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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
決算レポート:パランティア・テクノロジーズ(業績好調。米軍向けとともに、アメリカ企業向けが大きく伸びる)

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄:パランティア・テクノロジーズ(PLTR、NASDAQ)

1.パランティア・テクノロジーズの2025年12月期4Qは、69.9%増収、営業利益52.3倍。

 パランティア・テクノロジーズの2025年12月期4Q(2025年10-12月期、以下前4Q)は、売上高14.07億ドル(前年比69.9%増)、営業利益5.75億ドル(同52.3倍)となりました。前3Q比でも大幅増収増益となりました。

 売上高は米軍向けを中心とした政府向け、米国企業向けともに好調でした。営業利益は前年比52.3倍となりましたが、これは1年前の2024年12月期4Q営業利益が1,100万ドルと小さかったためです。2024年12月期4Qに従業員に対するSAR(ストックアプリシエーションライト:インセンティブ報酬の一種で、権利を付与した時点での株価と権利行使時の株価の差額を、現金または株式で支給する)の付与にかかる費用1.31億ドルを前倒しで計上したことによります。ストックオプション関連費用を除いた調整後営業利益は2.14倍となりました(表4)。

 売上高内訳を見ると、コマーシャル向け(民間企業向け)が6.77億ドル(同82.0%増)、このうち米国・コマーシャルが5.07億ドル(同2.37倍)となり、引き続き好調です。前3Q比でも27.7%増となりました。米国・コマーシャルの過去12カ月間の顧客数は前3Q530件から前4Q571件に増加し、顧客単価は同75万ドルから89万ドルに増加しました。米国以外の売上高は1.70億ドル(同7.6%増)と低い伸びでしたが、これは顧客が急増している米国向けに経営資源を集中させているためです。

 政府向けは7.30億ドル(同60.4%増)となり、前3Q比でも15.3%増と順調に伸びました。このうち米国政府向けは5.70億ドル(同66.2%増)、その他政府向けは1.60億ドル(42.9%増)といずれも好調で、前3Q比でも増収でした。政府向け全体の顧客数は前3Q169件から前4Q174へ緩やかに増加し、顧客単価は同375万ドルから420万ドルへ増加しました。

 前4Qの新規案件で注目したいのは、米国海軍との間で結ばれた造船向けシステムの契約です。パランティアは米海軍との間で、造船サプライチェーンの近代化と海軍艦艇の納入加速を目的とした最大4億4,800万ドルの契約を結びました。世界最大の海軍である米国海軍の造船部門向けに事業が始まることは大きなニュースです。

 リピート、新規ともに案件の大型化が進んでいる模様です。コマーシャル向け、政府向けともに顧客が増加するとともに顧客単価が上昇しています。全社での1,000万ドル以上の大口取引は前3Q53件から前4Q61件に増加しました。

表1 パランティア・テクノロジーズの業績

表1 パランティア・テクノロジーズの業績
株価 131.41ドル(2026年2月13日)
時価総額 313,663百万ドル(2026年2月13日)
発行済株数 2,573.497百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 2,386.904百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジの平均値。

表2 パランティア・テクノロジーズ売上高内訳:四半期ベース

表2 パランティア・テクノロジーズ売上高内訳:四半期ベース
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成
注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

グラフ1 パランティア・テクノロジーズの顧客属性別売上高

グラフ1 パランティア・テクノロジーズの顧客属性別売上高
単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ2 パランティア・テクノロジーズ:直近12カ月間の顧客数

グラフ2 パランティア・テクノロジーズ:直近12カ月間の顧客数
単位:件、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ3 パランティア・テクノロジーズ:顧客当たり売上高

グラフ3 パランティア・テクノロジーズ:顧客当たり売上高
単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

表3 パランティア・テクノロジーズの大口取引売上高

表3 パランティア・テクノロジーズの大口取引売上高
出所:会社決算電話会議より楽天証券作成

2.2026年12月期も業績好調が予想される。

1)会社側は2026年12月期も業績好調を予想

 会社側の2026年12月期1Q業績ガイダンスは、売上高15.32億~15.36億ドル、ストックオプション関連費用を除いた調整後営業利益8.70億~8.74億ドルです。レンジ平均値は、売上高15.34億ドル(前年比73.5%増)、調整後営業利益8.72億ドル(同2.23倍)となります。今1Qも業績好調が予想されます。

 また、会社側は2026年12月期通期業績ガイダンスを、売上高71.82億~71.98億ドル、調整後営業利益41.26億~41.42億ドルとしています。レンジ平均値は売上高71.90億ドル(前年比60.7%増)、調整後営業利益41.34億ドル(同83.4%増)となります。米国・コマーシャル向け売上高は31.44億ドル(同2.15倍)以上としています。

表4 パランティア・テクノロジーズの調整後営業利益(四半期)

表4 パランティア・テクノロジーズの調整後営業利益(四半期)
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成。
注:会社予想はレンジ平均値。

表5 パランティア・テクノロジーズの調整後営業利益(通期)

表5 パランティア・テクノロジーズの調整後営業利益(通期)
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成。
注:会社予想はレンジ平均値。

2)パランティアのシステムはCPUで動くことが大きな優位性。2026年12月期、2027年12月期ともに業績好調が予想される。

 米国企業の顧客数の増加と顧客単価の上昇、政府向け売上高増加と政府向け顧客単価の増加から見える政府向け案件の大型化から、今期、来期とも業績好調が予想されます。米国企業向けは現在は多くが個別事業部門の個別システム(物流、生産など)の構築に留まっていると思われますが、これが他の事業部門や他のシステムに横展開し、あるいは全社を包括する基幹システムに拡大する可能性もあると思われます。その場合、顧客数の増加と顧客単価の増加が傾向的に続くと思われます。

 政府向けは顧客数の増加ペースは緩やかですが、案件の大型化が続いていると思われます。陸軍、海兵隊向けが大きくなっていると思われますが、海軍の造船部門向けが始まったことで案件の大型化が続くと思われます。

 このような状況から、楽天証券ではパランティアの業績を、2026年12月期は売上高74億ドル(前年比65.4%増)、営業利益31億ドル(同2.19倍)、2027年12月期は売上高115億ドル(同55.4%増)、営業利益58億ドル(同87.1%増)と予想します。

 一方で、リスクもあります。大手生成AI開発会社であるアンソロピックが2026年2月に発表した「クロード・オーパス4.6」は、AIを使って法務、財務、マーケティングに関する処理を高速自動化できる可能性があるものですが、これがパランティアを始めとしたSaaS(Software as a Service。ソフトウェアをインターネット経由でサービスとして利用する)企業の事業を縮小してしまうという懸念がでています。

 実際には、パランティアのシステムは、政府向けでは主にAIを使った戦闘用意思決定システム、企業向けでは物流、生産などに使うシステムなので、アンソロピックがフォーカスしている分野とは全て重なるわけではないと思われます。また、既存顧客のリピート発注も多い模様であり、これがパランティアの評価の高さを示していると思われます。

 また、パランティアのシステムは効率的に開発されているため、米軍を含むほとんどの顧客のシステムがCPUで動いており、インフラコストが安いという大きな優位性があります。大手生成AI開発会社は開発資金が数兆円単位と巨大で、インフラにはエヌビディア製を始めとする高額なAI半導体を使っています。これではインフラコスト、ソフト開発のコストのいずれもが高くなりすぎてしまい、利益が出る価格設定にするとソフトウェアが高くなりすぎてしまい、政府や企業の予算内に収まらなくなります。パランティアのAIシステムはCPUで動くため、コスト競争力があります。AIを使った政府向け、企業向けシステムではパランティアが重要な現実解であると思われます。

 大手生成AI開発会社がツールやソフトウェアに進出することに対しては注意する必要はありますが、パランティアの業績に対しては過度に警戒する必要はないというのが現時点での私の考えです。ただし後述するように、この動きはパランティアの株価収益率(PER)の引き下げ要因にはなると思われます。

表6 パランティア・テクノロジーズ売上高内訳:通期ベース

表6 パランティア・テクノロジーズ売上高内訳:通期ベース
単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:端数処理のため合計が合わない場合がある。
注2:会社予想合計はレンジ平均値。

3)エプスタイン文書の中にピーター・ティール氏の名前がある。

 米国司法省が最近公開したジェフリー・エプスタインに関する文書の中に、パランティアの共同創業者で現取締役会会長のピーター・ティール氏の名前があります。エプスタインが性犯罪で有罪になった2008年の後にメールのやり取りをしています。また、エプスタインはピーター・ティール氏の投資会社に総額4,000万ドルを出資していましたが、この会社はパランティアには投資していません。エプスタインも上場前のパランティアには投資していません。ピーター・ティール氏の広報担当者は、同氏はエプスタイン島に行ったことはないとしています(フォーブス・ジャパン2026年2月7日配信記事より)。

 なお、現CEOアレックス・カープ氏の名前は、現時点でエプスタイン文書の中にありません。

3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の250ドルから200ドルに引き下げる。

 パランティア・テクノロジーズの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の250ドルから200ドルに引き下げます。

 楽天証券の2027年12月期予想営業増益率87.1%にPEG=1.2倍前後のプレミアムを付け、適正PERを100~110倍としました。これを楽天証券の2027年12月期予想1株当たり利益(EPS)1.92ドルに当てはめました。

 私はパランティアの中長期の成長性を現時点では疑っていませんが、株式市場がアンソロピックの動きを脅威と感じているのも事実なので、これがPERの低下要因になると考えました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:パランティア・テクノロジーズ(PLTR、NASDAQ)