自前の半導体利用で粗利益率とセキュリティー向上

現地コード 銘柄名
00763

中興通訊

(ZTEコーポレーション)

株価 情報種類

15.82HKD
(9/23現在)

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 主要顧客の通信キャリア各社がAI/演算能力ネットワークへの投資に軸足を傾ける中、中興通訊が手掛ける従来型の通信設備に関しては需要減速懸念がくすぶるが、BOCIはこの要因を新たな収益モデルを反映させた上で、利益の上振れもあり得ると指摘している。ネットワーキング製品や端末製品において、独自開発の半導体の採用を進めていることを高く評価。これが同社全体の粗利益率の向上だけでなく、ハードウエアからソフトウエアに至るまで、セキュリティー管理の強化にもつながる見通しを示した。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国の大手通信機器メーカーである中興通訊は、パブリックネットワークから端末/ハンドセット、さらに特定分野(ワイヤレスアクセス、広域スペクトルを使用した4G-5Gのワイヤレスネットワークなど)を対象とした特殊アプリケーションに至るまで、幅広くワイヤレスおよび有線のアプリケーションを手掛ける。独自開発の半導体を自社製品に幅広く採用していることが寄与し、2024年6月中間期の粗利益率は40.5%と、同業銘柄を上回る水準に達した。

 また、同社は複数の新興国市場で現地の通信キャリア各社と組んだ経験を持つ。ネットワークインフラ機器から端末/ハンドセットに至るまで、エンドツーエンドのトータルソリューションの提供において実績を積み上げている。

 一方、中国国内の通信キャリアによる従来型通信設備の需要減速は、すでに収益モデルに織り込み済み。BOCIはその上で、2024年下期の総売上高と純利益について、それぞれ前年同期比2.6%増、7%増を予想。売上高の28.6%を海外市場(アジアとアフリカを除く)が占めるとみている。

 BOCIは向こう1年のフォワードPER(株価収益率)8.6倍をベースに目標株価を据え置き、同社株価の先行きに対して強気見通しを維持した。この8.6倍との数字は過去3年間のヒストリカルレンジの中央値。国内の通信キャリア各社が投資対象分野を5GからAI/演算力ネットワークにシフトする中、通信設備の需要減速による影響を反映させた。

 レーティング面の潜在リスクとしては、サプライチェーンの混乱や主要部品および半導体製品の供給ひっ迫を挙げ、これが最大のリスク要因になり得るとの見方。また、中国国内市場の売り上げ比率が70%を超えることで、国内経済の変調が収益に悪影響を及ぼす可能性もあるとしている。