3月決算会社の決算発表真っ只中の現在、決算発表をきっかけとして株価が乱高下する銘柄が続出しています。個人投資家にとっても、「買った銘柄が決算発表後に急落したら……」「でも、買わずに見送った銘柄が決算発表後に急騰するかも……」などと様々な思いが交錯して、非常に投資しづらい時期であるといえます。
そこで今回は、決算発表の時期に頻発する株価の乱高下にどう立ち回っていくべきかを考えてみたいと思います。

決算発表前の株価の動きと決算内容の良し悪しは必ずしも一致しない

今回の決算発表後の各銘柄の株価の動きをみると、「決算発表前の株価の動きをみても事前には予想はつきづらい」という結論に残念ながらなってしまいます。
例えば、決算発表を引け後に控えた当日の株価が好決算期待で大きく上昇したものの、蓋を開ければ事前予想より悪い内容で翌日は一転大幅下落、という銘柄が珍しくありません。その一方、決算発表前は冴えない株価の動きであったにも関わらず、意外にも好決算であったため決算発表後株価が急騰する、というケースも目立ちます。
また、いくら決算内容がよくても、市場関係者の予想コンセンサスに実績が届いていないような場合も、決算発表後に株価が大きく売られることがあるので注意が必要です。
したがって、決算発表前に新規投資するのであれば、例え好業績が間違いなく期待できる銘柄であったとしても、一点集中は避けるべきです。できるだけ複数の銘柄に資金を分散させること、そして決算発表により突然暴落する、といった悲惨な事態に遭遇することもほとんどなくなり、株価チャートによる分析が比較的素直に通用することが多くなります。決算発表の時期に比べれば安心して投資することができるといえます。
好決算や次年度の好業績予想などにより決算発表後に株価が急騰した銘柄も、一旦上昇が止まると目先筋の利食いなどで調整局面を迎えます。しかし調整局面が終われば、再び上昇を始めることが多くあります。したがって、株価急騰後の調整局面を待って新規買いをすることが有効です。
また、決算内容が悪かったり、次年度が大幅な減収減益予想であったため大きく売り込まれた銘柄も、多くは売り一巡後に下げ止まり、反発をはじめます。株価の大きな下落により、悪材料がすでに織り込まれたという可能性も十分にありますから、直近の安値を損切り価格として買い向かうのも悪くないでしょう。

決算発表前から保有を続けている持ち株はどう対処する?

決算発表前から保有し続けている持ち株はどうすればよいでしょうか。これは筆者が本コラムでも繰り返し提唱しているように、「たとえ長期保有目的であっても、損切りラインに抵触したら損切りを必ず実行する」のが鉄則です。その上で、株価が下げ止まった時点で再び買い直せばよいのです。
損切りして一旦売っておけば、その後株価がさらに下落することによる損失の拡大を避けることができますし、損切りした後逆に株価が上昇しても、直近安値を損切り価格に設定した上で速やかに買い直せば、損切り価格と買い直し価格にそれほど大きな差がない状態で買い直すことが可能です。とにかく含み損を拡大させる恐れがある行動をしないことが最重要です。
ただし、決算発表の結果、たとえば債務超過に転落するなど破たんリスクが高まった場合は、株価が一旦下げ止まったとしても、破たんリスクが軽減される(例えば増資実行による債務超過解消など)までは買いなおすことはせずに、その銘柄への再投資はしばらく控えるのがリスク回避の面からは無難です。
また、損切りラインに抵触はしなかったものの上昇トレンドが崩れた銘柄も一旦売却し、再び上昇トレンドに復帰したと確認できた時点で買い直せばよいでしょう。長期保有目的であれば、決算発表により大きく売られたとしても損切りラインに抵触しない限りは持ち続ける、というのも1つの戦術です。