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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「ドル/円、次の目標は148円か? 円高の理由と今後のマーケットテーマを考える」」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは151.05円
↓下値メドは149.00円
日米貿易:日本は(防衛予算増加と引き換えに)トランプ政権と貿易協定を結ぶ可能性が高い
米インフレ:トランプ政権は、「すでに強い米経済をさらに刺激しようとしている」
日銀:為替の物価への影響は以前よりも大きくなっている
政治経済:政治家にとって経済は、現実よりも認識が重要であり、認識とはうわさ話や、どのニュース番組を見るかによって形成される
前日の市況
2月20日(木曜)のドル/円相場の終値は149.61円。前日終値比1.88円の「円高」だった。
2025年37営業日目は151.39円からスタート。東京時間朝につけた151.43円を高値に昼前には150円台に入り、夕方には149円台まで下落した。日本銀行の早期再利上げ観測で、債券市場で長期金利が2009年11月以来15年3カ月ぶりの水準の1.44%まで上昇したことも円買いを強めた。
海外市場でも、ドル売り/円買いは続き、ドル/円は未明に149.40円まで下落して、昨年12月以来の安値をつけた。ベッセント米財務長官がこの日、「近い将来の米国債増発の予定はない」と述べたことが米長期金利の低下を招いたことも、ドル売り材料となった。24時間のレンジ幅は2.04円。
下は先週のレンジから算出した、今週のピボットである。ドル/円はサポート2までブレークして、次のサポートは149.11円である。

週末から来週前半のドル/円サポートとレジスタンス

レジスタンス:
153.16円 02/14
152.38円 02/17
152.31円 02/19
151.43円 02/20
サポート:
149.40円 02/20
149.36円 12/06
148.64円 12/03
148.41円 10/11
2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
過去の記憶があなたに喜びを与えるときにのみ、過去について考えよ - ジェーン・オースティン
Baker Street
このドル安/円高の大きな理由は、昨年末から積み上げられた大量のドルロングの解消である。トランプ大統領の関税政策は、米国のインフレ上昇圧力となり金利上昇要因であるとの想定だったが、今のところ、トランプ関税の最悪のケースは回避されている。
関税はトランプ政権が移民問題などの取引を有利に運ぶためのツールであって、すぐに発動されることはないとの安心感と、マーケットが関税に関するニュースに「飽きて」きたことが、ロングポジションの切り崩しにつながっている。
これからの重要な相場材料は、1)ウクライナ戦争の停戦協議、2)欧州の財政拡大、3)米中貿易摩擦の緩和期待だ。これらはユーロ高、人民元高要因になるが、期待が失望に変わった場合は、下落するリスクもあるので注意が必要だ。欧州の財政拡大の期待は、週末のドイツ選挙の結果次第だ。
円高の背景は、日銀の早期利上げを期待した金利差拡大である。日銀総裁がタカ派的な発言をしていることや、労使賃金交渉が間近に迫る中、日銀の早期利上げの予想が強まっている。ドルよりも、中央銀行の利下げ方針がはっきりしているユーロやスイスフランに対して円高に動く可能性がある。ドル/円より以上にクロス円の下落がテーマとなりそうだ。

今週の注目経済指標

Winners & Losers

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