日経平均はエヌビディア最高値を好感して上昇も、週後半は反落
先週(営業日:10月28日~11月1日)の日経平均株価は、1週間で139円上昇して3万8,053円となりました。週前半は大きく上昇して10月30日(水)に一時3万9,417円をつけました。ところが、週後半に急落して、週末は3万8,053円となりました。
週前半は、米国株高を好感して、日経平均は上昇しました。米景気ソフトランディング期待が高まる中、米大手ハイテク株や半導体大手エヌビディア(NVDA)の好決算を好感して、ナスダック総合指数(ナスダック)が10月29日に一時最高値をつけたことが好感されました。エヌビディアが一時最高値をつけたことから「エヌビディア祭」再開のムードも出ました。
ところが、週後半は、一転してナスダックも売られました。米景気が想定以上に好調である中、米インフレ再燃の懸念が強まったことが嫌気されました。インフレ・金利上昇懸念から米国株が下がり、つれて日経平均も売られました。
日経平均・ナスダックの動き比較:2021年末~2024年11月1日
エヌビディア株週足チャート:2024年1月2日~11月1日
米景気は強すぎても弱すぎても株にはマイナス
過去2年以上にわたり、米景気がハードランディングする不安が続きましたが、いつまでも堅調な米景気が続いていることを受けて、ハードランディング不安は後退しました。それを好感して、米国株の上昇が続いていました。
ところが、足元、新たな不安が出てきました。米景気が堅調すぎて、インフレが再燃する懸念です。先週後半は、米インフレ再燃の不安から、米ナスダック総合指数・日経平均ともに反落しました。
11月5日の大統領選で、トランプ氏が優勢との見方が強まったことも、米インフレ懸念を強めています。トランプ氏公約は、法人減税など景気刺激策が中心であることに加え、輸入関税の大幅引き上げを公約していることから、米国内で物価が一段と上昇する懸念を強めています。
エヌビディアを中心に、ナスダック上場の大型ハイテク株が急騰した「エヌビディア祭」が思い出されますが、米インフレ再燃の懸念があることを考えると、このまま「エヌビディア祭」が復活してナスダックが一段高となるのは難しいと思われます。
10月の米雇用統計は弱くてサプライズ
11月1日に発表された10月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者増加数が前月比でわずか1.2万人の増加と「ネガティブ・サプライズ(弱くて驚き)」でした。ストライキやハリケーンの影響で一時的に弱かった可能性もあり、このデータだけで米景気に弱気の見方が広がることはありません。
米雇用統計:非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年11月
雇用者が前月比で20万人以上増加していれば「米景気好調」と判断されます。2024年に入り、増加数が20万人を割り込んできていることから、雇用軟化が意識されていました。
9月の増加数が22.3万人となり、20万人を超えたので「やっぱり米景気は強い」との見方が広がったばかりでしたが、10月がわずか1.2万人の増加と弱かったので「やっぱり米雇用は少しずつ軟化している」という見方が復活しました。
10月はストライキやハリケーンの影響で、一時的に弱く出ているだけの可能性もあります。また、1カ月のデータだけから、米景気のトレンドを判断することはできません。10月の数字を見て、米景気が弱いと見る向きは少ないものの、「緩やかな軟化」が続いていると言う見方は強まりました。
11月6~7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げが見送られるとの見方も一部に出ていましたが、今回の雇用統計を受けて、「0.25%の利下げ」があるとの見方が、また強まりました。
なお、10月の完全失業率は4.1%と、前月比で横ばいでした。
米雇用統計:完全失業率2021年1月~2024年11月
今週の最大の注目は、米大統領選
11月5日投開票の米大統領選に注目が集まります。共和党・トランプ氏が優勢とみられていますが、僅差で民主党・ハリス氏が巻き返す可能性もあります。
両者の公約は、税制・環境・通商政策などで「真逆」で、どちらが大統領になるかで、米国の進む道が大きく変わります。
トランプ氏公約は、米景気にプラスだが、米インフレ懸念を強めるリスクがあります。トランプ氏当選を織り込んで、金融市場では前倒しで、「米国株高・ドル高」のトランプ・トレードが進んでいました。トランプ氏勝利でも、金融市場にとっては、ある程度「織り込み済み」となります。
一方、ハリス氏勝利ならば、金融市場にとってサプライズとなり、米国株安・ドル安の巻き戻しが起こる可能性もあります。
与党が大敗した日本の衆院選に加え、米大統領選も、金融市場にとって大きな波乱材料となる可能性があります。
日本株は、長期投資で良い買い場との判断を継続します。ただし、短期的にはこれからも急落・急騰を繰り返すと考えられます。割安な日本株を時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えます。
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