11月5日より東証の取引時間が30分延長され15時30分までに
11月5日より、東京証券取引所の株式市場の取引時間が延長されました。それまでは朝9時~11時30分、12時30分~15時まででしたが、終了時刻が15時30分と、30分延長されています。
また、これに付随して、先物・オプション市場の取引時間も変更となっています。
変更前
8時45分~15時15分、16時30分~翌朝6時
変更後(11/5以降)
8時45分~15時45分、17時~翌朝6時
つまり、株式市場の開示時刻15分前~終了後15分後までで、1時間15分の休場後、翌朝6時まで再開という流れです。これが株式市場の取引時間の延長に伴いズレたということです。
これだけを見ると、単に取引時間が30分延長となっただけで、多くの個人投資家にとっては特段の影響はないのではないか?と思われるかもしれません。
確かに大枠はその通りなのですが、今回の取引時間延長と同時に今までとは異なる制度が導入されています。その仕組みは頭に入れておいた方がよいでしょう。
新制度「クロージング・オークション」とは?
その制度とは「クロージング・オークション」です。実は15時30分まで取引時間そのものは延長されましたが、今までと同じような形式で売買ができる時間は15時25分までです。
15時25分~15時30分までは、取引は行われず、売買注文のみを受け付けます(プレ・クロージング)。そしてその売買注文を反映させた値付けを15時30分に行い、そこで取引が終了となるのです。
この15時25分~15時30分までの一連の仕組みをクロージング・オークションというのですが、文章だとなかなか分かりづらいと思いますので、下記の楽天証券のサイトも合わせてご覧ください。
お知らせ:11月5日から東証の取引終了時刻は15時30分になります
直感的に申し上げれば、15時25分~15時30分は、寄り付き前の時間だと思ってください。寄り付き前には当然取引は行われていませんが、売買の注文は受け付けています。それと同じことが、15時25分~15時30分の5分間行われていると理解すれば大丈夫です。
クロージング・オークションでの取引成立時の値幅制限
なお、クロージング・オークションでは、直前約定値段における更新値幅の2倍までしか株価は変動しません。
例えばクロージング・オークションに入る直前の株価が100円だった場合、株価100円の更新値幅は5円なので、この2倍であるプラスマイナス10円が最大変動幅です。
つまり15時30分の時点でつく可能性のある株価は90~110円の間になります。
もしクロージング・オークションの時間に、大量の買い注文や売り注文が入った場合、上記の「更新値幅×2倍」の範囲内では売り注文数量と買い注文数量が合致しない可能性もあります。
この場合、例えば買い注文が殺到し、上の例では110円で買い注文と売り注文を合致させることができない場合でも、110円で売買を成立させる仕組みになっています。
具体的には、売り注文については成行注文と110円以下の指値売り注文は全て成立します(111円以上の指値売り注文は不成立)。
そして、買い注文の方は成立させる売り注文の株数の範囲内で、成行注文と、110円以上の指値注文のうち、注文が出された時間が早い注文から優先して順次110円で成立させます(109円以下の指値注文と、注文が出された時間が遅い110円以上の指値注文および成行注文は不成立)。
クロージング・オークション中の成行注文には要注意
上の例を用いて説明を続けますが、例えば15時25分までの通常取引時間(ザラバ)中であれば、流動性の高い銘柄が100円の株価を付けていたら、成行の買い注文を出せば100円か101円、成行の売り注文を出せば100円か99円で注文が成立する可能性が高いです。
しかし、クロージング・オークション中に成行注文を出した場合、ザラバ終了時の15時25分時点で株価が100円であっても、その後15時30分までの時間に大量の買い注文や売り注文が出されると、100円よりだいぶ離れた株価で注文が成立してしまう可能性があります。
買いの場合であれば最大110円で買えてしまう可能性、売りの場合であれば最低90円で売れてしまう可能性があります。
もし今ついている株価近辺で成行注文を出して注文を成立させたいのであれば、クロージング・オークションが始まる15時25分までに注文を出しておくことで、想定外に高く買ってしまう、安く売ってしまうということは避けられると思います。
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