2024年7-9月期の好決算も先行きに慎重見通し、供給過剰や価格競争を懸念

現地コード 銘柄名
01347

華虹半導体

(フアホン・セミコンダクター)

株価 情報種類

23.20HKD
(11/8現在)

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 中国の半導体ファウンドリー大手、華虹半導体の2024年7-9月期決算は、売上高と純利益がいずれも、経営陣の事前のガイダンスを上回った。消費者用電子製品の需要回復や為替差益、政府補助金の計上などが寄与した。ただ、経営陣が示した10-12月の粗利益率見通しが11-13%にとどまったことで、BOCIは需要回復局面の持続性や価格圧力に関する懸念が再燃する可能性を指摘。新規の無錫Fab9(第9工場)の黒字化が遅れる可能性に言及している。それでも現時点では、同社に関する焦点は中国の景気刺激策と半導体産業への潜在的なインパクトにあるとし、投資家は短期のファンダメンタルズより、長期見通しに目を向けているとの見方。予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期の売上高は5億2,600万米ドルと、前年同期比7%減少したものの、前四半期では10%増。ガイダンスの上限からさらに上振れた。粗利益率は前四半期を1.7ポイント上回る12.2%。電子機器需要の回復に伴う設備稼働率(7.4ポイント上昇の105.3%)の改善により、平均販売価格の軟化をカバーし、ガイダンスの中央値を上回った。純利益は前年比222%増の4,500万米ドルと、市場予想を109%上回る水準。為替差益(2,900万米ドル)と政府補助金(1,800万米ドル)が利益の押し上げに寄与した。

 ただ、続く10-12月期に関しては、供給過剰や価格競争、市況回復の鈍さなどを理由に、経営陣はかなり慎重。売上高に関するガイダンスは5億3,000万-5億4,000万米ドル(中央値が前四半期比5%増)、粗利益率は11-13%(同横ばい)と、市場予想の5億5,900万米ドル、16%をいずれも下回る数字にとどまった。電子機器やAI向けのCIS(CMOSイメージセンサー)、ロジックおよびRF(無線周波数)、PMIC(電源IC)の需要は2025年まで堅調を維持する見通しだが、車載用と産業用のパワー半導体が設備稼働率や平均販売価格の足を引っ張る可能性が高いという。

 無錫Fab9は予定通り、2024年末-2025年初めに試作を開始する運び。経営陣が以前示した通り、2025年末までには新規生産能力2万Wpm(wafers per month)を目指す。

 BOCIは車載用・産業用半導体の低迷と成熟ノードの新規設備の増加を理由に、2025年の粗利益率の回復が予想より小幅にとどまる可能性を指摘。2024-2026年の予想EPS(1株当たり利益)を16%、18%、9%減額修正した。ただ、中国政府の景気刺激策を背景に半導体セクターのバリュエーションが上向くとみて、目標算出基準を予想PBR0.8倍から0.9倍に上方修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。新たな目標株価は向こう3年間の予想PER(株価収益率)で53倍、30倍、22倍に当たる水準となる。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、米中関係、成熟ノードの価格競争、予想以上に早期の先端ノードへの移行、マクロ経済と川下需要の低迷を挙げている。