優待実施企業は「上場企業の4割」
まずは、どれくらいの日本企業が優待を実施しているのかを見てみましょう。
大和インベスター・リレーションズ(以下、大和IR)によると、優待を実施している企業は2025年9月時点で1,624社に上り、前年からは135社の大幅増となりました。優待を実施している企業の割合は上場企業全体の41.2%です。
実施企業数と実施率
注記:調査月は2015年を除き各年9月(2015年は8月)。各社の公式プレスリリース、および企業への直接調査などを基に大和IRが作成。
「優待は大口投資家には不利だ」といった機関投資家からの批判もあり、2019年ごろから優待実施企業の数は伸び悩んでいました。しかし、最近では個人投資家を引き付ける役割が見直されています。実際に、2021年から2025年の間に株主優待を新設した企業の約8割では、株主数が増加しています(大和IR)。
業種別に見ていくと、外食、食品や小売といった消費者向けの業種では、実施率が高い傾向があります。
業種別実施企業
注記:各社の公式プレスリリース、および企業への直接調査などを基に大和IRが作成。優待実施企業1,624社が対象
オリエンタルランド(4661)やサンリオ(8136)といったレジャー系から、エディオン(2730)やはるやまホールディングス(7416)のような小売系まで幅広い企業が優待を実施しています。
アラサー夫婦で個人投資家のはるあきさんは、例えば、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイト(7421)といった外食企業が特に狙い目だと語ります。
「外食ジャンルに注目しています。これまでに30カ国ほど海外旅行に行っていますが、日本の外食チェーンは海外でも戦える人気企業が多く、優待と株価上昇の両方を狙えると考えています」
広がる「デジタルギフト」
次に、株主優待の中身を見てみましょう。目立つのは、飲料や食品、そして買い物券やQUOカードなどのプリペイドカードです。
優待内容
注記:各社の公式プレスリリース、および企業への直接調査などを基に大和IRが作成。1社で複数の優待内容がある場合はそれぞれでカウント。優待実施企業1,624社が対象
最近では、オンラインのギフト券などを受け取れる「デジタルギフト」を導入する企業が目立つと、優待投資歴10年の個人投資家であるほっすんさんは指摘します。
「デジタルギフトはPayPayやdポイントなど一般的な電子マネーに交換できることが多く、ほぼ現金感覚で受け取れるのがうれしいので、引き続き注目しています」
事例としては、ソフトバンク(9434)がQRコード決済のPayPayで利用できる「PayPayマネーライト」を導入したほか、Amazonギフト、暗号資産、体験ギフトなどさまざまな形のデジタルギフトを提供する企業が登場しています。
権利獲得の条件は「より厳しく」
「優待企業が大幅増」「便利なデジタルギフト優待が浸透」と聞くと、投資家にとって良いことばかり起きているように見えますが、実はマイナスの動きもあります。
「大口の投資家をより多く確保したい」といった理由から、優待を受け取るために必要な株式数を増やす企業が増えているのです。
株主優待の享受に1単元より多くの株式保有が必要な企業の割合
企業にとって、優待のためだけに短期間だけ保有して、権利落ち日後にすぐ売ってしまうような投資家は望ましくありません。そこで、最初に優待を受け取れるまでに一定の保有期間を求める企業も増えつつあります。
最初の優待享受までに一定の保有期間が必要な企業の割合
また、優待をもらうために継続保有していた銘柄が、急に優待を廃止してしまったらとても残念ですよね。そうならないためにも、優待の内容や条件だけでなく、業績もしっかり見て銘柄を選別すべきだと30代ワーキングママで個人投資家のりさぱんさんは指摘します。
「魅力的な優待でも飛びつかないようにしてください。継続保有条件が付いていても、優待利回りが高すぎる場合は、数回実施しただけで優待廃止となる可能性もあります。その企業が『優待を続けられるくらい業績が良いか』『配当金も出ているか』を確認して、なるべく安全に優待投資を楽しみましょう」
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