今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは147.75

下値メドは146.40 

インフレ期待:インフレ期待が重要になるのは、それによって消費者態度が変化する場合だけである
アジア投資家:ドル資産を利確してアジア資産に回帰
FRB:ボウマン理事「今年利下げするべきとは思わない」 
FRB:シカゴ連銀総裁「インフレが3%近くで落ち着くという証拠はない」 
ECB利下げ:カザークス理事「今年3回利下げする」 

前日の市況

 8月13日(火曜)のドル/円相場は前日比0.38円の「円高」だった。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2024年162営業日目は147.14円からスタートした。東京市場は円売りが優勢。夕方にこの日の高値となる147.96円をつけたが148円台には届かなかった。

 この日発表された米7月PPI(卸売物価指数)は予想を下回り、また6月より低下した。FRB(米連邦準備制度理事会)の9月利下げを支持する内容だったことで、NY市場のドル/円は急速に値を下げ、明け方には147円台を下抜けして146.59円まで円高に動いた。終値は146.83円。24時間のレンジ幅は1.36円。

出所:楽天証券作成

 今夜は米国の7月CPI(消費者物価指数)の発表がある。FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ抑制を金融政策の最重要課題に掲げて以来、CPIはNFP(雇用統計)よりも経済指標における重要度が高くなり、為替相場の動きにあたえる影響も大きくなっている。

 今回のCPIの注目点は大きく2つ。まず、FRBが夏休み明けの9月に利下げできると確信するまでインフレ率が弱まっているか。さらに、利下げする場合、0.5%利下げあるいは8月の緊急利下げが必要なのかということだ。またマーケットの予想が偏っている分、CPIが思わぬ強い結果になった場合のリスクにも注意したい。

出所:楽天証券作成

 先月7月11日に発表された米国の6月のCPIは、広範囲に鈍化した。前月比ではマイナス0.1%で、予想のプラス0.1%を下回った。前年同月比では3.0%の上昇となり、これも予想の3.1%を下回った。前月の3.3%からも減少した。

 CPI下落に大きく貢献したのがエネルギー価格の下落だ。ガソリン価格は前月比でマイナス3.8%とさらに下がった。中古車価格も前年同月比でマイナス10.1%と大幅に下落した。

 コアCPI(エネルギーや食品を除いた指数)は、前月比+0.1%と、2021年8月以来の小幅な伸びにとどまった。前年同月比は+3.3%で予想の3.4%を下回り、3年余りで最も低い伸びとなった。

 6月のCPIでインフレ高止まりの原因となっていたOER(所有者居住相当家賃)が穏やかな上昇におさまったことは注目に値する。OERが下落しなければ、FOMC(米連邦公開市場委員会)がインフレ率を2%に戻せる可能性はほとんどないと言われていた。この結果を受けて、FRBが9月に利下げを開始する可能性が高まっている。

 とはいえ、今後は前年比のベース効果の影響で年末に向けてCPIが徐々に上昇していく可能性が高い。したがって、9月利下げが、即ち「利下げサイクル(毎会合での利下げ)の開始」を意味することにならないだろう。

2024年 主要指標終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

流れが悪いと思い込んで、気持ちが沈んだり、事態を打開しようとしたりして無理をすると、ますます敗色が濃くなる

Mr. Blue Sky

 先進国では、新型コロナウイルスの流行後に3つのインフレの波が発生した。

 第一の波は「需要主導型インフレ」といわれるもので、新型コロナによるロックダウンで外出が自粛または禁止されていた時期に、大型液晶テレビなどの家電や在宅勤務用の家具の特需が引き起したインフレである。しかし、この需要主導型インフレは短期間で終了した。そもそも冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの耐久消費財は、一度買ったら何年も使い続けるもので、モデルチェンジのたびに買い替えたりしない。その結果、液晶テレビの価格は高値の半額近くまで急落して、過去20年間で最悪のデフレ状況に陥っている。

 第二の波は「供給主導型インフレ」で、サプライチェーンの混乱や地政学リスクによるエネルギー価格や商品価格の上昇が引き起こしたものである。しかしこのインフレもサプライチェーンの混乱が収まるにつれて、ディスインフレ(物価上昇率が低くなり、インフレの進行が抑えられている状態)へと移行していった。

 そして、現在起きているのが利益主導型(マージン上乗せ型)インフレ」とよばれる第三の波だ。このインフレは需給の不均衡が理由で起きるものではない。企業が原材料費高騰などを理由に値上げをする際に、利益(マージン)を大幅に上乗せすることによって発生するものである。企業は原材料や人件費高騰などの理由を掲げて「値上げは仕方ない」と消費者に思わせようとしているが、その多くは事実とは異なる。原油先物価格はウクライナ戦争前と同じ水準で落ち着いており、労働コスト(給料)は物価上昇率に比べて緩やかにしか上がっていないのだ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の重要ブレークアウトレベル

出所:楽天証券作成

タイムゾーン 分析

出所:楽天証券作成