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著者の白石 定之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均、景気循環と企業業績から見た妥当値は?」
株価の現在地はどこ?日経平均は上がりづらい局面に突入か
日経平均株価(225種)は、相変わらずの乱高下の動きとなっています。
今後、上昇していくのか、はたまた下落していくのか、気になるところかと思いますが、まずは景気循環において現在どの位置にいるのか、企業業績はどうなっているのかを見てみましょう。そして、それを基に、今後の日経平均の妥当値について考察していきたいと思います。
まず、私が捉えている景気循環における株価のイメージと現在の位置は次の通りです。
(図1)景気循環における株価のイメージと現在の位置
この景気循環は、約3年半で循環する在庫循環をベースにしているもので、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていて、それぞれの位置付け、過去における株価の傾向は、次のようになっています。
「春」…不況から景気回復の局面(株価は上昇する時期)
「夏」…景気回復から好況の局面(株価は上昇する時期)
「秋」…好況から景気後退の局面(株価は上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期)
「冬」…景気後退から不況の局面(株価は前半に大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期)
そして、季節の変わり目は、図1の赤字で示したように定義付けをしていて、7月29日発表のファナック(6954)の第1四半期決算において、売上高・在庫がともに前年比で減少したので、現在は「冬(後半)」という「底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期」に位置しています。
次に、日経平均と、独自分析している日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の関係を見ていきましょう。
(グラフ1)日経平均株価と予想EPSの推移
グラフ1から、日経平均と予想EPSは、おおむねパラレルの関係にあることが見て取れ、 日経平均と予想EPSの前年比増減率の関係を見ると、次のようになっています。
(グラフ2)日経平均株価と予想EPS(前年比増減率)の関係
グラフ2から、ざっくりとですが、予想EPSの前年比増減率がピークを越えて右肩下がりになってくると、日経平均は上がりにくくなっていることが見て取れます。
直近のピークは8月第5週で、現在はピークアウトした形となっているので、今後においては、日経平均は少なくとも上がりにくくなることが想定されるということになります。
景気循環と予想EPS前年比増減率から探る日経平均の妥当値
ここまでをまとめると、景気循環は「冬(後半)」、日経平均の予想EPS前年比増減率においては「ピークアウト」となっていて、これを基にした日経平均の妥当値を、私は経験上、次のように考えています。
(グラフ3)日経平均株価の妥当値
直近の橙線は、左軸の日経平均の方で見ると3万2,550円あたりに位置しています。現在の景気循環と、日経平均の予想EPS前年比増減率の状況から考える日経平均の妥当値は次のとおりです。
- 企業業績が伸びている局面 → 橙線の10~20%上=3万5,800~3万9,050円
- 企業業績が伸び悩んでいる局面 → 橙線~10%上=3万2,550~3万5,800円
- 企業業績が悪化に転じてきた局面 → 橙線~10%下=2万9,300~3万2,550円
それでは、この三つのうち、今、どの局面にいるのかですが、アナリスト予想で上方修正も下方修正も何もなければ、橙線の予想EPSは分析上、1週間で4.1円増えていく形(9月20日時点)となっています。
このプラス4.1円を基準にして、直近4週間における週平均がそれよりも高ければ「(1)企業業績が伸びている局面」、それ以下だがマイナスにはなっていなければ「(2)企業業績が伸び悩んでいる局面」、マイナスになっていれば「(3)企業業績が悪化に転じてきた局面」と定義しています。
では、足元はどうなっているのかというと、9月20日までの直近4週間の週平均はプラス0.68円となっているので、現在は「(2)企業業績は伸び悩んでいる局面」、日経平均の妥当値は、3万2,550~3万5,800円ということになります。
日経平均は乱高下が続いていますが、日々の値動きに踊らされて一喜一憂することのないよう、俯瞰(ふかん)して見ることのできる何らかの基準を持っておくことはよいのではないかと私は考えています。あくまでもご参考ではありますが、一つの目安にしていただけましたら幸いです。
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