「まさか」の時の投資行動いかんで投資成果に大きく差がつく

日本株は、4月5日に日経平均株価が11,408円17銭の高値を付けた後下落に転じました。ゴールデンウィーク明けから下落スピードが加速し、5月27日には9,395円29銭まで下落しました。日経平均株価はまともな戻りも見せないままほぼ一直線に2,000円も値下がりしたことになります。
マザーズ、ヘラクレス、ジャスダックといった新興市場銘柄はさらに悲惨で、4月に高値をつけてから1カ月で株価が半値以下になった銘柄も続出しました。
筆者自身、ここまで短期間にワントレンドで大きく下落するとは予想していませんでしたし、まさか2月につけた安値9,867円39銭まで下回るとは思ってもみませんでした。読者のみなさんも、ここまで短期間の急落は想定していなかったのではないでしょうか。

しかし、相場には「まさか」がつきもの。今回のような思わぬ急落局面は、株式投資を続けていれば何度も遭遇します。「まさか」に備えて適切な投資行動を取れるかどうかで、運用成果に大きく差がつきます。
そこで今回と次回の2回に分けて、株価急落局面でとるべき投資行動について筆者の考えるポイントをご説明したいと思います。今回は「損切り」と「利食い売り」についてです。

急落から身を守ることができるのは「損切り」だけ

何といっても今回のような急落局面では素早い損切りができるかどうかが勝負の分かれ目です。損切りさえ適切に行っていれば損失を最小限にとどめることができます。その後いくら株価が下がろうとも損失が拡大することはありませんし、株価下落がおさまった後で安く買いなおすことも可能です。
特に新興市場銘柄など値動きの激しいものは、損切りをすべきタイミングで損切りを少しでもためらうと、そこからさらに30%、50%とものすごいスピードで急落し、最後には手も足も出なくなってしまいます。
相場は意地悪です。ひとたび株価が急落してしまうと、高値で買いつけた投資家を助けてくれるような株価の戻りはまず期待できません。高値で買った投資家が投げ売りしてはじめて反発が始まるのです。
それならば、早めに損切りしておいて、株価が十分下がったところで買い直した方がよいのは言うまでもありませんね。
筆者は直近安値割れを損切り価格として設定します。もし、最高値付近で買った場合など直近安値まで距離があるときは、買値を10%下回った価格を損切り価格とします。5日移動平均線割れや25日移動平均線割れを損切りラインとしてもよいでしょう。

含み益のある銘柄はどう対処するか

今回は日経平均株価が年初来高値を付けた後の急落でしたから、含み益のある持ち株があった方も多かったと思います。
実は、損切りはルールを決めてそれを実行するだけなので、心理的抵抗さえ克服できればそれほど難しくありません。急落時は、含み益を有する持ち株の対処法の方がはるかに難しいのです。

たとえ、長期保有目的で買って十分に含み益がある銘柄であっても、株価急落により含み益が吹き飛び含み損に転落したら、損切りは必須です。その後株価が下げ止まってから再び買い直すべきです。
「長期保有」を理由に含み損をかかえたまま持ち続けるのは、塩漬け株発生の原因となるため厳禁です。
また、含み益が全て吹き飛んで「取らぬ狸の皮算用」になってしまうことを防ぐために、長期保有目的だとしても、株価が2倍に上昇したら持ち株の半分を売るなど、特に株価が短期間に大きく上昇した銘柄は上昇局面である程度の利益を確定させておいた方がよいでしょう。

基本的には上昇トレンド終了の可能性が高まった時点で利食いしておくべきです。例えば週足チャートを使い、13週移動平均線を株価が割り込んだら利食い、もしくは日足チャートで25日移動平均線を株価が割り込んだら売り、というようにです。
今回の急落局面では、特に新興市場銘柄など短期間に大きく値を飛ばしたものは、上昇局面で一部は利益確定売りを出しておくとともに、残りの持ち株も25日移動平均線を割り込んだら利食い、とするのが有効でした。

次回は、株価急落時の「買い」のポイントや注意点について説明します。