「NISAやってます!」と答える個人投資家が明らかに増えた
筆者は、数多くの個人投資家と面談をする機会がありますが、投資経験について質問した時の回答として最近特に多いのが「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)はやってます」という回答です。
ネットのアンケートなどでも、個人投資家に対して「今実際にしている投資は?」の選択肢として
●個別株
●投資信託
●FX<
●暗号資産
●NISA
というように、NISAが一つの投資カテゴリーとして扱われていることが極めて多いと感じます。
しかし筆者は、NISAを単独で投資カテゴリーの一つに分類することに対して、非常に強い違和感を覚えています。さらに、個人投資家の方にも「NISAさえやっていれば大丈夫」という考え方はぜひ改めてもらいたいと思っています。
そもそもNISAは「箱」に過ぎない
ここで皆さんにお聞きします。「NISA」とは何ですか?
こう問われると、意外と答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。また、「NISAはNISAでしょ!」と言われる方もいるでしょう。
NISAというのは一言でいえば「非課税口座」のことです。通常は「一般口座」や「特定口座」で個別株や投資信託の取引を行いますが、そこで得た利益(売却益や配当金・分配金など)は所得税・住民税の課税対象となります。
しかしNISA口座で取引している個別株や投資信託から生じた利益については非課税の扱いとなるのです(配当金・分配金は受け取り方法を株式数比例配分方式にしておく必要あり)。
個別株や投資信託を買ったら、それを何らかの「箱」に入れておく必要があります。それが一般口座という箱だったり、特定口座という箱だったり、NISA口座という箱だったりするだけです。
つまり、NISAはそもそも個別株や投資信託を入れる「箱」にすぎません。ただ、恩恵としてNISAという箱に入れれば利益が非課税になる、というだけの話です。
「NISAやってます」ではなく「NISAで何に投資しているか?」を意識する
NISAは「箱」の一つにすぎません。よって、投資をしていますか?という質問に対する「NISAやってます」という答えは、ちょっとおかしな発言であることに気づいていただきたいと思っています。
例えばAファンドという投資信託があるとします。これを特定口座で保有していても、NISA口座で保有していても、Aファンドに投資しているという事実は同じです。
これをNISA口座で保有している場合にだけ「NISAやってます」という発言になることに違和感を覚えていただけるはずです。もしそうでなければ、特定口座でAファンドに投資している場合には「特定口座で投資をやってます」という発言が正しいからです。
重要なのは、NISAをやっているかどうかではなく、NISAという箱を使ってどのようなものに投資するかどうかです。
でも、NISA口座で投資している人の中には、自分が一体何に投資しているかよく分かっていない、という方も多いのです。
例えば「会社の先輩から『NISAやった方が良いよ』と言われて勧められた投資信託を買っているけど、その投資信託の中身はよく分かっていない」といったようなケースです。
「NISAやってます」ではなく「投資やってます」のスタンスで常に考えよう
繰り返しになりますが、NISAというのは利益が非課税になる単なる「箱」にすぎません。ですから重要なのはNISAを使って投資しているかどうかではなく、何に投資するのか、 そして資産全体から見た投資資金のバランス、といったNISAとは全く関係のない投資の基本的な部分なのです。
ですから、NISAを使う、使わないというのはひとまず横に置いておいて、
- 個別株投資をするのか、投資信託の積立投資にするのか
- 投資信託ならどのファンドにするのか(インデックスVSアクティブ、米国中心or日本中心or全世界分散、など)
- 積み立てなら月にいくらにするのか
- 株価が大きく下がった時はどうするのか(売る、保有継続、買い増しなど)
- 全体の資産や自身のリスク許容度を踏まえてリスク資産にいくらまで投資するのか
といった、投資をする上で根本となる部分についてご自身でよく考えるようにしてください。
「NISAで投資しておけば老後は安泰!」とは、くれぐれも思わないようにしましょう。投資の世界はそんなに甘くありませんから、上記のような土台の部分をしっかりと自分で決めた上で、着実な資産形成を心がけてください。
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