9月FOMCでの利下げはほぼ確定的か

 先日、ジャクソンホール会議でのFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言が9月利下げを示唆する内容であったとして、為替レートが急速に円高方向に触れました。

 将来のFRBでの金融政策につき、マーケット参加者の予想結果が掲載されているサイトがあるのですが、9月利下げの確率は100%で、0.25%ではなく0.5%の利下げを予想する人が3分の1に上っています。

 このように、数年間続いた金融引き締め(利上げ)局面から金融緩和(利下げ)局面に変わるということは、米国の金融政策の大きな転換であり、米国の経済や株式市場、ひいては日本の株式市場にも大きな影響を与えると言ってよいでしょう。

金利低下は理屈上、株式にとってプラスだが…

 教科書的に言えば、金利低下は株式にとってはプラスです。インフレ進行による消費行動抑制も緩和されるでしょうし、企業の資金調達時の金利が小さければ調達コストも抑えられます。

 また、株価決定のモデルにはいくつかありますが、基本はその会社が将来得られる1株当たりの価値(利益やキャッシュ・フローなど)を現在価値に割り引いて求めます。この現在価値に割り引くときの割引率を国債利回りとすれば、利下げにより利回りが低下するほど割引率も小さくなるため、計算結果としての理論的株価は高くなります。

 ただ、実際は利下げにより株価が上昇するかといえば、過去のデータを見る限り、必ずそうなるとはいえません。

 確かに利下げ後に株価が上昇するケースの方が多いのですが、例えば2007年の利下げ後は、その後2008年のリーマン・ショックの大暴落につながりましたし、2001年の利下げ後も株価は大きく下落しました。

 今回は、利下げにより景気が浮揚してソフトランディングとなる、とする見方が大勢ですが、実際にはふたを開けてみないと分からない、と思っておいた方がよいでしょう。

株価が堅調な限りはそれについていくのが吉

 足元のマーケットを見ると、米国株は利下げ後の景気浮揚を織り込むような形で株価上昇が続いていて、ダウ工業株30種平均も史上最高値を更新中です。

 また、日本株も円高進行により上値はやや重いように感じますが、8月初旬の急落後は一貫して株価上昇が続いています。

 上で述べたように、利下げ後に株価が上昇することもありますし、下落することもあります。今回どうなるかをいくら考えても分からないことですし、下手に予想してそれが外れてしまうと利益を得る機会を逸してしまったり、逆に大きな損失につながる恐れもあります。

 従って、筆者個人的には、株価が堅調な限りはそれについていく、つまり買いポジションを構築して上昇が続く間はその流れに乗る、というのがよいと思います。

 もし利下げ後に株価が下落するのであれば、上昇トレンドの銘柄も順次下降トレンドに転じるでしょうから、そうなったら売却しても十分間に合うはずです。

 上がるか下がるか、分からないものをいくら考えても答えは出てきませんから、上がっている間は買い、下がったら売る、というシンプルな方法で対応するのが無難です。

不遇が続いていた成長株の反発に期待

 筆者個人的には、ここ数年間利上げによる逆風で不遇が続いていた成長株の反発に期待したいと思います。

 一般的に成長株は金利低下が追い風、金利上昇は逆風とされていて、ここ数年はまさにその通りの動きとなっていました。

 東証グロース市場250指数と日経平均株価のチャートを見比べると、同じ国の株価指数なのか、というくらい異なっていることが分かります。

 ただ、東証グロース市場250指数は上昇するときの勢いは強く、比較的短期間で大きく上昇することが多いです。

 成長株の多くは株価が大きく下落した結果、かなり割安な水準に達しているものも多く、きっかけ次第で株価が反転上昇する可能性は大いにあると期待しています。

 先日のジャクソンホール会議後の東証グロース市場250指数は1日で5%近くの急騰を見せました。これは、マーケットは米国の金利低下が日本の成長株にも追い風になる、と感じている証左だと個人的には思っています。

 米国の金融政策の変更は、個別株の物色対象の変化にもつながりますので、変化の兆しには注目していきたいものです。

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