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著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「氷見野日銀副総裁、1月金融政策決定会合の焦点は利上げを行うかどうか」
氷見野副総裁講演のポイント~1月MPMの焦点は利上げを行うかどうか~
日本銀行の次の利上げが1月に行われるのか、3月に行われるかを見る上で注目された、氷見野良三副総裁の講演が14日、横浜で行われました。そこで副総裁は、「来週のMPM(金融政策決定会合)では、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したい」「議論する焦点は、1月に利上げを行うかどうかになる」と述べ、1月利上げの可能性を示唆しました。
図表1に、講演資料の「物価を巡る状況と今後の金融政策」という章の要点を掲載しましたが、氷見野副総裁は1月利上げに前向きではないかというのが、筆者が今回の講演から受けた印象です。
図表1 氷見野副総裁の講演資料「物価を巡る状況と今後の金融政策」のポイント

図表1のポイントを大胆に整理すると、(1)マイナスの実質金利がずっと続くのは普通ではない、(2)実質金利がマイナスでない姿が展望できる、(3)経済はメカニズムも含め見通しに沿っている、(4)支店長会議の報告は強い、(5)利上げを行うか検討する、となり、かなりポジティブであることが分かります。
講演後の記者会見でも、輸入物価の前月比が強いこと、1月の金融政策決定会合の焦点が1月に利上げを行うかどうかになること、見通しの確度が高まっていることなどを指摘しており(図表2)、全体的に利上げに前向きな印象を受けました。
図表2 氷見野副総裁の記者会見での主な発言

1月金融政策決定会合での利上げはあり得る
先週のレポートで、12月金融政策決定会合の「主な意見」にタカ派的な意見が四つ掲載されていることから(図表3)、利上げに積極的な政策委員が複数名いることを紹介しました。
こうした点も踏まえると、氷見野副総裁が記者会見で指摘している通り、1月20日に予定されているトランプ新大統領の就任演説で特に波乱がなければ、1月の金融政策決定会合(23~24日)で利上げがあり得るとみておいた方が良いかもしれません。
図表3 12月の「金融政策決定会合における主な意見」に掲載されたタカ派意見

最近のドル/円相場の膠着が意味すること~1月利上げが見送られれば円安?~
最近のドル/円相場を見ると(図表4)、これまで強かった米国10年金利との相関が崩れていることが分かります(図中の赤い囲みの部分)。日銀の1月利上げを警戒して動きづらいのか、それとも為替介入に対する警戒からなのか。
図表4 ドル/円相場と米国の10年金利

出所:Bloomberg、楽天証券経済研究所作成
もちろん、日本の10年金利も上昇しているからとの見方もできますが、いずれにせよ、インフレ再燃リスクの高まりから米国の長期金利に上昇圧力が強まる中で(図表5)、1月金融政策決定会合での利上げが見送られれば、円安が一段勢いづくリスクはあるように思われます。
図表5 米国のブレークイーブンインフレ率と10年金利

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