いよいよ衆議院の解散総選挙へ
去る10月9日、衆議院が解散しました。10月1日に総理大臣に就任したばかりの石破茂首相でしたが、就任からわずか8日での超スピード解散となりました。
株式投資を長年している個人投資家の方は、「選挙は買い!」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
実はこれ、何となく言われているのではなく、データとして表れているものなのです。
1969年以降に行われた衆議院の解散総選挙は17回ありますが、その全てにおいて、解散から総選挙までの間の日経平均株価は上昇しています。
これは理屈では説明できない「アノマリー」と呼ばれる現象です。
「選挙は買い!」を意識しすぎると危険
でも、過去17回連続で衆議院の解散から総選挙まで日経平均株価が上昇しているのだから、今回も同じように上昇するに違いない!と息巻くのは危険です。
まず、過去そうだったから今後も同じようになるとは限らないからです。確かに過去17回連続で日経平均株価が上昇しているというのは事実ですが、今後も同じように上昇し、上昇率100%が継続するかといえば、それは分かりません。
無論、現時点では上昇の可能性がかなり高そうだ、ということは推測できますので弱気になる必要はないと思います。しかし、仮に株価が下がったときに、「今回も最終的には株価は上がる!」と信じて持ち続けた結果、株価がさらに大きく下がってしまう…ということは避けなければいけません。
日経平均株価だけ強い可能性も大いにあり得る
もう1点注意しなければいけないのは、過去衆議院の解散総選挙にて解散から総選挙までの間に17回連続で上昇しているのはあくまでも「日経平均株価」ということです。
事実、10月11日時点で日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)の株価チャートを見比べると、日経平均株価はじり高になっているのに対し、TOPIXはほぼ横ばいであり、日経平均株価の方が強いことが分かります。
さらに東証グロース市場250指数をみると、じり安になっており、日経平均株価と比べると明らかに弱い動きです。
日経平均株価よりTOPIXの方が強いときの方が個人投資家の投資パフォーマンスは良くなり、逆に日経平均株価の方が強いときには個人投資家はなかなか利益が上げられない、ということが良く起こります。
日経平均株価が上昇を続ける一方で、自身の持ち株が下がることも大いに考えられますが、このときに絶対にやってはいけないのが「日経平均株価が強いから、自分の持ち株もそのうち上昇するだろう」といって、株価下落を放置することです。それにより、塩漬け株を作ることになってしまいかねませんので十分注意しましょう。
また、日経平均株価上昇の恩恵を受けるのであれば、日経平均株価連動型のETF(上場投資信託)や、日経平均先物への投資を考えるのもありだと思います。筆者は日経平均株価だけやたら強く、個別銘柄はイマイチ、という状況であってもできる限り利益を得られるよう、日経平均先物も投資対象としています。
重要なのは選挙後の株価の動き
重要なのは解散から総選挙までよりも、総選挙後の株価の動きです。解散から総選挙までの期間は、「選挙によって日本が良い方向に向かってくれるかも」という淡い期待感があると思いますが、それはあくまでも選挙の時までの話です。
総選挙後は、選挙によって選ばれた国会議員による内閣がどのくらい期待に応えてくれるのか、そして実際に日本経済にとってプラスになる政策を実行してくれるのかにより、株価が大きく変動する可能性があるからです。
実際、総選挙後の半年間で日経平均株価が15%以上の上昇をしたり、逆に下落したことが何度もあります。
では、総選挙後の株価の大きな変動に備えて何か事前に準備をしなければいけないかといえば、特段ありません。いつも通りのことを淡々と続けていれば大丈夫です。
筆者であれば移動平均線を超えた銘柄を買い、移動平均線を上回っている間は保有を続け、下回ったら売却する、というルールに沿って普段から行動しています。
もし総選挙後の日本株が大きく上昇することになれば、個別銘柄の多くも移動平均線を超えてきますからそれを買えばよいわけです。
逆に、日本株が大きく下がることになれば、個別銘柄も移動平均線を割り込んで大きく下落するでしょうから、移動平均線割れとなったら売却して、それ以上の損失を回避して次の買い時を待つ、とすればよいのです。
衆議院の解散総選挙と聞くと、いつもと違うことをしなければならないと感じてしまう方もいるかもしれませんが、あくまでも自分自身が決めたやり方、ルールに沿っていつも通りの行動をしていれば大丈夫です。
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