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著者の西崎 努が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
相場急変時、やってはいけない行動3選!損失回避の王道を知ろう!


※本記事は2024年4月26日に掲載されたものです。

 資産形成の正解は人それぞれですが、一方で、多くの人が失敗してしまう考え方や、やり方があるようです。このシリーズでは、資産形成を始める人が陥りがちな失敗事例を取り上げ、やってはいけない行動を分かりやすく解説します。

お悩み

株式相場が予想外に急落!!こんな時にはどうしたらいいのか?

大城信雄さん(仮名)会社員・60歳(既婚、配偶者は専業主婦、子ども2人は独立)

 大城さんは、50代になってから資産形成のために積立投資を始めて何年かたち、ついに60歳になり退職が近づいたことで、定年後の生活について考えだしました。

 退職時には退職金代わりのDC(企業型確定拠出年金)のお金が入ってくるので、定年になったら継続雇用で働きながらも仕事の時間は減らしていく予定です。子どもたちも社会人になって独立し、持ち家の住宅ローンも完済のめどがたっています。

 積立投資やDCの運用がうまくいっており、運用資金を取り崩せば老後については健康的な生活さえできればそれほど心配はせずにすみそうと思っていました。

 そんな時に株式相場が急落し、運用資金が10%程度目減りしました。ここ数年は順調に資産が増えていて、相場が下落する時でもここまで大きく下がったことがなかったので大城さんはこのまま運用を続けていいのか不安になってきました。

 大城さんが相場の急落時にうまく対応するには何に気を付けたらいいのでしょうか?

相場の急落時にやってはいけない行動はやるべき行動につながる

 株式への投資を始めて間もない人にとって、株式相場の急落は大きな試練となります。大切なお金でうまく運用できていると思っていたある日に、あっという間に利益が吹き飛び、含み損を抱えることへの精神的な負担はかなり大きいものです。

 しかし、投資をしていくと順調な時ばかりではなく、時には相場が調整という名の下落を起こした後にまた上昇する、という価格変動を繰り返して資産が増えていくものです。そして多くの下落は思わぬタイミングで急に訪れます。

 長年投資を続けていると定期的に相場が急落することを幾度も体験することになります。コロナショックやリーマンショックのように〇〇ショックと呼ばれるほどの大暴落まではいかなくても、5~10%の下落などは株式相場にとって珍しいことではありません。

 そうした下落にも慌てず対応できるように日頃から心掛けておくことが、継続的な成果にもつながります。そこで今回は相場の急落時にやってはいけない行動をお伝えすると同時にやるべき行動をご説明させていただきます。

株式相場が急落したときにやってはいけないこと1:狼狽(ろうばい)して株式を売却してはいけない 

 日本証券業協会によると、狼狽売りとは、「株価が急落する様子を見て、保有している株式を慌てて売却してしまうこと」とされ、損切りは「これ以上損失が大きくならないように、あえて損失確定を機械的におこなう行為」とされています。狼狽売りと損切りの最大の違いは、計画性の有無とされています。

 株式投資にとって損切りは非常に重要です。個別株価の変動は日経平均株価などの株式指数のインデックス投資とは違い、個別資産の変動が非常に大きいため、軌道修正をするならしっかり対応しなければ、塩漬け(株価が大きく値下がりしてしまった株式を売却できずに長期保有してしまう状態)になってしまうからです。

 インデックス投資の場合は、個別銘柄に比べれば価格変動は少なく、株式の分散投資ができているため長期保有でも問題ないはずです。しかし、まとまった金額で買付したタイミングが結果的に直近の高値付近となり、その後急落した場合には狼狽売りをしてしまう方もいます。

 狼狽売りには計画性がありませんので、平常時であればしてはいけないことは誰もが理解できるでしょう。しかし、大切なお金が急に目減りしてしまうと「もっと損をするのでは」という感情面で判断してしまうことはよくありますので、相場は急に下落することもあると意識しておくことが大切です。

株式相場が急落したときにやってはいけないこと2:慌てて株式を買ってもいけない

 日本取引所グループが毎週公表する「投資部門別売買状況」を見ると、個人投資家の売買動向は相場が上昇しているさなかの局面よりも、相場が上昇した後に下落して調整し始めた際に、逆張りで購入する金額が増える傾向があることが見てとれます。

 株式相場が下落してから買付することには何の問題もありませんし、むしろ下がっている時こそ投資機会を待っていた人にとっては安いタイミングで買えるチャンスといえます。

 中には株式相場が大きく下落したらすぐに買付をしようとする方がでてきますが、まだどのぐらい株価が調整するか判断しづらい状況で買付をすることはやや性急な判断と言わざるを得ません。

 相場の格言で「落ちてくるナイフはつかむな」というものがあります。意味は「株価が急落したときの投資は落ちてくるナイフをつかむようなもので、きちんとナイフ(=株価)が床に落ちてから、つまり底を打ったのを確認してから投資すべき」という格言です。

 株式投資で売買をする場合には、慌てて売買しても良い投資とはいえません。損益は結果論ですが、継続して成果を出すことは困難でしょう。

 資産形成で積立投資をしている人の場合でも、相場が大きく下がってくると追加で買付をしようか検討される方もでてきます。しかし、積立投資では機械的に売買することが重要なので、価格変動で売買を検討するなら別の投資と切り分けて投資をすることをおすすめします。

株式相場が急落したときにやってはいけないこと3:見て見ぬふりをしてはいけない

 株式相場が急落して自分が投資している資産の評価が下落しているとき、一番気楽な方法は何も気にせずに放置しておくことです。一時的な下落で問題ないと考えているならそれも一つの投資判断ですし、慌てて売買するよりはよいと思います。

 ただ、下落した理由を確認せずにただ見て見ぬふりをして放っておくことはよくありません。どうして下落したのか、どのくらい下落しそうなのかをチェックして、その上で投資判断をする必要があります。

 下落した後すぐには、投資判断をするための情報が足りなかったり、追加で悪材料がでてきたりする場合もあります。日々の細かい情報までチェックすることはありませんが、自分の投資資産に関係が深い情報はチェックする習慣を身に付けましょう。

 相場の急落時には投資資産をそのままで継続する、売却する、一部売却をする、買い増しをするなどさまざまな選択肢が現れます。必ず売買をしないわけでもありませんし、長期投資なら基本的に売買する必要はないでしょう。

 ただ投資資産の下落に不安がでてくるようなら、許容できるリスク(価格変動)をこえている場合があります。その際には投資金額を減らしたり、現投資資産と比較してリスクの低い商品へ切り替えたりすることを検討しましょう。

相場の急落時には、事前の備えが大切

株式投資のリスクに対応するには投資金額とタイミングの調整を

 株式投資で失敗してしまう理由によくありがちなことは、安易にリスク(投資資産の価格変動)を取りすぎていること、投資する商品への投資額を間違えていることが挙げられます。実際に私のこれまでの経験上、投資で大きな損失を出している人は投資した商品のリスクをしっかりと理解できていないのに大きな資金で投資をしているケースが大半です。

 誰かに勧められたり、誰かがおすすめしていたりする商品だから投資するのではなく、投資する商品の仕組みやリスクを分かった上で投資することが大切です。ハイリスクハイリターンの商品ほど、投資金額を抑えたり、タイミングを分けたりして購入することが重要になります。

 積立投資が資産形成や初心者向けにおすすめできるのは、分散投資をしているインデックス投信などを対象にしており、投資金額が少額で、投資のタイミングを月一などに分散した長期投資を前提としているからです。

 投資では商品選択も重要ですが、それ以上に自分にとって適切な投資額、そして投資するなら一括なのか、タイミングを分散するのかを考慮するようにしましょう。

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【要チェック】
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