先週(営業日:8月19~23日)の日経平均株価は、1週間で301円上昇して、3万8,364円となりました。
日経平均株価週足:2024年1月4日~8月23日
日経平均は再び、岩盤となっている3万8,000~3万8,500円のゾーンに戻ってきました。今年の日経平均は、このゾーンから上へも下へも行けず、膠着(こうちゃく)している形です。3月にいったん上値トライしましたがすぐ売られ、7月に再度上値トライしましたが、これもすぐに売られ、上値トライは失敗しました。
上値トライが2度失敗したことで、「二番天井」を形成し、テクニカルに弱い形となりました。そこで8月には、下へ売り込む動きが出ました。しかし、今度は、「長い下ヒゲ」を出してから大陽線をたてる「V字反発」を見せて、あっという間に3万8,000~3万8,500円のゾーンに戻ってきました。下値トライも、失敗となりました。
これで、3万8,000~3万8,500円より上は、売り圧力が強いが、下は押し目買い圧力が強いことが分かりました。テクニカル分析だけで判断すると、日経平均は、当面、3万8,000~3万8,500円を中心として、大きくは上へも下へも行きにくい展開が続くように見えます。
日経平均の動きの背景に、米国景気の見方が揺れていることがあります。米景気ソフトランディング・シナリオに基づく「強気」と、ハードランディング・シナリオに基づく「弱気」が交錯しています。過去2年以上続いている、「米景気ソフトランディングかハードランディングか」の議論がいまだに続いていて、日経平均を乱高下させています。
海外投機筋が、日経平均を急落・急騰させている
過去30年以上、日本株を動かしているのは、海外投資家です。特に、海外投機筋のデリバティブ(日経平均先物・オプションなど)売買が日経平均の短期的な動きに大きな影響を与えています。
今回、米景気の見方の揺れが日経平均の歴史的な急落・急騰につながったのは、外国人によるデリバティブ売買によることが分かっています。
日経平均と、外国人投資家の日本株売買動向(売り越し・買い越し):2024年6月24日~2024年8月23日(外国人売買は8月16日まで)
7月以降、日経平均は、いったん4万2,000円超えに急騰してから、3万2,000円割れまで急落しました。「米景気堅調・米国株高・円安」ストーリーが続くとみて、外国人投資家はいったん日本株を積極的に買い、日経平均を4万2,000円超えに押し上げました。
ところが、その直後から、「米景気悪化・米国株下落・円高」の不安が高まり、外国人は大慌てで日経平均先物を売ってきたと考えられます。
このような、短期的に激しい値動きを作ったのが、デリバティブ売買です。以下の通り、日経平均を6月24日~8月9日の間、急騰・急落させたのが外国人のデリバティブ売買であることが、以下の表からよく分かります。
日経平均騰落幅と、外国人売買(買い越し・売り越し):2024年6月24日~8月9日
上記の表から、【1】6月24日~7月12日、【2】7月16日~8月9日の外国人売買をまとめたのが以下の表です。
6月24日~8月9日の外国人売買(買い越し・売り越し)
日経平均は「3万8,000~3万8,500円の壁」を超えられる?
株は、短期は需給、長期はファンダメンタルズで動きます。海外投機筋のデリバティブ売買の影響が短期的に極めて大きいものの、長期的な動きは、投機筋の売買では決まりません。ファンダメンタルズで決まります。つまり、米景気がソフトランディングするかハードランディングするかによって、日経平均の長期的な立ち位置が決まります。
米景気の見方は揺れていて、ソフトランディング・ハードランディングの議論は当面、結論が出ないと思います。従って、短期的に日経平均が4万円に向けて上昇していくのは難しいと思います。
ただし、私は、メインシナリオでは、米景気は2025年にかけてソフトランディングするとみています。私が考えるメインシナリオ通りとなれば、日本の景気は緩やかな拡大が続き、日経平均は半年後くらいには、4万円を超えて、高値をトライする可能性があります。
もちろん、リスクシナリオもあります。米景気が後退局面に向かうシナリオでは、日経平均の低迷が長期化します。
いずれにしても、日本株の長期的な見方は変わりません。私は日本株は割安で、日経平均は5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。短期的な相場変動に惑わされることなく、時間分散しながら日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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