株式投資の失敗を恐れてはいけない
株式投資をしている個人投資家であれば誰しも、失敗はしたくない、と思っていることでしょう。特に初心者・初級者の方ほどそう思っている傾向が強いと思います。
逆にベテラン投資家は、もちろん失敗したくないという気持ちはあるのですが、そもそも株式投資は「結構な割合で失敗するもの」であると半ば悟っている方が多いように感じます。
筆者も株式投資歴が25年超になりますが、失敗は数知れず。買った株がすぐに大きく下がったり、逆に持ち株を売却したらその後急騰したり、あるいは買うかどうか迷って買った銘柄が全然上がらず、買わなかった銘柄の株価が10倍になるなど、数え上げればきりがありません。
失敗知らずの投資家の成功事例は疑ってかかるべき
筆者の周りには、いわゆる「億り人」(株式投資で1億円以上の財産を築いた人)が何人もいますが、そのようなすご腕個人投資家と話をしていても、連戦戦勝というようなことを言う人は1人もおらず、逆に失敗した話をよくしている印象です。
初心者・初級者の個人投資家の方は、億り人のすご腕投資家なら、さぞ勝率は高いだろうとか、ほとんど成功しているのだろう、と思ってしまうでしょう。でも、決してそんなことはないのが現実です。
そのため筆者は「勝率95%超!」とか「今まで負け知らず」とか「毎月確実に稼げる」といったような成功事例や広告の類は端から信じないことにしています。
そうした話は得てして誇張されていることが多いです。また、異常に勝率が高いものは、買った株が含み損になっても売らなければ実現しないので、買った後株価が下がったものは塩漬けにして、株価が上がったものだけ売却すれば計算上100%の勝率にできます。でも、そんなことをして、塩漬け株だらけになってしまえば、事実上は大失敗です。
「成功」と「失敗」の定義づけこそが重要
極めて重要なことは、何をもって成功・失敗と呼ぶのかの定義づけです。ここを勘違いしてしまうと、一生成功できないのではないか、と思ってしまうほど重要だと筆者は感じています。
最もやってはいけないのは、利益を得られたら成功、損失を被ったら失敗、というように、「成果」だけで判断することです
もちろん長い目で見れば「利益=成功」「損失=失敗」となるのですが、それに至る「プロセス」が非常に重要なのです。
例えば業績の裏付けがないにもかかわらず、SNSで「もっと上がる!」「ここから5倍は間違いない!」などと騒がれているような銘柄を上昇途中で飛び乗って高値づかみしたとしましょう。その後株価はぐんぐん上昇、本当に買値から5倍になって売却しました…、果たしてこれを成功とみてよいでしょうか?
買った株が大きく下がってしまい、ついには買値の10分の1になってしまいました。今更売っても大損するので我慢して持っていたら、10年後に株価が買値まで戻り、損失を回避することができました…、これも成功と言えるのでしょうか?
ルール通り行動した結果の損失は「成功」
筆者は「成功」「失敗」を、自身で決めたルール通りに行動できたかどうか、という意味でとらえています。
例えば売買のタイミングについては、原則として移動平均線を用いたルールをあらかじめ設定しています。このルールに沿えば、上記のように、株価が急騰している株に飛び乗ったり、買値から株価が下がり続ける株を持ち続けたり、ということ自体を回避できます。
これらの行為は、裏目に出たら大きな損失につながるものですから、個人的には絶対に回避すべきことと考えています。
損切りや利食いのルールもありますが、例えば損切りにより実際に損失が生じていても、ルール通り動けたのであればそれは「成功」です。もし損切りしなければさらに大きな損失を被っていたかもしれないからです。
また、利食いについても、利食いした後に株価が急騰してしまうこともあり、非常に悔しいですが、これもルール通り動けたのなら「成功」です。株価はどこまで上がるか、いつ天井を付けるかは分かりませんから、できる限り利益を伸ばしつつ売るためのルールを割り切って決める必要があるのです。
株式投資では、いつも自分の思い通りになるようなことは絶対にありません。ルールを決めていても裏目に出ることは多々ありますが、適時適切に売買をするためのルールは、大きな失敗を避けつつ、可能な限り利益を伸ばすためにはやはり必要なことなのです。
もちろん、ルール通りに動いた結果、長期間損失が続いているのであればそもそものやり方が誤っている可能性も高くなりますから、ルールの見直しも必要かもしれません。
やはり最も重要なことは「大失敗」を避けること
以前のコラムでも触れた話ですが、筆者は株式投資を長年続けていくにあたって最も重要なのは、再起不能になるほどの「大失敗」を避けることだと思っています。
実は「大失敗」につながる方法は、裏を返すと「大成功」する方法です。要は運次第でどちらに転ぶかにより大勝ちか大負けかが決まってしまう、ギャンブルのようなものです。
典型例はレバレッジをかけて信用取引をしたり、一つの銘柄に投資資金を集中させる、というようなものです。
ですから、成功を目指すときは、ダイレクトに「大成功」を目指すのではなく、まずは裏目に出れば大失敗につながるような行為を避けること、そのためにしっかりとルールを設定して守ることです。
それにより大失敗をまずは防いだ上で、そこそこの大きな成功を目指すべきです。そしてその延長線上で、マーケット環境が想定より良い状況になれば自然と大きな成功につながる、というようなイメージを持つのがよいと思います。
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