日経平均好調でも、株価の下落が続く銘柄も目立つ
ここ数年は、個別株投資の成果が個人投資家によって大きく異なっていると感じます。数年間で株価が大きく上昇した銘柄が数多くある一方、逆に株価が大きく下落したものも多数生じています。
特に、後者の銘柄は、それまで株価が大きく上昇していたいわゆる「成長株」「好業績株」が多いため、ファンダメンタルズ分析をしっかり行って銘柄選定をしていた個人投資家ほど、「業績が良いのに株価下落が続く」といった切実な悩みを抱えているのではないでしょうか。
長期的にみれば、業績が伸びているにもかかわらず株価が下落しているというのは、「良い会社の株を安く買える」ため歓迎すべき状況ではあります。ただ目先的には、株価が下落したことを好感して安易に買うと、さらなる株価の下落に苦しめられる可能性もあります。そのため注意が必要です。
「信用需給の悪化」に要注意
実は、株価が下落した銘柄の株価回復を遅らせている原因の一つとして挙げられるのが「信用需給の悪化」です。
この説明をする前に、信用取引について簡単に解説しておきます。信用取引とは、個人投資家が証券会社からお金や株式を借りて、レバレッジをかけて行う株取引です。
信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」があり、制度信用取引の場合、信用取引で買った(もしくは空売りした)株は、6カ月以内に決済する必要があります。
ただ、多くの個人投資家は株価が下がっている中を買い向かう「逆張り」を行います。これは信用取引においても同じで、「株価が下がって安くなった」として信用買いをする個人投資家が数多くいます。
しかしその後も株価の下落が続くと、信用買いで買った株は含み損を抱えます。制度信用取引は6カ月以内に決済しなければならないため、現物取引のように、塩漬け株として長期間放置することはできません。そのため、個人投資家は「少しでも株価が戻り、プラスマイナスゼロになったら売却しよう」という気持ちになりがちです。
一方で株価が下落することにより新規に信用買いをする個人投資家も増えるため、株価が下落すればするほど、「株価が少しでも戻れば売却したい」と考える投資家が増加していきます。
株価下落+信用需給の悪化が生じている個別銘柄はかなり多い
制度信用取引では、6カ月以内に決済が求められるため、信用買いをして決済されていない残高(信用買い残)は、将来の売り需要となります。逆に、信用売り(空売り)をして決済されていない残高(信用売り残)は将来の買い需要です。
従って、信用買い残の株数と信用売り残の株数を比べ、前者の方が増えている場合は将来の売り需要が増えることになるため、これを「信用需給の悪化」と呼びます。
実際、株価が下落を続けている銘柄の、信用買い残・信用売り残の推移を見ると、信用買い残が株価下落とともに増えている銘柄が多く見られます。
この状況(将来の売り需要の増加)が、株価下落銘柄の株価回復を遅らせる大きな要因となっています。
信用需給悪化の具体例は?
例えばオリエンタルランド(4661)は、9月16日に3,715円の戻り高値を付けた後、12月11日には2,785円まで下落していますが、信用買い残・売り残は次のようになっています。
〇9月19日 買い残:274万6,800株 売り残:278万7,800株 信用倍率:0.99倍
〇12月5日 買い残:487万500株 売り残:92万6,300株 信用倍率:5.26倍
信用倍率とは、「信用買い残÷信用売り残」で計算され、この数値が大きくなるほど、信用買い残の方が売り残より大きく、言い換えれば信用需給が悪化している状態です。
オリエンタルランドの場合、信用買い残の数量そのものも大きく増加、信用倍率も0.99倍から5.26倍へと急速に悪化しています。
この状況は、株価下落局面で信用買いを行い、含み損を抱える個人投資家が多数発生していることを示しています。
これを防ぐためには、例えば、株価が下落している間は安易に手を出すのを避け、下向きの株価が上向きに転じる(株価が移動平均線を超える)ことが確認できた時点で投資を行う、といった工夫が必要です。
業績だけではなく、株価の動きや信用需給の状況も踏まえた上で、失敗のリスクをできるだけ低減させていきましょう。
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