トランプ圧勝!米国上院・下院も共和党が過半数の見通し&FOMCで利下げもあり全面高!

 11月5日(火)の米国大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が圧勝したことを受け、先週の株式市場は急上昇しました。

 日経平均株価(225種)は前週末比1,446円(3.8%)高の3万9,500円まで上昇し、今週は4万円台到達に期待がかかります。

 自国第一主義を掲げるトランプ大統領が再選されたことで、米国株の上昇はそれ以上にすさまじく、機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は4.66%高の5,995ポイントまで上昇。8日(金)の取引時間中には一時6,000ポイントの大台を超えました。

 トランプ氏が掲げる規制緩和や法人減税といった政策から恩恵を受けやすい金融業や製造業の組み入れ比率が高いダウ工業株30種平均も4.61%の上昇。S&P500とともに史上最高値をさらに更新しています。

 大統領選前からトランプ氏の勝利を織り込んで上昇してきた米国株ですが、当選後も急騰したのは、事前の接戦、僅差という予想を完全にくつがえしたからです。選挙結果はペンシルべニア州など激戦州のほぼ全てで勝利するなどトランプ氏の地すべり的な圧勝でした。

 大統領選と同時に行われた米国議会の上院・下院選挙でも共和党がともに過半数を確保する見通しです。

 大統領、議会上院、下院を共和党が独占する「トリプルレッド」が達成されてトランプ氏の掲げる減税や規制緩和政策が非常に進めやすくなることもトランプ相場の勢いを加速させました。

 米国では、2025年1月20日のトランプ新大統領の就任式までは期待感が先行して株高が続くだろうという見方が強くなっています。

 個別株ではトランプ氏を熱烈に応援し、次期政権で政府効率化に関する要職に就くといわれるイーロン・マスク氏率いる電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)が前週末比29.0%高と急騰。

 今後もトランプ関連株の筆頭銘柄として君臨しそうです。

 トランプ相場2週目となる今週は株価上昇がどこまで続くかに注目です。

 トランプ氏の掲げる高額関税や不法移民強制送還は輸入品の価格高騰や労働市場の逼迫(ひっぱく)につながるため、米国の物価高が再燃する懸念が高まっています。

 また大規模な減税や財政出動は米国政府の借金が膨らむことにつながるため、長期金利の指標である米国10年国債の利回りはトランプ氏の当選が確実になった6日(水)には4.43%台まで上昇しました。

 株価上昇の大敵である米国の金利上昇は今後の不安要因といえるでしょう。

 ただ、7日(木)終了の米国FOMC(連邦公開市場委員会)では0.25%の追加利下げを決定。

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長はインフレを再燃させる可能性のあるトランプ大統領誕生でも当面の金融政策の決定には「なんら影響しない」と発言。利下げ継続の姿勢を示したことも株価には好都合でした。

 トランプ氏圧勝で一時1ドル=154円60銭台まで進んだ円安もFOMCの利下げを受けて152円60銭台まで反落して先週の取引を終えました。

 今週は米国で13日(水)に10月CPI(消費者物価指数)、14日(木)に10月PPI(卸売物価指数)、15日(金)に10月小売売上高が発表されます。

 米国内の物価高の順調な鈍化が確認されれば長期金利の上昇一服につながるため、株価には追い風でしょう。

 国内では11日(月)に特別国会が招集され、過半数には届かないものの決選投票で自民党の石破茂氏が再び首相に選出される見通しです。

先週:トランプ圧勝!TOPIXは株高の恩恵で3.7%上昇!

 先週の日本株はトランプ大統領再選による世界的な株高の恩恵を受けて、大型株主体のTOPIX(東証株価指数)も前週末比3.7%上昇するなど幅広い銘柄が買われました。

 週間の業種別上昇率ランキングでは当面、株高が続くことで収益増が期待できる証券・商品先物取引セクターがトップになり、次いで内外の金利上昇の恩恵を受けやすい保険業、銀行業が上位に食い込みました。

 個別株では石油掘削などに使う建機用フィルタで世界屈指のヤマシンフィルタ(6240)が前週末比29.6%高と急騰。

 トランプ氏は米国を世界最大の資源大国にするという公約を掲げており、今後は米国内の天然ガス採掘特需に期待できそうな同社は日本のトランプ関連株の中でも真っ先に買われやすい銘柄になりそうです。

 また、川崎重工業(7012)が22.7%高となるなど防衛関連株も値上がりしました。

 トランプ次期政権は日本に対して防衛費がGDP(国内総生産)の3%超になるまで増額することを要求してくる可能性も指摘されています。

 中国や北朝鮮と軍事的緊張が高まる可能性も高く、日本の防衛関連株には長期的な株価上昇が期待できそうです。

 その他、仮想通貨関連株やトランプ新政権で重要な役割を担いそうなイーロン・マスク氏が手掛ける宇宙ビジネス関連株など、今後もトランプ氏やマスク氏に関連する銘柄の急騰劇が起こりそうです。

 米国株では、トランプ氏の規制緩和や法人減税政策の恩恵を受けやすい小型株を指数化したラッセル2000指数が週間で8.57%高。

 規制緩和で収益増が期待できる金融株も急騰。投資銀行のゴールドマン・サックス・グループ(GS)は13.5%高でした。

 AI(人工知能)関連の大人気株である米国高速半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)も9.0%高でした。

 しかし、トランプ相場ではどちらかというとIT関連株の続騰より、金融株や資源株といった重厚長大産業の株価底上げに期待できそうです。

 前回、トランプ氏が初めて米国大統領に選出された2016年11月以降の米国株の値動きを見るとS&P500は2017年3月に小幅反落するまで4カ月連続で上昇しています。

 トランプ政権がスタートした2017年は年間を通じて大幅な値上がりが続きました。

 現在の米国経済は非常に堅調で、FRBは利下げ路線を継続。

 そこに2017年1月からはトランプ新政権による法人税の15%への引き下げや個人所得減税の恒久化、規制緩和といったビジネスフレンドリーな政策が加わるわけですから、今のところ米国株に死角らしい死角がありません。

 トランプ相場は前回以上に息が長く、上昇率も非常に大きなものになるかもしれません。

 むろん、2023~2024年にかけての米国株は2017年当時をかなり上回る上昇率ではるかに割高な水準まで買われているため、果たして米国株の上昇がどこまで続くかについては疑問符も付きます。

 週明け11日(月)の日経平均終値は前週末比32円高の3万9,533円となり、2営業日連続で値上がりしました。前週末、米株式市場において主要株価指数がそろって上昇したことで、東京市場でも決算が好調だった銘柄を中心に買われ、相場を押し上げました。

今週:トランプの過激発言が相場のかく乱要因!国内では国民民主党の所得減税法案に期待!

 今週は熱狂的だったトランプ相場がいつ小休止するかが一番の注目です。

 14日(木)にはダラス地区連邦準備銀行のイベントでパウエルFRB議長が講演を行います。

 先週7日(木)のFOMC後の記者会見で「トランプ氏に辞任を要求されたらどうするか?」と問われたパウエル議長は「辞めない」と明言。

 トランプ氏の政策を見越した米国の長期金利上昇や新政権発足後の物価高再燃見通しについて具体的な発言があるかどうかが注目されそうです。

 また当選当初は控えめだったトランプ氏の過激で極端な言動が相場のかく乱要因になるかもしれません。

 特に中国だけでなく、日本の自動車メーカーなどが米国向け製品の工場を持つメキシコからの輸入品に高額関税をかけるといった発言や、米国の製造業を有利にするためのドル安誘導発言が出ると、日本株や為替の円安トレンドには逆風です。

 トランプ相場の影に隠れて市場の注目度が下がっていますが、11日(月)の特別国会では、少数与党に転落したものの決選投票で石破首相が再選される見通しです。

 ここに来て、手取り収入増加を主要政策に掲げる国民民主党の存在感が大きくなっています。

 国民民主党の目玉政策は7.6兆円の減税効果があるといわれる所得税・住民税の基礎控除引き上げです。

 その減税法案が自民・公明の少数与党などの賛成で可決されれば個人消費喚起につながるため、特に日本の内需株にとって朗報でしょう。

 今週は日本企業の2024年7-9月期決算も終盤を迎え、12日(火)には半導体関連株の主力株・東京エレクトロン(8035)ソフトバンクグループ(9984)、14日(木)には三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など3大メガバンクが決算発表します。

 銀行株はトランプ新大統領選出がもたらす内外の金利上昇で最も株価の勢いがよくなったセクターだけに、その決算内容に注目です。

 トランプ相場でS&P500が一時6,000ポイントの大台に達するなど史上最高値を更新し、ドル/円相場も再び1ドル=152円台まで円安が進行。

 2024年から始まった新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)では米国のS&P500や米国株比率が約6割の全世界株式に連動したインデックス型投資信託へのつみたて投資が定番になっていますが、株高と円安の恩恵を受けて基準価額が値上がりしています。

 トランプ相場第2週も世界的な株高が続いて、新NISA口座の運用資産の含み益がどんどん増えていくことに期待したいところです。