※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「決算レポート:アリババ・グループ・ホールディング(クイックコマースが大幅増収、クラウドサービスが好調)」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:アリババ・グループ・ホールディング(09988(香港)、BABA(NYSE))
1.アリババ・グループ・ホールディングの2026年3月期2Qは、4.8%増収、84.8%営業減益。クイック・コマースの販売費が増加。
アリババ・グループ・ホールディングの2026年3月期2Q(2025年7-9月期、以下今2Q)は、売上高2,477.95億元(前年比4.8%増)、営業利益53.65億元(同84.8%減)となりました(通貨は人民元、以下元)。2024年12月に子会社で百貨店のインタイムを、2025年1月に同じく小売大手のサンアートを売却したため、全売上高は前年比4.8%増となりましたが、インタイム、サンアートを除くと同15%増となりました。
セグメント別に見ると、アリババ中国Eコマース・グループが売上高1,325.78億元(同15.5%増)、金利、税金、無形固定資産償却控除前利益(EBITA)104.97億元(同76.3%減)と大幅減益になりました。売上高はカスタマー・マネジメント(出品者向けの問い合わせ管理、顧客管理等の各種サービス)789.27億元(同10.1%増)が堅調でした。また、現在中国で急成長している市場でアリババも注力中のクイックコマース(食品、日用品の短期配送)が229.06億元(同59.9%増)と大幅増になり、今1Q147.84億元(同12.0%増)と比べても大幅増になりました。
一方で、クイックコマースの拡大のために販売費を増やしたため(全社販売費は、前2Q324.71億元、今1Q531.78億元から今2Q664.96億元へ増加)、アリババ中国Eコマース・グループのEBITAは大幅減となりました。
アリババ・インターナショナル・デジタル・コマース・グループは、売上高347.99億元(同9.9%増)、EBITA1.62億元(前年同期は29.05億元の赤字)と堅調でした。EBITAベースで黒字になりました。
クラウド・インテリジェンス・グループは、売上高398.24億元(同34.5%増)、EBITA36.04億元(同35.4%増)と好調でした。増収増益率は今1Qよりも高くなりましたが、これはAI半導体、AIサーバーの増強が米国のようにはいかないまでも、進捗したためと思われます。中国全体で考えると、ファーウェイ、カンブリコン・テクノロジーズのAI半導体が増産されており、アリババの場合は自社製AI半導体もあるため、一定のデータセンターの増強ができていると思われます。さらにDeepSeekのように効率的にAIシステムを動かす技術も持っていると推測されます。
表1 アリババ・グループ・ホールディングの業績
時価総額 2,876,025百万香港ドル(2025年12月5日)
発行済株数 19,168百万株(完全希薄化後、Diluted)
18,555 百万株(完全希薄化後、Basic)
1人民元=1.1010香港ドル(2025年12月8日)
1USドル=7.7850香港ドル(2025年12月8日)
単位:業績は百万人民元、人民元、株価、配当はUSドル、香港ドル、時価総額は百万香港ドル、%、倍。
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
表2 アリババ・グループ・ホールディングのセグメント別業績(四半期)
出所:会社資料より楽天証券作成
表3 アリババ・グループ・ホールディング業績詳細(四半期ベース)
出所:会社資料より楽天証券作成
2.今期、来期の楽天証券業績予想を下方修正するが、クイックコマースとクラウド・インテリジェンス・グループの成長に注目したい。
今2Qまでの実績と決算電話会議における会社側の説明を参考に、楽天証券では今期2026年3月期と来期2027年3月期の業績予想を下方修正します。2026年3月期は売上高1兆700億元(前年比7.4%増)、営業利益860億元(同39.0%減)、2027年3月期は売上高1兆2,100億元(同13.1%増)、営業利益1,180億元(同37.2%増)と予想します。
2026年3月期、2027年3月期ともに、クイックコマースの拡大のための販売費増加が続くと予想されますが、2027年3月期には販売費の伸び率が低下すると予想しました。
また、クラウド・インテリジェンス・グループは好調な業績が続くと思われます。AI半導体、AIサーバーを増強する目途がたったと思われることから大型設備投資を行っています。設備投資は前4Q239.93億元から今1Q386.29億元、今2Q314.28億元へ増加していますが、会社側によればこの増加ベースでは顧客の要望に応えきれないということです。
会社側は今年2月に2026年3月期から3年間で3,800億元を投資すると発表しましたが、AI関連の需要増加に対応して追加投資の可能性があります。中国は人口14億人で国土が広く企業の数も多いため、生成AIに限らずAIの需要は米国以上に大きいと思われます。そのため、設備投資の増強によってクラウド・インテリジェンス・グループの業績拡大が続くと予想されます。
なお、アリババ自社開発の生成AI「Qwen(千問)」が人気です。11月17日にAIアプリ「千問App(Qwen App)」の公開テスト版をリリースしましたが、公開後1週間のダウンロード件数が1,000万件を突破したと11月24日に発表しました。同日時点でのアップルの中国向けApp Store無料アプリランキングでは第4位でした。
表4 アリババ・グループ・ホールディングのセグメント別業績(通期)
出所:会社資料より楽天証券作成
表5 アリババ・グループ・ホールディング業績詳細(通期ベース)
出所:会社資料より楽天証券作成
グラフ1 アリババの設備投資と営業キャッシュフロー
3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の240香港ドルから210香港ドルに引き下げる。
アリババ・グループ・ホールディングの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の240香港ドルから210香港ドルへ引き下げます。
楽天証券の2027年3月期予想1株当たり利益(EPS)6.23香港ドルに、今後の成長性を考慮し想定株価収益率(PER)30~35倍を当てはめました。
楽天証券の業績予想を下方修正したため目標株価を引き下げますが、引き続き中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:アリババ・グループ・ホールディング(09988(香港)、BABA(NYSE))
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
