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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ドル/円は円安、円高どちらへ行く?個人投資家の考えは?」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは154.35円
↓下値メドは152.30円
米大統領選:米議会の分断化で両党の極端な政策が希薄化することは不幸中の幸い
ラグジュアリー市場:LVNH株などが中国景気減速で大幅下落。収益改善の糸口見えず
欧州経済:世界貿易逆風、ECB引締め、政府財政支援欠如の「三重苦」で、モメンタム失う
インフレ:欧州はすでにディスインフレ状態。ドイツのインフレは2年で9%下落。
米利下げ:パウエルFRB議長「労働市場が悪化したらFRBは行動する用意がある」
前日の市況
11月7日(木曜)のドル/円相場の終値は152.94円。前日終値比1.69円の「円高」だった。
2024年222営業日目は、154.52円からスタートした。トランプトレードで6日(水曜)はドル高/円安が一気に3円進んだ。しかしこの日は調整のドル売りで前日上昇分の約55%下げる展開となった。
東京市場ではドル買いの流れが続き、昼前に154.70円まで上昇したが、前日の高値(154.72 円)とほぼ同水準でピークをつけると下げに転じた。欧州市場に入ると154円を下抜け、さらにNY市場では、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げを期待したドル売りも入り153円も割ると、明け方には152.69円まで下値を広げてこの日の安値をつけた。24時間のレンジ幅は2.02円。
個人投資家 最新売買動向:
下のドーナツグラフは、楽天FX口座における個人投資家の最新の売買比率(売りと買いの数量の割合)で、外側のドーナツは「建玉(保有ポジション)」、内側のドーナツは「注文(オーダー)」の比率を示している。
11月7日時点の楽天FXのドル/円のオープン(未決済)ポジションの価格分布をみると、現在の水準(153.00円)から154.00円までの円安方向にかけてドルロング/円ショート(赤色のバー)が、ドルショート/円ロング(青色バー)よりかなり多くなっていることがわかる。(1)
米大統領選後のドル/円は154.70円までドル高/円安に動いたが、昨日のマーケットではその調整が入り152円台までドル安/円高に動いた。この下げで、高値圏でつかまったようにも見える。注文状況で153.60円から154.00円に売りオーダー(青色のバー)が多いことからも推測できる。(2)
ただ152.50円以下は買いオーダー(赤色のバー)が多くなっている。トランプトレードはまだこれからと見て152円台前半でドルロングをつくりたい意図があるようだ。(3)
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
人と同じことをして成功した人は、いままでいない – ジム・ロジャース
Rehab
イールドカーブの逆襲
「逆イールド」は、長期債の利回りが短期債よりも低くなり、イールドカーブが右肩下がりになる現象で、急激な利上げなどの政策変更により短期金利が急騰した後に、株価下落や景気後退が訪れることを示す重要なシグナルとされている。
2022年7月から始まった米国の10年債利回りと2年債利回りの逆イールド状態は、1978年以来の最長記録を更新中だが、一向に終息する気配がない。景気後退のシグナルは1年10カ月間も出続けているのに、米経済は相変わらず堅調さを保っている。
FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅利上げに対して米経済が驚くべき耐性を示している理由としては、大企業の財務状況が金利のネット受け取りになっていることや、個人の住宅ローンの多くが低金利に固定されていて家計の影響が少ないことが考えられる。また、近年増加している「キャピタル・ライト」型のビジネスモデルは大きな資本を必要としないため、金利の影響を受けにくい傾向がある。ボスティック・アトランタ連銀総裁は「コロナ禍以後の経済は、金利上昇の反応度が低い」と認めている。
FRBが金融引締め効果の限界を認識する一方で、金利反応度の低い品目の価格が安くなるまで金利を下げないというのは、合理的ではない。FRBが高金利を長く維持しようとするのは、それが人々に期待されていると思っているからで、「われわれはきちんと仕事をしていますよ」という自己PRのようなものだ。
とはいえ、高金利が続くことによる経済の影響はじわじわと表れている。財務ストレスの兆候であるICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の低下が進んでいるのだ。ICRとは、会社の借入金等の利息の支払い能力を測るための指標で、年間の事業利益が支払い利息など金融費用の何倍であるかを示すものだ。一般に、倍率が低くなるほど、財務的に余裕がないとされる。
FRBの「長期間の高金利」政策は、最終的には、逆イールドカーブが景気後退のシグナルであることの信頼性を証明することになるだろう。マーケットは、米長期金利が2年以内にさらに低下すると強く信じている。
今週の注目経済指標
ヒートマップ分析
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