銘柄も、大きな調整局面が近い将来に訪れるかもしれないため、できるだけ避けるのが無難です。どうしても買いたいという場合は、損切り価格を設定し、損切りを必ず実行するようにしてください
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