「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第41回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:米国の景況指標はどっち?
今回は、米国景気の現状を読み解くための、景気指標を当てるクイズを出します。
以下二つの景況指数をご覧ください。一方は米国、もう一方は日本の景況指数です。
米国の景況指数は、【A】、【B】のうち、どちらでしょう?
【A】
【B】
二転三転する米景気見通し
今年は、米景気の見方が二転三転しています。
年初には、今年の米景気の先行きに弱気の見方が大勢でした。ところが、実際は今年に入ってからの米景気は堅調でした。米景気の成長率を慌てて上方修正するエコノミストが多数でした。米景気に対する信頼感が大いに高まりました。
ところが、7月に入ってから、米景気に弱気見通しが増えてきました。高インフレが続いたことから、米国では生活必需品の価格がかなり高くなり、消費に悪影響を及ぼし始めています。
米景気への見方が変わったことを受けて、円高急伸
米景気堅調の見方が続く間、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は、利下げには消極的でした。米金利がいつまでも高止まり、日米金利差が大きく開いたままになるという見通しから、ドル高円安が進み、一時1ドル=162円に迫りました。
ところが、米景気が軟化してきているという見通しが広がるにつれて、米長期金利の低下が進み、FRBは利下げを急ぐ姿勢に転換しつつあります。一方、日本銀行は7月にサプライズ利上げを実施しました。日米金利差が縮小する見通しが広がったことを受けて、円高が急伸しました。
<日米2年金利差(米国~日本)とドル円為替レートの推移:2008年1月~2024年8月(5日)>
クイズの正解:Bが米国の景況指標
米国の景況指数は【B】です。
【A】は日銀短観、大企業DI(製造業・非製造業)です。
【B】が米国ISM(サプライマネジメント協会)景況指数(製造業・非製造業)です。
【A】も【B】も、2020年前半に、コロナショックで急落したのは同じです。
そこからの回復が異なります。
米国は、コロナ禍を受けて、2020年に大規模な金融緩和と財政出動が行われました。2021年になると早々とリオープン(経済再開)が進み、景況が急回復、景気過熱しました。そのため、深刻なインフレが起こり、インフレを抑えるために、かつてないピッチで利上げが行われました。高インフレ・高金利の影響で、2022年以降、景気は減速してきています。
日本はコロナ禍からのリオープンが遅れました。今年に入って、ようやくリオープンの恩恵で、非製造業の景況が極めて高水準に上がっています。
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