2024年中間決算は5%増益、企業向けAI/クラウド事業に成長潜在力

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00941

中国移動

(チャイナ・モバイル)

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72.25HKD
(8/9現在)

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 中国最大の通信キャリア、チャイナ・モバイルの2024年6月中間決算は従来型の通信サービス業務の減速を受け、前年同期比5.3%の増益だった。5GネットワークやAI計算力ネットワークを大規模に構築する中で、設備投資を21%削減し、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンを維持した点が特筆すべき点となった。消費者向けの伝統的な通信サービスは減速しているものの、BOCIはAI/クラウド主導の企業・機関向けビジネスの大きな潜在力を指摘。株価の先行きに強気見通しを継続した。

 営業費用の管理と減価償却期間の延長を支えに、上期の純利益は前年同期比5.3%増の802億元。EBITDAマージンは39.3%(対サービス収入比)と、前年同期比で0.6ポイント低下したが、前期の38.4%から改善。4-6月期には人件費と販売費の抑制で、前四半期比7.1ポイント高の42.7%に達した。経営陣は長期的に安定的なEBITDAマージンの推移を見込む。強固な基盤モデルが生み出す営業レバレッジと、MaaS(Mobility as a Service)モデルにおけるAIエージェント(自律型インテリジェントシステム)の利用拡大を受けた新規ビジネスの商用化が、利益率の安定に寄与する見通しという。

 上期の売上高は前年同期比3%増の5,467億元で、うち通信サービス収入は2.5%増の4,636億元。景気低迷で売掛債権が増大したが、経営陣は管理強化などの手段により、下期には状況が改善するとみている。

 設備投資は上期に前年同期比21.3%減の640億元。2024年には35万1,000の基地局を新設し、700Mhz の基地局数が7万を超えるが、これは低周波数帯域への拡大に伴う効率性の向上を示すもの。経営陣が示した2024年通期の設備投資計画は1,730億元だが、BOCIはより小さい数字となる可能性を指摘している。

 中間配当は1株当たり2.60HKドルと、前年比7%の増配。経営陣は改めて、2024 年通期の配当性向を前年より引き上げる方針を確認した。

 BOCIは従来型の通信サービス業務の減速と消費者向けサービスの普及率がすでに高水準にあることを踏まえ、2024-26年のサービス収入見通しを2.4-7.8%減額修正。これに伴い、予想純利益を2.5-4%引き下げた。

 また、700Mhz帯のRNC(無線ネットワーク)の構築で、従来の5G基地局の3倍以上の電波カバレッジを実現し、投資効率が改善していると指摘。設備投資に関する予測値を減額修正した。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデルのベースを2024年にシフトしたのに伴い、目標株価を下方修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、通信料金に関する中国政府の規制が収益に大きく影響する可能性と、米国の制裁措置が株価に影響する可能性を挙げている。