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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均急反発、米景気への懸念低下。次の景気後退はいつ?」
日経平均は8営業日で21%の急反発
先週(営業日:8月13~16日)の日経平均株価は、1週間で3,037円(8.7%)上昇して、3万8,062円となりました。8月の最安値となった8月5日の3万1,458円から、8営業日で6,604円(21.0%)の急反発となりました。
8月5~16日の急反発は、米景気への懸念が低下して、米国株が上昇、円安が進んだことによって、引き起こされました。特に、15日に発表された7月の小売売上高が前月比1.0%の増加と、市場予想を上回る強さだったことから、米景気への懸念が低下しました。
7月11日~8月5日までの急落は、米景気への不安が強まり、米国株が下落、円高が急伸したことによって引き起こされました。8月5日以降は、それとちょうど逆のことが起こりました。
日経平均株価週足:2024年1月4日~8月16日
7月11日~8月5日までの急落と、8月5~16日までの急反発によって、日経平均はテクニカルに見て、とても珍しい形となりました。
◆日経平均3万8,000円より上は、極めて「弱い形」
テクニカル分析の視点から、以下3点が、売りの強さを示唆
【1】二番天井をつけて下落
【2】13週移動平均線と26週移動平均線がデッドクロスを形成
【3】移動平均線が下向きに転換
◆日経平均3万8,000円より下は、極めて「強い形」
テクニカル分析の視点から、以下3点が、買いの強さを示唆
【1】極めて長い「下ヒゲ」をつける
【2】下ヒゲのところで、出来高急増(投げ売り出た)。通常の倍以上の158億株
【3】長い下ヒゲの後、大陽線をたてる。この価格帯での買い需要の強さを示唆
テクニカルから見ると、「超強気」と「超弱気」が混在した状況が出ています。以下二つのシナリオの間で、市場コンセンサスが固まっていない状況と考えられます。
【1】超弱気シナリオ:米景気がどんどん弱くなって円高がさらに進み、日本の企業業績も悪化していくシナリオ
【2】超強気シナリオ:米景気堅調、円安が進む中で、日本の景気・企業業績も好調が続くシナリオ
外国人売買が、日経平均を急落・急騰させている
過去30年以上、日本株を動かしているのは、海外投資家です。特に、海外投機筋の先物売買が日経平均の短期的な動きに与える影響は大きいです。
今回の日経平均急落・急騰も、外国人の売買によって引き起こされています。
日経平均と、外国人投資家の日本株売買動向(売り越し・買い越し):2023年1月4日~2024年8月16日(外国人売買は8月9日まで)
7月以降、日経平均は、いったん4万2,000円超えに急騰してから、3万2,000円割れまで急落しました。「米景気堅調・米国株高・円安」ストーリーが続くとみて、外国人投資家はいったん日本株を積極的に買い、日経平均を4万2,000円超えに押し上げました。
ところが、その直後から、「米景気悪化・米国株下落・円高」の不安が高まり、外国人は大慌てで日経平均先物を売ってきたと考えられます。
まだ売買統計はでていませんが、その外国人投機筋が、8月5日以降は、「米景気への不安低下・米国株上昇・円安」を受けて、また日経平均を買ってきたと考えられます。
7~8月の日経平均乱高下に、外国人投資家の先物売買の影響が大きいことが、以下の表をご覧いただくと分かると思います。
日経平均騰落幅と、外国人売買(買い越し・売り越し):2024年6月24日~8月16日
日本株の投資方針については、いつも述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと考えています。日経平均は5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。
ただし、短期的にはこれからも急落・急騰が続く見込みです。従ってリスク管理は大切です。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
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