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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【楽天証券】8/30「来週のドル/円、買うか売るかの判断基準は?」FXマーケットライブ 」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは150.75円
↓下値メドは148.35円
iPhone:部品の90%は中国製。全て米国で組み立てると価格は5,000ドル(78万円)になる
米大統領選:勝負は9月から始まる。全米有権者の1/3が期日前投票
インフレ基準:消費者は、食料品のような、購入頻度が高く狭い範囲の価格でインフレを判断する
FRB:シカゴ連銀総裁「インフレが2%に下がるまで利下げを待つ必要はない」
AI相場:AI取引の次の主役は再生可能エネルギー
前日の市況
8月29日(木曜)のドル/円相場は、前日比0.39円の「円安」。
ジャクソンホール会議でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が9月会合の利下げを明言したことを受けて、先週末から週明けにかけて全般的なドル売りが強まった。
ところが、米国の第2四半期GDP(国内総生産:改定値)が予想を超える強さだったことで、「利下げ&ドル安」を織り込み過ぎているのではないかという警戒感が出始めている。たとえ利下げが確実だとしても、 そのスピードと規模(利下げ幅)は、来月のFOMC(米連邦公開市場委員会)前に発表される米雇用統計やCPI(消費者物価指数)の結果次第で大きく変わる可能性がある。この日は「行き過ぎた期待感」の修正でドル/円は145円台に上昇した。
2024年174営業日目は144.47円からスタート。東京時間朝につけた144.22円がこの日の安値で、下げは浅く、前日の安値(143.67円)に接近することもなかった。
米国の4-6月(第2四半期)の米GDP改定値は、堅調な消費支出を背景に前期比+3.0%に上昇修正された。「緊急利下げが必要」から「利下げは急ぐ必要ない」へとマーケットの雰囲気が変わるなかでドルが買われ、夜遅くには前日の高値(145.02円)を超えて145.55円まで上昇して、今週の高値をつけた。終値は144.99円。24時間のレンジ幅は1.33円。
来週はFRB(米連邦準備制度理事会)以上に、ECB(欧州中央銀行)に注目が集まりそうだ。
1週間前の8月23日に対ドルで1年1カ月ぶりの高値となる1.12ドル台まで上昇したユーロ/ドルだが、サポートとされた1.11ドルを下抜けして、1.10ドル台半ばまで大きく下落している。このユーロ安のきっかけは、ドイツの8月CPIが前月比マイナス0.1%に下がったことだ。
FRBは、GDPが堅調でも、それを持続させようと先回りして利下げしようとしている。一方ECBは、ドイツの第2四半期GDPが前期比-0.1%に縮小して、インフレも下がっているのに、まだ利下げに慎重だ。FRBとECBの政策スタンスの違いと金利差縮小のどちらをマーケットが重視するかで、ユーロの方向が決まるだろう。
個人投資家 最新売買動向:
下のドーナツグラフは、楽天FX口座における個人投資家の最新の売買比率(売りと買いの数量の割合)で、外側のドーナツは「建玉(保有ポジション)」、内側のドーナツは「注文(オーダー)」の比率を示している。
ユーロ/円:
8月30日時点のユーロ/円のオープン(未決済)ポジションは、ショート56%に対して、ロングは44%。
依然として「ユーロ売り持ち」が多い状況になっている。1週間前の8月22日と比べると、その間にジャクソンホール会議という大イベントが挟まっていたにもかかわらず、ポジション比率は、全く変わっていない。
オーダー状況は、売りオーダー44%に対して、買いオーダーは56%で、買い興味が強い。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
老いとは、年齢ではなく、適応力の喪失である
Every Woman In The World
FRBは過去30年間に8回、臨時会合での利下げを行ったが、その全てにおいてショックが株式市場にとどまらず広く拡大していた。債券市場では、資金の流れが目詰まりを起こし企業活動に支障をきたすリスクが発生していた。
今回の状況は、強いて比較するならば、状況は雇用者数が落ち込んだ2001年1月と似ている。しかし当時は、前の年の2000年に2回(6月と10月)に雇用者数がマイナスに落ち込むなど、経済はかなり弱っていた。7月のNFP(非農業部門雇用者)は、11.4万人増と事前予想の17.5万人増を大きく下回ったが、これはアメリカ南部を襲った大型ハリケーン「ベリル」のせいで出勤できない労働者が増えたことによる一時的なものである。そもそも雇用者数は、マイナスにはなっていない。現在の米経済に、このような変調は見られない。
FRBは9月に0.25%%の利下げを実施することは確実だ。しかしFRBが大幅利下げや緊急利下げを実施する可能性は低いだろう。FRBが対応するべきものはインフレと成長であって、株価の水準や相場のボラティリティではない。FRBが株式市場の下落に対して利下げするのは、相場の乱高下が金融システムの安定を脅かす時に限定される。株式市場はすでに平穏を取り戻している。米国の景気後退を示す明らかな証拠も見当たらない。
2000年以降のFRBの利下げとその主な理由
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
Winners & Losers
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