執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日経平均はしばらく2万円前後で大きくは上下とも動きにくいと予想。
  • 成長株はうまく売買するとリターンが大きいが値動きが荒いので注意を要する。割安株にも分散投資することが望ましいと考える。

(1)日本株ファンドマネージャー時代の投資スタイル

日経平均は、しばらく2万円前後で大きくは上へも下へも動きにくい展開と見ています。今日は、投資スタイルで、私が割安株を重視してきた理由をお話ししようと思います。

株式投資の代表的スタイルは、2つあります。1つは成長株投資、もう1つは割安株投資です。読者の皆様は、どちらのスタイルに近い方ですか? 私は、25年の日本株ファンドマネージャー経験があります。投資信託・年金などで、常時1000~2000億円のファンド運用を担当していました。

私は、主に割安株への投資で、ベンチマーク(競争相手)である東証株価指数(TOPIX)を大きく上回るパフォーマンスを上げてきました。割安株をコアとして長期保有しながら、成長株で短期売買を繰り返しつつ、鞘をかせぐことを目指していました。

株式投資の初心者の方は、まず割安株投資から開始した方が良いと思っています。配当利回りの高い大型株が、最初の候補となります。小型成長株に投資する場合は、企業内容をよく知っているものから始めるべきです。小型成長株には値動きの荒いものが多く、売買タイミングが難しい場合があります。

割安株では、大きく上昇する銘柄を見つけられない、というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。決して、そのようなことはありません。50円まで売られた構造不況株が復活して100円・200円と買われれば、株価は3倍・4倍になります。成長株と同様の、派手なパフォーマンスが得られる割安株も存在します。

ただし、株式投資の初心者の方は、そうした高リスクの割安株ではなく、株価がもっと安定的に推移すると期待される大型の好配当利回り株から、投資を始めた方がいいと思います。

(2)割安な成長株はなかなか存在しない

もし、成長性が高く、株価が割安な銘柄があれば、それは、成長株投資家も、割安株投資家も、どちらも投資したいと思うでしょう。ところが、割安な成長株はなかなか存在しません。成長性の高い株は、往々にして人気が高く、株価の割安度をはかる代表的な指標であるPER(株価収益率)が30倍~40倍など、高い水準にあることが多いです。

一方、PERで10倍前後など割安な銘柄には、成長性が低い、業績になんらかの不安があるなど問題を抱えている銘柄が多くなっています。

そこで、良い投資銘柄を見つける方法は、2つあります。

  • 成長株投資を重視するファンドマネージャー

まず、成長性の高い銘柄を探し、その中から株価がなるべく割安なものを選別します。

  • 割安株投資を重視するファンドマネ-ジャー

まず、株価が割安な銘柄を探し、その中から、なるべく成長性の高いものを選びます。

割安な成長株がなかなか見つけられないことから、成長株投資マネージャーのポートフォリオには、PERが高い、配当利回りが低い銘柄が多くなります。一方、割安株投資マネージャーのポートフォリオには、あまり成長性の高くない割安な銘柄が多くなります。

(3)株価が割安な銘柄を選ぶことで、投資リスクをある程度抑えられる

将来のパフォーマンスには、一般的に以下の関係があります。

  1. 割安な不人気株→予想外に高い成長性を実現すれば→株価は大きく上昇
  2. 割安な不人気株→成長性が低ければ→株価は低迷
  3. 割高な人気成長株→期待通り成長性が高ければ→株価はそこそこ上昇
  4. 割高な人気成長株→成長ストーリーが崩壊すると→株価は大きく下落

ここで、一番避けたいのは、4.です。私は、割高な成長株は短期投資と割り切っていましたので、みんなが熱狂する株を一緒に買いに行く時は、「株価が下がったらすばやく損切り」を念頭においていました。

(4)保有銘柄見直しのお薦め

私は、日経平均は割安でまだ上昇余地があると考えています。ただし、世界の政治情勢を見ていると、突発的に悪材料が出て、株が急に下がるリスクもないとは言えません。

こんな時、成長株ばかりでなく、割安株にも分散投資していくことが必要です。お持ちの銘柄を一度、見直してみてください。

仮に5銘柄お持ちだとして、すべて成長株(PERやPBRが高い人気株)だとしたら、一部、割安株に乗り換えを検討されたら良いと思います。保有銘柄すべてが割安株の方は、そのままでも構いませんが、一部人気の成長株に分散投資してもいいかもしれません。

私がファンドマネージャーをやっていた時は、ファンドの概ね8割を割安株に、2割を成長株に投資しいていました。

大型割安株にどういう銘柄があるか、私は、今なら大手銀行株などが投資対象として魅力的と判断しています。詳細は、以下のレポートをご参照ください。

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以上