※この記事は2016年8月31日に掲載されたものです。

前回、資産運用でうまくいかない本当の問題の正体は“一喜一憂”で、“一喜一憂”は私たちに「高いところで買わせて安いところで売らせる」をさせているとお伝えをしました。

では、どうしたら“一喜一憂”に対処していけるのでしょうか? ここでは、一見、それで良さそうに見える対処法について見ていきましょう。

その1 先を読まない、タイミングを計らない、気にしない運用をする

先を読んでタイミングを計ろうとすると一喜一憂してしまってうまくいかないので、先を読まずタイミングも計らず、気にしない運用をして対処しようとします。この代表的な手法が国際分散投資と言えるでしょう。

皆さまは国際分散投資というとどのようなイメージを持たれますか?「分散すればするほどブレは小さくなり、上がり下がりしながらも右肩上がりが実現できる」というイメージでしょうか?

では実際に例として、多くのジャンルに分散されているノムラ・オールインワン・ファンドで見ていきましょう。

ノムラ・オールインワン・ファンド資産配分
(2016年6月30日現在)

(出所)ノムラ・オールインワン・ファンドマンスリーレポート2016年6月30日

これだけ分散していれば、ブレは小さく、ゆっくりとした右肩上がりになっているのでは、と思われる方もいるのではないでしょうか?

では、実際のパフォーマンスを見てみましょう。

ノムラ・オールインワン・ファンド運用実績の推移

(出所)ノムラ・オールインワン・ファンドマンスリーレポート2016年6月30日

基準価額(分配金再投資)は2006年の設定来約10年で、10,000円からスタート後、6,000円程度→12,000円程度→現在に至るという動きをしています。

皆さまのイメージと合っていましたか?

「分散すればするほど、ブレは小さくなるんじゃなかったの?」「この動きだったらタイミングを計ったほうが・・・」と思われた方もいるのではないでしょうか?

「気にしないでください」と言われても、現実に1~2年で資産が減っていたり、何年も元本割れの状態が続くと、とてもとても私たちは気にしないではいられないように思うのです。

その2 運用について一生懸命勉強する

「マーケットを読み間違えた」「投資をするタイミングが悪かった」「選んだ投資信託が良くなかった」と思って、もっと運用について勉強しなくては、と思われる方も多いでしょう。

しかし、うまく運用しようと勉強すればするほど私たちは「今日、株が下がった理由は?」「明日の為替は?」「日銀は?」「FRBは?」など、目先のマーケットの動きを気にして一喜一憂してしまうのではないでしょうか?もしかすると、運用を始める前のよくわからなかった時のほうが一喜一憂していなかったようにも思いませんか?

その3 金融機関の担当者を頼れば大丈夫だと思っている

「運用のことはわからない」「自分で運用してもうまくいかなかった」ので、専門家である証券会社や銀行に頼れば、と思われる方もいるでしょう。

しかし、担当者のアドバイスに基づいて運用が思い通りにいかなかった時に私たちはどう思うでしょう?「勧められるままに運用してもうまくいかない」と不満が出てきて、「言われるままじゃなくて自分で勉強しないと」、もしくは「運用なんてするもんじゃない」と思ったりしてしまうのではないでしょうか?

一喜一憂すること自体、悪いことではありません。とても人間らしいことです。また、気にしない運用をする、運用について勉強する、証券会社や銀行の担当者を頼る、ということも良いことです。ただ、一見、それで良さそうに見えることが、もしかしたら一喜一憂を助長させているかもしれない、ということを認識しておく必要があると考えています。そのくらい“一喜一憂”は私たちの心の中に入り込む、したたかな存在だと捉えています。

一喜一憂してしまったときにはどうすればよいのでしょうか?その時には自分が一喜一憂していることをただ認識することです。「また一喜一憂してしまったな」と思うだけで心は軽くなると思います。

次回は、本当の意味での“一喜一憂”への対処法について見ていくことにしましょう。