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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「ドル/円はどうなる? 米雇用統計、今夜発表」FXマーケットライブ」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは150.85円
↓下値メドは149.45円
本当?:日本政府見解「デフレ脱却、まだそこまでいってない」
米中貿易戦争:制裁関税で最もダメージ受けるのは、高い輸入品を買わされる米国の消費者である
減産:これ以上の減産はOPEC非加盟の産油国を利するだけ
ECB:成長カーブに遅れているのはFRBではなくECB
時間差:金融政策にはタイムラグがあるため利下げによる経済的恩恵が浸透するには時間がかかる。これがデータ重視主義の政策が危険な理由である
前日の市況
12月5日(木曜)のドル/円相場の終値は150.09円。前日終値比1.12円の「円高」だった。
4日(水曜)のドル/円は日本銀行が年内利上げに消極的との一部報道で円売りとなったが、この日は利上げ観測が再び強まるなかで円が買われた。
2024年244営業日目は150.52円からスタート。東京時間朝に150.77円まで上昇してこの日の高値をつけたが、夜の初め頃には149.65円まで下落した。日本銀行でハト派寄りとされる中村審議委員が「利上げに反対しているわけではない」と発言したことが理由。12月利上げ予想が強まり円買いにつながった。ただNY市場では米国の長期金利が持ち直したことで150円台に戻した。24時間のレンジ幅は1.12円。
今週のユーロ/円はフランスの内閣が崩壊したことで、一時156円台までユーロ安/円高が進んだ。緊縮的な予算案に反対する野党がバルニエ首相に対して不信任案を可決したことで、フランスの一段の財政悪化がユーロの懸念材料となった。
しかし、この日のユーロは大幅に反発した。フランスの極右政党、RN(国民連合)のルペン氏が、内閣崩壊を乗り越えて「向こう数週間」で2025年の予算を成立させることが可能だと述べたことで、フランスの信用不安が後退したことが理由。フランスの有権者の6割以上が辞任するべきと考えているマクロン大統領については、辞める理由はないとの認識を示した。
本当に重要なのは、フランスが安定した財政基盤を取り戻すための予算である。ルペン氏の要求に沿った予算を通すことは、結果的にフランスの財政状況を悪化させることになり、中期的なユーロ安を引き起こすリスクがある。フランスの予算案は、財政赤字をGDP(国内総生産)比6.1%から5%に引き下げることを目指として、歳出削減と特別課税によって606億ユーロの財政再建を計画していた。
10月米雇用統計レビュー
10月の米雇用統計では、NFP(非農業部門の新規雇用者数)は、1.2万人増と事前予想の10万人増を大きく下回った。また前回9月のNFPは25.4万人増から22.3万人増へ下方修正された。10月はハリケーンや港湾ストライキの影響で製造業関連の雇用が4.6万人減ったことが大きく影響した。一方、公的機関の雇用者数は4万人増となった。これは新型コロナ後の学校再開の流れが正常化を続けているためである。
ちなみに、雇用統計より数日早く発表されたADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用データは、民間雇用者数が23.3万人と、1年2カ月ぶりの大幅増加となっていた。ADPによるデータでBLS(米労働省労働統計局)雇用統計を予想することは最近特に難しくなっている。失業率は前月比横ばいの4.1%で安定。
平均時給は前月比0.4%、前年比4.0%増加と高止まりしている。FRB(米連邦準備制度理事会)は、ECI(第3四半期雇用コスト指数)で名目賃金上昇が一段と抑制されたことで今後の低下を期待しているようだ。
10月の雇用統計は一時的要因による歪みが大きすぎたため、この結果が市場トレンドを示しているといえない。ハリケーンが去りストライキが終結して労働者が仕事に復帰した11月は雇用が急増する予想だ。この結果を踏まえて、FRBが年内の利下げを巡りどのような判断を示すのかマーケットは強い関心を持っている。
なお、11月雇用統計の予想については「 11月の雇用者数は、大幅増加20万人の予想。FRBの利下げ政策に影響はあるか?11月米雇用統計 詳細レポート 」をお読みください。
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雇用統計 サンプル問題
米経済データの中でも雇用統計は注目度も重要度もトップランクに位置していて、FRBの金融政策にも非常に大きな影響を持つ。FRBの政策はECB(欧州中央銀行)や日銀など世界の中央銀行に影響を与えるから、雇用統計が不正確であれば、世界の金融市場が間違った方向に進むことになる。
雇用統計の精度が低い原因はいくつかある。まず、BLSの季節調整モデルが、雇用市場の構造変化に対応できていないことがある。例えば、クリスマス商戦の反動で1月の雇用者は少なくなるのが従来のパターンであった。BLSはこのパターンに従って雇用者増加数を推計するのだが、新型コロナ流行後は、そのような季節性は消え、逆に1月の雇用者は急増している。
また、データ数の少なさも問題である。米国の経済指標の多くはアンケート調査に基づいている。一般に、家計調査の回答率が60%を下回るとそのデータの信頼性は低くなるのだが、雇用に関する企業の回答率は、新型コロナ流行時から大きく下がり、現在では40%を下回っているといわれる。また、統計には副業やスタートアップの小さい会社の雇用状況も正確に反映されていない。
回答率が低いだけではなく、現存の事業所のデータに偏っていることも問題だ。倒産企業からのデータがほとんど得られないことで、当然ながら実態よりも失業者は少なく、就業者は多い結果になる。最近では、社員が退職したあと欠員補充をしない「サイレントレイオフ」をする米企業が増加している。BLSの雇用統計ではこのような実態を把握することが困難であり、そのため雇用市場の本当の弱点が見過ごされてきたおそれがある。
BLSは、2023年4月から2024年3月までの雇用者数が、81万8000人程度の下方修正になったと今年の8月に公表した。月ベースでは約6.8万人少なくなる計算である。雇用統計の不正確性は、「実勢よりも多めに計上されている」ことに偏っている。つまり雇用者数が予想よりも多くても割り引いて考えた方が良いということであり、逆に少ない場合には、雇用市場が予数字以上に悪化しているということである。実際の雇用市場の過熱状態はすでに消えているのに、FRBのデータ重視主義のために利下げのタイミングが遅れてしまったおそれがある。FRBにとってのリスクとは、雇用統計の数字を信じて利下げを見送ることである。
11月雇用統計の予想については「 11月の雇用者数は、大幅増加20万人の予想。FRBの利下げ政策に影響はあるか?11月米雇用統計 詳細レポート 」をお読みください。
今週の注目経済指標
注目テクニカルレベル
Winners & Losers
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