「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第38回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:NTT株価と予想配当利回りの推移を正しく表示したのはどっち?
以下に、NTT株の株価と予想配当利回りの推移を示したグラフを二つ掲載しています。
どちらか一つが正しく、一つは誤りです。株価と配当利回りの関係を正しく表示しているのは、【A】、【B】のグラフのうち、どちらでしょうか?
【A】NTTの株価と予想配当利回りの推移:2020年1月6日~2024年7月16日
【B】NTTの株価と予想配当利回りの推移:2020年1月6日~2024年7月16日
NTTは株価下落で投資魅力高まったと評価
正解をお話しする前に、私のNTT株の投資判断をお伝えします。私のアナリストとしてのNTTの投資判断は「買い」です。NTT株は5月以降、株価の下落が加速しましたが、株価が下がったことで投資魅力が高まったと考えています。
NTT株が売られた理由として、今期減益の予想を発表したことがあります。NTTは5月10日、2024年3月期決算を発表しました。前期(2024年3月期)は、営業収益(売上高)・営業利益・純利益とも過去最高を更新し、好調な決算でした。ところが、今期(2025年3月期)の業績について、会社は前期比5.9%減の営業減益の予想を出しました。
<NTTの連結業績:2024年3月期実績と2025年3月期会社予想>
前期まで業績好調で買われていたが、今期減益の予想を受けて株価は売られました。
「買い」だと判断する理由、ディフェンシブで高配当利回り
NTTを買いと判断する理由は、以下4点です。
【1】株価割安と判断されること
以下の通り、PER(株価収益率)などの株価指標から見て、株価は割安と判断されます。予想配当利回り3.5%は魅力的な水準です。
<NTTの予想配当利回り・PER・PBR:2024年7月16日時点>
【2】安定成長株として評価できること
今期は、NTT地域会社の収益低下から、5.9%減の営業減益の見通しですが、長期的には再び営業最高益を更新していく力があると考えています。データセンター・金融など成長事業がけん引します。増益率は低いものの、最高益を更新していく安定成長株として評価しています。
<NTTの連結営業利益・純利益推移:2019年3月期~2025年3月期(会社予想)>
【3】ディフェンシブな高収益企業
NTTの業績は安定的です。上のグラフを見ると、コロナショックがあって日本中の企業が赤字や大幅減益になった2021年3月期も安定的に高い利益を出しています。景気の影響を受けにくい、ディフェンシブ株として評価できます。2024年3月期の営業利益率は14.4%で、安定的に14%前後の利益率を確保しています。
【4】魅力的な株主還元
NTTは、株主への利益還元に積極的です。今期14期連続の増配を予定しています。前期まで毎年2,000億~5,000億円の自社株買いをしてきており、自社株買いにも積極的です。
クイズの正解:【A】
正解は【A】です。1株当たり配当金が変わらない限り、株価が下がると、予想配当利回りは上昇します。株価が上がると、予想配当利回りは下がります。
NTTは、今期14期連続の増配を予想しています。1株当たりの配当金は、少しずつ増えています。
こういうディフェンシブな高配当利回り株は、株価が上昇して予想利回りが低くなった時ではなく、株価が下落して予想配当利回りが高くなった時が買い場と、私は判断しています。
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