今日は2025年の日経平均株価がどうなるか、私のイメージをお伝えします。

日経平均は、景気循環を少し先取りして動く傾向がある

 私が、1年間の日経平均予測を作るとき、最初に考えるのは、世界および日本の景気動向です。日経平均は、景気変動をおおむね半年~1年先取りして動く傾向があるからです。

 まず、近年の景気循環と日経平均の動きをご覧ください。

<景気循環と日経平均の動き:2007年1月~2024年12月16日>

景気循環と日経平均の動き:2007年1月~2024年12月16日
出所:景気後退期の判断は内閣府、三つの景気停滞期(2014年4~6月、2015年10月~2016年3月、2024年1~9月)は楽天証券の判断

 ご覧いただくと分かる通り、日経平均は、景気循環を少し先取りしながら動いています。以下、グラフ内にある三つの景気後退期と、景気停滞期を解説します。

【1】2008年2月~2009年3月:リーマンショック

 日経平均は景気後退期に入る約1年前にピークアウトして下げ始めていました。景気後退が終わるとほぼ同時に日経平均は急反発を始めています。

【2】2012年3月~11月:民主党政権下での不況

 2012年12月に安倍晋三元首相によるアベノミクスが始まってから景気回復、日経平均は急反発しました。

【3】2014年4~6月:消費増税による景気停滞

 日経平均は景気停滞期に入る前の2013年12月に高値をつけ、下げ始めていました。景気停滞は3カ月と短く、停滞期に入ってからは次の景気回復を織り込んで日経平均は反発しています。

【4】2015年10月~2016年3月:チャイナショック、資源安ショックによる世界経済の停滞

 この時、中国・米国はじめ世界中の景気が悪化しました。景気後退すれすれまで悪化しましたが、景気後退期の定義は満たさなかったので、景気停滞期としています。日経平均は、景気停滞期に入る3カ月くらい前から下げ始めています。ただし、底打ち・反発の時期は、景気回復期に入った後でした。

【5】2018年10月~2020年6月:貿易戦争・コロナショック不況

 米中貿易戦争の影響で、世界的に製造業の景況が悪化し、2018年10月から日本は景気後退期に入りました。日経平均はそれとほぼ同時に下落を始めました。

 2019年末には一時景気回復期待が高まり、日経平均は上昇していましたが、2020年に入りコロナショックで4~6月は戦後最悪の景気落ち込みに見舞われました。ただし、7月以降、世界景気は回復に入っている模様です。

 日経平均は、今年7月から始まり来年に続いていくと考えられる世界景気回復を織り込んで、4月から上昇し続けています。

【6】2022年1~9月:内需低迷・米景気減速

 コロナ対策として日本では1月に2回目の「まん延防止等重点措置」が発動されて内需が低迷。3月にはロシアによるウクライナ侵攻があって原油価格が急騰、深刻なインフレが起こり、米景気が減速。

【7】2024年後半:景気停滞か?

 製造業の景況が世界的に悪化。日本でも、円安にもかかわらず自動車など製造業が不振。欧州景気・中国景気不振の影響も。

 8月に米景気ハードランディング(硬着陸)の不安が高まると、日経平均は一時急落。ただし、米景気の不安はその後解消。米景気は堅調との見方が広がる。

米景気ソフトランディングを前提とすれば日経平均は来年末に4万4,000円

 2025年は、メイン・シナリオとして、米景気ソフトランディング(軟着陸)、日本の景気・企業業績は緩やかな拡大が続くと予想しています。それを前提にすると、日経平均は4万4,000円まで上昇すると予想します。

<東証プライム上場3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%)>

東証プライム上場3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%)
出所:楽天証券予想

 ただし、来年は、波乱材料がたくさん控えています。1月20日に米大統領に就任するトランプ氏が、輸入関税引き上げ・不法移民の強制退去を実施すると述べていることが、さまざまなショックを引き起こすリスクがあります。

 トランプ氏の政策次第では、米景気が過熱するリスクもあります。米インフレが再燃して、米景気が悪化するリスクもあります。来年前半は、こうした不安から、米国株や日本株がショック安になる局面もあるかもしれません。

 2025年の日経平均は、今年と同様、乱高下を繰り返すと考えています。年前半に、さまざまなショック安で日経平均が急落、年後半にそれを乗り越えて、上昇していくことを想定しています。

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