「お宝銘柄」は株主優待を含めた実質利回りで探す

株主優待の有無や優待の内容を銘柄選びの判断材料とする個人投資家も多いようです。会社四季報や日経会社情報の巻末には、株主優待実施企業と優待内容の一覧表が掲載されています。書店に行けば、株主優待を実施している企業やその優待内容が詳しく記されたガイドブックも売っています。
会社四季報の巻末には「株主優待を含めた実質高利回りランキング」というものが掲載されていて、2010年夏号では実質利回りトップはなんと2142%、それ以外にも、実質利回りが10%を超える企業がいくつも存在します。実質利回りが10%なら、株価がいくら下がったとしても、株主優待と配当金だけで10年で投資資金を回収することができるのですからかなり魅力的です。
ただし、この実質利回りは投資する株数により大きく変動しますし、そもそも株主優待が自分自身にとって本当に必要なもの、もしくは実際に利用可能なものであるかが重要です。こうした点に注意すれば、実質利回りの高い企業を銘柄選びの判断材料にするのも面白いでしょう。

株主優待の廃止による株価への影響は?

実は近年、株主優待を縮小・廃止する企業が増加しつつあることはご存知でしょうか? 個人投資家にとっては人気の株主優待も、法人投資家や機関投資家にとっては、株主優待の品を受け取ってもその対処に困ってしまう場合も少なくないようです。株主優待の充実より、例えば配当の増額など別の形で株主に報いて欲しいという要望もあるようで、それを受け企業の側も株主優待を縮小・廃止する動きが高まりつつあります。
では、株主優待を縮小・廃止した場合、株価にどのような影響が考えられるでしょうか? それは、株主優待の内容が魅力的で価値の高いものであればあるほど顕著であるといえます。
例えば小僧寿し本部(9973)は業績の低迷等を理由に、株主優待として実施していたグルメカードの配布を2009年より廃止することを2009年1月に発表しました。その後、株価はなんと発表からわずか1カ月で4分の1まで下落してしまったのです。
株主優待を実施するにも費用がかかります。特に業績の悪化が著しい企業においては、配当金が減額されたり無配になるのと同じように、株主優待の縮小・廃止がなされる可能性が高いこと、それにより株価にマイナスの影響を及ぼす恐れもあることは頭に入れておいてください。

あなたは株主優待に何を求めますか?

カゴメの株主優待が特に女性の個人投資家に人気です。カゴメは年2回、自社商品の詰め合わせを株主に贈呈しています。
これを年間利回りに換算すればせいぜい1~2%であり、筆者は株主優待をもってカゴメを投資対象とするつもりはありません。しかし、多くの個人投資家にとってカゴメは人気が高いようです。
あくまでも私見ですが、株主優待の有無やその内容で銘柄選びをする個人投資家は、株式投資を積極的な資産形成の手段というよりは、余裕資金で気楽に株式投資を楽しんでいるように感じます。だから仮にカゴメの株価が下がったとしても気にせず持ち続けていられるのだと思います。
したがって、純粋に余裕資金で株式投資を楽しみたい、投資銘柄が値下がりしてもそれほど気にならない、という個人投資家であれば、楽しみを増やすため、株主優待の有無やその内容を銘柄選びの材料として積極的に用いてもよいと思います。

株主優待実施銘柄といえども投資の基本は同じ

筆者は株式投資を資産形成の積極的な手段としてとらえています。株主優待の有無やその内容を投資銘柄の選択基準とすることはありませんし、株主優待実施銘柄だからといって株式投資の基本スタイルから外れた投資手法を用いることはありません。
もし皆さんが筆者と同じように、株式投資を資産形成の積極的な手段としてお考えだとしたら、株主優待実施銘柄であるかどうかに関係なく、投資の基本ルールに忠実に行動すべきです。
つまり、本コラムでも何度も申し上げているとおり、「株価が下降トレンドにある間は新規買いしない」、「損切りルールを設定してそれを確実に実行する」という点を遵守するようにしてください。
株主優待実施銘柄だから下げ相場にも強い、ということは決してありません。株主優待実施銘柄であっても株価が大きく下がることは当然あります。株主優待を理由に基本ルールを捻じ曲げた行動をすることは失敗の大きな要因になります。
株主優待の有無やその内容を投資銘柄の選択基準とすること自体は全く問題ありませんが、「株価の下落途中では買わない」「損切りを実行する」、この2つは守るようにしてください。

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