2024年7-9月期決算はやや苦戦か、ゲーム開発・投資戦略の調整を加速

現地コード 銘柄名
09999

網易

(ネットイース)

株価 情報種類

124.40HKD
(10/18現在)

株価
企業情報
チャート

 中国のオンラインゲーム大手、ネットイースが11月中旬にも発表する2024年7-9月期決算について、BOCIは総売上高とゲーム売上高がいずれも前年同期比で5%減少するとみている。モバイルゲーム収入の落ち込み(前年同期比7%減、前期比横ばいを予想)が理由。いずれも市場コンセンサス予想を4%程度下回る見通しを示した。マクロ経済の減速や競争激化に直面する中、同社はゲームの開発、運営、投資の実行ペースを加速させているが、半面、自社コンテンツ主導でのIP(知的財産)のグローバル化という野望は揺らいでいないとの見方。2024年下期のモバイルゲーム事業の見通しが相対的に弱いとみて、目標株価を引き下げた。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

 ネットイースはここ数カ月、ゲームユーザー需要を満たしつつ、高ROI(投資収益率)を達成するために、国内外市場で、ゲーム開発・運営・投資戦略の調整をペースアップしている。例えば、国内では「射雕(Condor Heroes)」に大幅な変更を加えた上で、テストサーバー上で2.0バージョンの試験運用を実施。「天啓行動(Operation Apocalypse)」は10月に正式リリースしたばかりだが、わずか1カ月半でサービスを停止することを決めた。海外では、2020年6月に開設した東京の「桜花スタジオ」やカナダ子会社Skybox Labsでの人員削減や組織再編を実施。ROI重視の戦略方針をうかがわせた。BOCIは最新情報を基に、2024-26年のモバイルゲーム収入に関する予想を4-8%引き下げる半面、PCゲーム収入を2-5%増額修正(米Blizzardとの提携再開による効果)。ゲーム全体の予想売上高を2-5%減額修正した。また、コスト削減努力を反映し、2025-26年の予想営業費用を小幅に引き下げた。

 2024年7-9月期の総売上高について、BOCIは前年同期比5%減の258億元を予想している。オンラインゲームの予想売上高も5%減の193億元(前四半期比ほぼ横ばい)。うちモバイルゲーム売上高に関しては、新作投入に伴う前年同期実績の高さというベース効果で、7%減を見込んでいる(前四半期比ほぼ横ばい)。粗利益率と調整後純利益率に関する予想はそれぞれ62.6%、30.3%。いずれも市場予想と同水準となっている。

 BOCIは同社の香港上場株、米株の目標株価をそろって引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。1ADS(米国預託株式)当たり調整後利益をベースに2024年予想PER(株価収益率)11.0倍をあてはめた上で、オンライン教育事業子会社の有道とクラウド音楽事業の評価額や手元資金分を上乗せし、目標株価を設定した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ経済とオンライン消費の弱さ、ゲーム規制の強化、投資の失敗、提携関係の悪化、ADR(米国預託証券)上場廃止などの可能性を挙げている。