金相場は下落し、約4カ月ぶりの安値を付けた。

市場予想より堅調だった米雇用統計を受けて、追加利上げの観測が高まったことが上値を抑えた。6月の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比22万2,000人増と、市場予想の17万9,000人増を上回った。これで金相場は今年3月以来の安値水準をつけたことになる。

先週は欧米の中央銀行が金融政策の引き締めに前向きな姿勢を示していることから米長期金利が上昇し、ドルが堅調に推移していることが売り材料視された。今回の雇用統計でさらにその傾向が強まる可能性があり、金利を生まない資産である金には下押し圧力がかかりやすくなる。

6月13・14日に開催されたFOMC議事要旨では、参加者のインフレ見通しや、FRBが保有する資産の圧縮について、その開始時期について意見が割れていたことが判明した。これまでFRB関係者の多くが、積極的に利上げを行う主旨の発言を繰り返していたが、実際にはそのようなコンセンサスが整ってない状況にあることが浮き彫りになっている。

一方、原油安でインフレも高まっていないことから、市場における9月の利上げも引き続き低水準で推移しており、これが先週の金相場を下支える場面もあった。また、北朝鮮によるミサイル発射などの不透明感が、安全資産である金への投資を促していた。さらにECB議事要旨で、量的緩和の縮小も選択肢との認識であることが明らかになり、世界的に株価が下落したことも金買いを促した。

しかし、7日発表の6月の米雇用統計を受けて、金相場は再び急落した。この動きを受けて、世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、6月30日の852.50トンから7月7日には840.67トンに減少している。一方、COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、7月3日時点で9万3,799枚の買い越しとなり、前週から3万7,897枚減少した。買いポジションが1万4,905枚減少し、売りポジションが2万2,968枚増加したことで、ネットの買い越しポジションが急減した。買い越し幅の水準は今年最低で、昨年2月以来の低水準にまで落ち込んでいる。特に買いポジションの低下が顕著であり、投機筋の買い意欲が大きく減退し始めていることがうかがえる。また、週末に大きく値を下げていることもあり、さらにネットの買い越は減少しているものと思われる。来週発表分で確認したいところである。

いずれにしても、目先は節目の1,200ドルで下げ止まるかを確認することになろう。

非鉄相場はおおむね軟調。

LME在庫はまちまちの内容だった。米雇用統計発表後にドル高が進んだことで、ドル建てで取引される非鉄は割高感から売りに押される格好となった。アルミは下落し、銅は続落。ただし、節目の5,800ドルは維持しており、完全には崩れていない。ニッケルは大幅下落し、重要なサポートの9,000ドルを再び割り込んだ。亜鉛は続伸し、上昇基調を維持し、鉛は続伸して2,300ドルを回復した。中身はまちまちだが、全般的には強い動きにあるといえる。

10日には中国の消費者物価と卸売物価、13日に中国の貿易統計が発表される。また14日には米国の消費者物価や鉱工業生産の発表も予定されている。これらの内容にも注目しておきたい。

原油は3%近くの下落。

市場では、OPEC主導で日量180万バレルの協調減産が延長されたにもかかわらず、6月のOPEC原油輸出量が前年同月から日量200万バレル増加したことが嫌気されているようである。

ロイターによると、現時点のOPEC産油量は今年の最高水準となっている。一方、減産合意を監視している産油国グループは24日に合意修正の勧告を視野にロシアで会合を開く予定である。こうした中、米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比7基増の763基となり、原油安が生産の足かせになっていない状況が示された。水準としては、15年4月以来の高水準だった。前年同週は351基だった。これで、過去25週のうち24週でリグ稼働数が増加したことになる。16年6月からの58週では、54週で増加している。ただし、原油価格の下落を背景に、増加ペースは過去数カ月で鈍化していることも事実である。

一方、米国内の産油量は日量934万バレルと、保守点検や熱帯低気圧が要因で減少した前週から増加に転じており、米国の生産ペースが減速するには、原油価格がかなり安くなる必要があるだろう。市場が考える原油相場の均衡点を見つけるのは難しい作業である。一方、ロシアのプーチン大統領は、「世界のエネルギー市場に調和をもたらし、相場の変動を緩和するため、他国と引き続き協力していく」としている。

OPECの代表筋は、「ロシアが協調減産合意の変更に柔軟な姿勢を示したことは明るい材料であり、供給過剰を解決するための追加措置を検討する上での足掛かりとなる」との認識を示している。OPEC加盟国とロシアをはじめとする非加盟産油国は、18年まで減産を延長することで同意したが、減産を免除されているナイジェリアやリビアの増産などを背景に、原油価格は5月以降下落傾向にある。

サウジアラビアやロシアなど主要産油国は、原油価格を押し上げるための即時の追加対策は不要との認識を示しているが、現状を考慮すれば、実際にはある程度の追加的な措置が必要になるだろう。ロシアのエネルギー相は、「必要であれば、減産の内容変更などの案について検討する用意がある」としている。OPEC代表筋は、「追加措置についての具体的な協議は今のところ行っていない」としているが、その一方で「ロシアの発言は、減産幅拡大などの検討案について建設的な基盤を与えるものである」としている。

50ドルをなかなか回復しない中、OPECは原油市場での生き残りをかけて、一段の措置に踏み切らざるを得なくなりそうである。具体的には、原油相場が100ドルを維持していたころの産油量である日量3,000万バレル程度にまで戻すくらいの英断が必要になるだろう。これは相当の痛みを伴うことからかなり難しい判断になろう。しかし、市場構造を変えるには、それくらいの英断は必要である。

今後はOPEC加盟・非加盟国の本気度が試されることになるだろう。7月3日時点の投機筋のNYMEX・WTI原油先物・オプションの買い越しは、前週から1万3,859枚増加したが、その後に下落しており、さらに解消されているものと思われる。投機筋の売り圧力もまだまだ止まりそうにない。

米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計では、前週比630万バレル減と、市場予想の230万バレル減を大幅に上回った。またガソリン在庫も370万バレル減と、市場予想の110万バレル減を大幅に超えた。しかし、在庫水準が過去平均を6%上回っていることもあり、市場関係者は依然として強気になれていないようである。

このような状況もあり、市場では原油価格見通しの下方修正が相次いでいる。市場関係者の多くが弱気に傾き始めているが、このような動きは底値が近いことを示しているようにもみえる。