2025年マーケットはどうなる?アナリスト大予想!
2024年のマーケットは良いことも悪いことも多く、波乱の年でした。
新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始めた初心者の方に限らず、投資を長年続けてきた経験者の方も、昨年の波乱を過ごして2025年のマーケット事情が不安になっているのではないでしょうか。
そこで、トウシルで連載を持つアナリストや専門家に、2025年の見通しについてアンケート形式でお聞きしました。
注目点や警戒すべきサプライズを知り、少しでも2025年投資戦略の参考になれば幸いです。
※アンケートの回答は2024年12月時点のものとなります
回答者
・マリン・ストラテジーズ シニアマーケットストラテジーズ 香川 睦
トウシル連載:資産形成入門!グローバル投資のトビラ
・パラソル総研 執行役員副社長 倉持靖彦
楽天証券トウシルYouTube
1.米国株市場についてお聞きします。2025年の見通し(1年を通しての値動きのトレンドや注目イベント)を教えてください
(香川)
「トランプ砲」や「トランプ劇場」に動揺する一時的な下落を挟みながら、AI(人工知能革命)とFRB(米連邦準備制度理事会)の金融正常化による利下げトレンドにトランプ政権のリフレ政策(減税期待と規制緩和期待)が重なり、2025年末までにS&P500種指数は6,600±200に到達する株式市場の軌道をメインシナリオとして想定している。
(倉持)
2月ごろまでは企業業績とトランプ大統領の政策期待で上昇、3月、4月は足踏み、夏場に向けては財政政策の審議進展でしっかり、秋はアノマリーで調整も、年末には2026会計年度予算・税制改正で減税策の成立期待が後押しとなり年末高へ。
2.見通しについて、期待や注目するプラス材料を教えてください
(香川)
米国経済のソフトランディング(軟着陸)もしくはノーランディング(無着陸)に加え、AIの進化と普及に伴う大手ナスダック企業の収益化による業績の成長持続が株式市場の支えとなりそう。
(倉持)
- 規制緩和、M&AやIPO(新規公開株)の活性化
- 原油・ガスの開発強化によるエネルギー価格の安定
- トランプ減税の延長
- 法人税率の引き下げ
- キャピタルゲイン・配当に対する減税
- 歳出改革
- ウクライナ戦争で停戦合意
3.見通しについて、懸念や警戒するマイナス材料を教えてください
(香川)
- トランプ大統領の暴走
- 米中対立の激化
- イランなどイスラム過激派によるトランプ大統領暗殺
(倉持)
- トランプ氏が大統領に就任し、早い時期から大幅な関税の引き上げを実施すること
- インフレ再加速
4.上記で答えたプラス・マイナス材料で日本株、日経平均への影響を教えて下さい
(香川)
日本株は米中対立が激化する上で「踏み絵」(対中貿易や対中投資の削減)を強要される可能性が高く、中国関連事業の業績不透明感が高まるリスクがある
(倉持)
米国景気の好調さや原油・ガス価格の安定は日本株にプラス、関税の早期大幅引き上下は日本にマイナスといえばマイナス
5.2025年の米国株市場において注目の投資テーマ、銘柄、企業を教えてください
(香川)
AI関連を中心とするビッグテックに加え、金融(銀行)や資本財サービスなど景気敏感株が循環物色を繰り返しながら相場をけん引するとみたい。トランプ大統領当選の立役者の一人、イーロン・マスクが率いるテスラの時価総額がどの程度増加していくかに注目している。
(倉持)
・金融
JPモルガン、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、ウエルズファーゴ、ティーロープライス、インベスコ、ブラックロック、ブラックストーン、アポログローバル、KKR、フィンテックETF、エクイニクス
・石油・ガス開発
ハリバートン、ベイカーヒューズ、キンダーモルガン、TCエナジー、シェニエールエナジー、ゴラールLNG
・製造業ルネッサンス
キャタピラー、ユナイテッドレンタルズ、マーチンマリエッタマテリアルズ、トレーンテクノロジー、エマソンエレクトリック、ロックウェルオートメーション、ファスナル、インフラETF
・データルネッサンス
エヌビディア、ブロードコム、アリスタネットワークス、クレドテクノロジー、マーベルテクノロジー、コヒレントコープ、バーティブホールディングス、パランティアテクノロジーズ、スノウ、IonQ、クアンタムETF、ニュースケールパワー、コンステレーションエナジー、ビストラコープ、オクロインク、エコラボ、カメコ、クアンタサービス、アルファベット、GEエアロスペース、ロッキードマーチン、ウラニウムETF
・ソフトウエア&サイバーセキュリティ
セールスフォース、アトラシアン、モンゴDB、パロアルトネットワークス、クラウドストライク、クラウドETF、サイバーセキュリティETF
・小型株
小型株ETF、IPO ETF
・波乱に備える守り系
配当貴族ETF、高配当利ETF、低ボラティリティETF
6.2025年のS&P500の最高値はいくらになると思いますか
(香川)
12月2日のトウシルコラムで記載したとおり、「6,600±200」目標レンジ(メインシナリオ)に想定している。
(倉持)
6,700
7.最安値はいくらになると思いますか
(香川)
5,800
(倉持)
5,700
8.2025年末にS&P500はいくらになっていると思いますか
(香川)
12月2日のトウシルコラムで記載したとおり、「6,600±200」をメインシナリオにおける目標レンジに想定している。
(倉持)
6,700
その他、2025年気になることやトウシル読者・個人投資家に伝えたいことがあれば教えてください
(香川)
投資先進国である米国での「資産運用における王道」は長期積立分散投資である。相場が下落しても動揺せずに定時定額投資(ドルコスト平均法と複利運用の効果を期待する)を続けることが得策である。市場の上下に沿って売買(投機)を繰り返しても無意味だし仕事や家事にとり無益なことが多い。
推進図書としてプロ・アマを問わず世界で百万部以上読まれた「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス/日本経済新聞社)を一読したい。米国でどれほど高学歴で優秀なアクティブファンドマネジャーでもインデックスに勝ち続けることができなかったことは何度も実証済み。
コストの安いインデックスファンドを活用して「世界最強の政治経済大国」の株式動向を象徴するS&P500指数(時価総額大手500社)に働いてもらって資産を増やし続けることが長期的な資産形成に合理的であることは、過去3年、5年、10年、20年、30年と変わらない(市場実績で検証済み)。
(倉持)
インデックスファンドを軸に十分に分散されたポートフォリオを構築し、それをコア資産として長期継続投資をすること。
マリン・ストラテジーズ シニアマーケットストラテジーズ 香川 睦 トウシル連載:資産形成入門!グローバル投資のトビラ ・神奈川県出身。1989年、日興証券投資信託委託(現・日興アセットマネジメント)に入社し運用調査部で経済調査、国際投資部でファンドマネージャーに従事。この間、約5年にわたり米国現地法人(ニューヨーク市)へ出向しチーフポートフォリオマネージャーを務めた。その後、シティバンク銀行や東海東京調査センターを経て、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストを歴任。2024年9月に独立し、米国市場動向の分析や投資教育の啓蒙に務めている。中央大学経済学部国際経済学科卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA) |
パラソル総研 執行役員副社長 倉持靖彦 ・早稲田大学卒業後、1988年、和光証券(現みずほ証券)に入社。 (財)郵貯資金研究協会投資分析部、新光総合研究所投資調査部出向を経て、エクイティ情報部に復帰。定量分析や日本経済エコノミスト、日本株、米国株ストラテジスト業務に従事、2009年、投資情報部長。2020年、商品企画部副部長現商品業務部、2024年4月より現職。 |
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