8月以降株価が乱高下していますね。特に新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)から初めて投資を始めた方はとても驚かれたのではないでしょうか。これまでの相場が急激な右肩上がりだったので、今回初めてマイナスを経験したという方も少なくないでしょう。今回は、株価大暴落時に大家族FPが行った三つのことをお話します。

1.運用目的と運用可能期間の確認

 株価が下がると怖くなって売りたくなる方が多いと思います。以前は私も暴落時に慌てて売ってしまった経験があります。当時も今のように最初はどんどん株価が上がっていたので、普通預金に置いていてももったいないと思い、どんどん追加投資をしていました。するとある時、株価が暴落し、含み損益がマイナスとなってしまったのです。

 びっくりした私はこれ以上損をしたくない!と思い、大慌てで売却してしまいました。でもしばらくすると株価は戻り、すでに売却してしまった私は損をしただけで終わってしまうという悲しい結果になりました。当時は余剰資金の運用だったので、慌てて売る必要はなかったはずなのです…。

 運用目的と運用可能期間を確認することで、キャッシュを確保すべきなのか、株価が戻るまで待つことができるのかを判断することができます。

 我が家もNISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などで運用をしていますが、それぞれ目的に応じて使い分けています。それぞれの目的と運用可能期間をこの機会に確認することにしました。

2.月々の収支の確認

 元本割れしてでもキャッシュを確保しなければならない状況なのか、逆に追加投資しても大丈夫な状況なのかを判断するためには、現状の収支がどうなっているかも確認する必要があります。

 我が家の場合は、来年4月から一人進学を控え、2年後にももう一人進学が控えているので、今の収支だけでなく、4月から念のため2年後でも月々の収支がプラスになるのかを確認しました。

 収支がプラスになっているのであれば、貯まっているお金は余剰資金となるので、追加投資をすることができます。

3.売るor買うor維持

 株価が暴落すると怖くなって、狼狽(ろうばい)売りしてしまう、追加投資をする、特になにもしない(できない)の3択になるかと思います。

 運用目的や運用可能期間、また月々の収支の確認をすることで、3択のうちどれを選択するかを判断することができます。

 橋本家の場合、運用目的と運用可能期間は以下となります。

  • 教育資金用積立投資:子どもの年齢ごとに3~8年可能(旧NISA、新NISA、変額保険)
  • 老後資金用積立投資:30年以上可能(iDeCo、確定拠出年金)
  • 余剰資金運用:特に期間を定めず可能(旧ジュニアNISA)

 また、月々の収支は2年後に学費が上がったとしてもプラスになることが分かりました。これらを確認した上で今回の運用金額などを修正しました。

 実は今回の暴落の少し前に教育資金用に積み立てていた旧NISAでの投資分は解約していました。基本は長期積立投資をモットーとしていますが、旧NISAの非課税満了期間終了時に新NISAで買い直す予定だったので、いずれ来る暴落前に終了時期が近いものは解約をしておこうという算段でした。

 おかげで今回、割安になった個別銘柄を新NISAの成長投資枠を活用して買い増すことができました。新NISAでは非課税期間が終身なので、この株は長期で保有し続けるつもりです。

 新NISAで積み立てている分は金額も変えず、積み立てを継続しています。変額保険についても保障としての意味合いもあるので、継続しています。

 老後資金用に積み立てをしているiDeCoと確定拠出年金は運用目的がまだ当分先のものなので、銘柄も金額も変更するつもりはありません。ただ、これを機に運用状況の確認をすると、確定拠出年金の規定の変更が行われており、マッチング拠出できる金額が上がることが判明しました。

 マッチング拠出とは、企業が出してくれる拠出金に上乗せして自分で拠出できるというものです。マッチング拠出をすることで、所得控除が増え、税金が安くなります。なので、こちらは金額変更(拠出金引き上げ)をしています。

 暴落のタイミングで積立金額を増額できたのでラッキーだったのかなと思っています。皆さんもこの機会に規定の変更などがないか、確認してみると良いでしょう。

 旧ジュニアNISAについては余剰資金でもあり、子どもが18歳になるまで非課税運用ができるので、そのまま運用を継続しています。

まとめ

 相場が良いときには、暴落がいつか来ると言われてもにわかには信じられなかったことでしょう。でも、株価が上がり下がりしながら経済は成長していくものなので、ごくごく当たり前に下落局面は訪れます。それは今後も同じです。

 目的と期間、収支を確認することで、正しい判断をすることができます。また、今回の乱高下で心が揺れて揺れてしょうがなかったという方は、目的や期間、収支を確認することに加えて、自身の心の揺れも考慮し、心穏やかに長期投資を続けられる金額での投資にしておくことをおすすめします。