米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出していることが挙げられます。
米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。
これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。
そこで2024年8月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。
▼参照データ |
その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。
(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。
ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。
※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。
(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。
(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。
2024年に制度改正された新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されています。
とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。
【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明はこちら】
米国高配当株1:HSBCHD(HSBC)
お客さまをさまざまな機会と結びつけ、 ビジネスの成功、経済の発展、人びとの希望や夢を実現するためのサポートを提供することを目的とし、世界をリードしながら称賛される国際的な金融機関になることを目標とする世界有数の金融グループです。
日本においても、HSBCは第二次世界大戦の終結後、最初に代表者を派遣した銀行の一つで、1947年に東京と神戸での営業を再開し、日本と英国領地域の貿易再開に大きく貢献した歴史ある金融グループです。
時価総額は1,600億4,300万ドルで、日本円で約25兆8,400億円となっています(1USD=161.50円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「個人向け資産運用事業(Wealth and Personal Banking)」で、続いて「商業銀行事業(Commercial Banking)」「グローバル・バンキング&マーケット事業(Global Banking and Markets)」となります。
「個人向け資産運用事業」では、個人から超富裕層まで、あらゆるリテール・バンキングおよび富裕層向け商品を顧客に提供しており、「商業銀行事業」では、中小企業、中堅企業を含む法人のお客さまのニーズに応えるため、幅広い商品・サービスを提供し、「グローバル・バンキング&マーケット事業」では、世界の主要な政府、法人、機関投資家および個人投資家に、それぞれのニーズに合った金融ソリューションを提供しています。
競合他社
競合他社は楽天証券では開示されていません。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は昨年増配しています。
事業の中心は香港で、続いて英国、仏国、米国となりますが、香港において2021年から2022年は微増で推移していた業績が、2022年から2023年に大幅に業績が拡大したことや、2月に発表した20億ドルの自社株買いの効果もあり株価は上昇しています。
2024年に入ってからの直近の決算でも、カナダ事業の売却を完了し、アルゼンチン事業の売却に合意したことで、より価値の高い国際的な事業機会のある市場に集中することができると会社側は発表しており、今後も好調な業績に伴う株価の上昇が期待されます。
業績動向
2024年4月30日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。
決算について会社側は、第1四半期に127億ドルの好業績を達成したことで株主に報いるというトレンドを継続することができ、2024年度第1回中間配当金1株当たり0.10ドル、カナダ売却益からの特別配当金1株当たり0.21ドル、30億ドルを上限とする自社株買いからなる総額88億ドルの分配を発表することができたと発表しています。
また、事業の中心地である香港では、第1四半期において約13万5,000人の新規富裕層顧客を獲得したが、このうち約60%は香港のサービスおよび商品力に魅力を感じた非居住者であったとも発表しており、主にアジアにおいて富裕層ビジネスが好調を継続していることから引き続き堅調な業績が予想されます。
次回2024年7月31日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
インフレにより、運営に伴うコストが増加していることや、今後の金利情勢などについて会社は懸念を表明しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:3.09ドル
配当利回り:7.15%
株価:43.20ドル(約6,900円)
この銘柄、権利落ち日は8月中旬の予定(権利実施は9月下旬)です。
配当利回りは7月10日時点で7.15%、株価は7月10日終値が43.20ドルでおよそ6,900円から購入できます(1USD=161.50円計算)。
2022年からの最高値は45.40ドル、最安値は25.01ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株2:メットライフ(MET)
メットライフは、関連会社および子会社を通じて世界中のご家族や家計を何世代にもわたって守るお手伝いをしてきた世界有数の金融サービス会社であり、保険、年金、従業員福利厚生、資産運用を個人および法人のお客さまに提供しています。
世界40以上の市場で事業を展開し、米国、日本、中南米、アジア、欧州、中東で主要な地位を占めており、社員、地域社会、お客さま、株主の皆さまなど、全てのステークホルダーの皆さまにとって、より確かな未来を築くために全力を尽くしています。
時価総額は439億5,900万ドルで、日本円で約7兆9,700億円となっています(1USD=161.50円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「団体福利厚生事業(Group Benefits)」で、続いて「保険事業(RIS)」「アジア地域事業(Asia)」「ラテンアメリカ地域事業(Latin America)」「メットライフ・ホールディングス事業(MetLife Holdings)」「欧州、中東、アフリカ事業(EMEA、Europe, the Middle East, Africa」となります。
「団体福利厚生事業」では、企業とその従業員、その他の機関とその会員、および個人向けに定期保険、変額保険、ユニバーサル生命保険、歯科保険、団体・個人障害保険、視力保険、傷害・医療保険など幅広い商品を提供しており、「保険事業」では、企業およびその従業員、その他の機関およびその構成員、ならびに個人向けに、生命保険および年金ベースの保険・投資商品を幅広く提供しています。
競合他社
競合他社として、世界中の個人、機関投資家、退職年金加入者向けに財務アドバイス、保険、資産運用ソリューションを提供するカナダを拠点とする国際金融サービス会社であるマニュライフ・ファイナンシャル(MFC)、セグメントにアフラック・ジャパンとアフラック米国がある補足的な健康保険商品を提供しているアフラック(AFL)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は今年に入って増配しています。
元々、他業種に比べて値動きの大きい銘柄ではなく、業績も安定していることから株価は一定の範囲内で推移しています。
会社側は直近の決算について、2024年は力強い売上高の成長と、市場をリードする事業ポートフォリオ全体が持続的に好環境下であったことにより、幸先の良いスタートを切ることができたと述べるとともに、メットライフが戦略を通じて前進してきたことは、さらなる会社の成長を推進し、株主をはじめとするステークホルダーにとって長期的な価値を創造するものであると発表しています。
会社のキャッシュが積み上がったたこともあり、第1四半期では12億ドルの自社株買いを実施していますが、今後も堅調な業績と、それに伴うキャッシュの積み重ねによる、増配・自社株買いによる株主還元が期待されます。
業績動向
2024年5月1日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。
事業の中心である「団体福利厚生事業」では、売上高が主力商品、任意商品ともに堅調な伸びを示したことで25%増加したものの、調整後利益は、主に非医療保険引受利益率の低下により、7%減の 2.84 億ドルとなりました。
また、「保険事業」では利ざやの低下と保険引受の低下による下落を、投資収益の増加によって補ったことで調整後利益は前年同期比ほぼ横ばいの3億9,900万ドルとなり、売上高は仕組債販売と生命保険商品販売増により49%増加しました。
1株当たりでは、前年同期が 0.02 ドルの純利益であったのに対し、1.10 ドルの純利益となり業績は堅調に推移しており、金利などの外部環境による変動はあるものの引き続き堅調な業績が予想されています。
次回2024年7月31日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
市場金利の動向は、メットライフの事業や投資にさまざまな影響を及ぼす可能性があるため懸念であると発表しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.18ドル
配当利回り:3.11%
株価:71.62ドル(約1万1,500円)
この銘柄、権利落ち日は8月上旬の予定(権利実施は9月上旬)です。
配当利回りは7月10日時点で3.11%、株価は7月10日終値が71.62ドルでおよそ1万1,500円から購入できます(1USD=161.50円計算)。
2022年からの最高値は76.95ドル、最安値は49.12ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株3:IBM(IBM)
IBMは、テクノロジーとビジネスの専門知識の組み合わせを通じて、お客さまに価値を提供することに重点を置いたプラットフォーム中心のアプローチを行い、ハイブリッド・クラウドとAIの機会関連事業に取り組んでいます。
ハイブリッド・クラウド・プラットフォームとAIテクノロジーおよびサービス機能は、顧客のデジタル変革をサポートし、顧客や従業員との新たな関わり方を支援するとともに、これらのソリューションは、ソフトウエア、コンサルティング・サービス、ミッション・クリティカルなシステムにおける豊富な実績など、業界をリードするIBMの事業から生み出されています。
時価総額は1,631億8,000万ドルで、日本円で約26兆3,500億円となっています(1USD=161.50円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「ソフトウエア事業(Software)」で、続いて「コンサルティング事業(Consulting)」「インフラストラクチャー事業(Infrastructure)」となります。
「ソフトウエア事業」では、自動化とアプリケーションの近代化により、デジタル労働によるビジネスとITの生産性を向上させ、卓越したカスタマー・エクスペリエンスの創出などの事業を展開しており、「コンサルティング事業」では、ハイブリッド・クラウドおよび AI テクノロジーとエコシステム・パートナーを活用して、ビジネス・トランスフォーメーション、テクノロジー・コンサルティング、アプリケーション運用を提供しています。
競合他社
競合他社として、エンドポイント、クラウドワークロード、ID、データのクラウド配信保護を提供するグローバルサイバーセキュリティ会社であるクラウドストライク(CRWD)、カナダを拠点とする情報技術およびビジネスコンサルティングサービス会社であるCGI(GIB)、グローバルなプロフェッショナルサービス会社であるアクセンチュア(ACN)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は今年に入って増配しています。
業績が堅調であることから株価は1年前と比較しても3割近く上昇しています。
直近の決算で会社側は、ハイブリッド・クラウドとAI戦略の強みを反映し堅調な収益とフリーキャッシュフローの成長で年初を迎え、IBMのワトソンエックスと生成AIのビジネスブックは力強い勢いを見せ、2023年半ばにワトソンエックスを立ち上げて以来、10億ドルを超える顧客企業のビジネス上の問題を解決してきました。
これからもビジネスプロセスを改善するためにAI技術を応用する需要を成長の機会としていくと発表しており、今後の堅調な業績とそれに伴う株価上昇が期待されます。
業績動向
2024年4月24日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
「ソフトウエア事業」の売上は59億ドル、5.9%増となり、「コンサルティング事業」の売上は52億ドル、1.7%増となり、「インフラストラクチャー事業」の売上は31億ドル、0.2%増となり、売上は市場予想を下回ったものの順調に業績を拡大しています。
また、会社側は直近の決算発表で、HashiCorp, Inc.を1株当たり35ドルで買収する意向を発表しましたが、この買収により顧客は複雑化するアプリケーションとインフラを管理し、AI時代に向けた包括的なエンド・ツー・エンドのハイブリッド・クラウド・プラットフォームを構築することができると発表しており、今後のさらなる業績の拡大が期待されています。
次回2024年7月24日に開示予定の四半期決算で、前年同期を上回る決算を発表できるか注目です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:6.68ドル
配当利回り:3.76%
株価:177.84ドル(約2万8,700円)
この銘柄、権利落ち日は8月中旬の予定(権利実施は9月下旬)です。
配当利回りは7月10日時点で3.76%、株価は7月10日終値が177.84ドルでおよそ2万8,700円から購入できます(1USD=161.50円計算)。
2022年からの最高値は197.78ドル、最安値は117.57ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4:ファーストエナジー(FE)
ファーストエナジーは、オハイオ・エジソン社とセンテリオール・エナジー社の合併により1997年に設立されました。
全米最大級の電力システムを通じて、オハイオ州、ペンシルべニア州、ニュージャージー州、ウェストバージニア州、メリーランド州、ニューヨーク州で600万人以上の顧客にサービスを提供しており、同社の送電子会社は、中西部と中部大西洋岸地域を結ぶ約2万4,000マイルの送電線を運営しています。
時価総額は222億900万ドルで、日本円で約3兆5,800億円となっています(1USD=161.50.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「配電事業(Regulated Distribution)」で、続いて「送電事業(Regulated Transmission)」となります。
「配電事業」では、6万5,000平方マイル内の約600万人の顧客にサービスを提供する、ファーストエナジーのユーティリティ事業会社を通じて電力の配電、または電力の購入をしており、「送電事業」では、送電会社およびファーストエナジーの一部の電力会社(JCP&L、MP、PE、WP)が所有・運営する送電インフラを提供し、発電源から配電施設へ電力を送電しています。
競合他社
競合他社として、四つの公益事業子会社を通じて、約380万の電力顧客と220万の天然ガス顧客にエネルギー関連製品とサービスの包括的なポートフォリオを提供する電気と天然ガスの配送会社であるエクセル・エナジー(XEL)、独立企業を通じてクリーンで信頼性の高いエネルギーおよびエネルギーサービスを提供するSouthern California Edison CompanyとEdison Energy, LLCの持株会社であるエジソン・インターナショナル(EIX)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移していますが、配当は今年に入って増配しています。
コロナの時期に株価は大きく下落し、その後2021年以降は業種柄株価の変動が大きい銘柄でないこともあって、一定の範囲内で株価は推移しています。
直近の決算について会社側は、暖冬にもかかわらず2024年は順調なスタートを切ることができ、第1四半期の業績はガイダンスの中間値を上回り、各事業の好調な状況を反映していると発表しています。
また、今年の4月には負債削減見込みのめどが立ちバランスシートが大幅に強化されていることから格付け会社によってファーストエナジーの格上げが発表されています。
今後も猛暑や、暖冬などさまざまな外部要因はあるものの堅調な業績を背景に、安定した株価の推移が期待されます。
業績動向
2024年4月25日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。
決算について会社側は、2024年第1四半期のGAAPベースの利益は1株当たり0.44ドル、営業利益はガイダンスの中間値を上回る0.55ドルで、目標とする長期的な年間1株当たり営業利益成長率6~8%を維持していると発表しています。
総配電量が、暖冬の影響で暖房稼動日数が歴史的に穏やかであった2023年第1四半期を 5%上回ったものの、平年を14%下回る水準にとどまりましたがおおむね市場予想に近い数値となりました。
今後についても、債務の削減によるバランスシートの改善や公益性の高い事業による堅調な業績が継続することが期待されます。
次回は2024年7月30日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
自然災害や、温暖化など外部要因の影響を受ける可能性があり、その点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:1.70ドル
配当利回り:4.37%
株価:38.92ドル(約6,200円)
この銘柄、権利落ち日は8月中旬の予定(権利実施は9月下旬)です。
配当利回りは7月10日時点で4.37%、株価は7月10日終値が38.92ドルでおよそ6,200円から購入できます(1USD=161.50円計算)。
2022年からの最高値は48.46ドル、最安値は32.60ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株5:シェル(SHEL)
シェルは70カ国以上の国々で、平均8万3,000人の従業員が働くグローバルなエネルギーおよび石油化学企業グループであり、先端技術を利用した革新的なアプローチによって、持続可能なエネルギーの未来への構築に貢献することを目標としております。
日本では主に、液化天然ガス(LNG)、再生可能エネルギーおよびエネルギーソリューション、化学品、プロジェクト&テクノロジーの分野において、日本のお客さまやパートナー、多岐にわたるステイクホルダーとの関係構築・維持を担っています。
時価総額は229億5,320万ドルで、日本円で約3兆7,700億円となっています(1USD=161.50円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「統合ガス事業(Integrated Gas)」で、続いて「アップストリーム事業(Upstream)」、「化成品事業(Chemicals and Products)」、「マーケティング事業(Marketing)」、「再生可能エネルギーソリューション事業(Renewables and Energy Solutions)」となります。
「統合ガス事業」では、液化天然ガス(LNG)と天然ガスの液化ガス(GTL)燃料およびベースオイルへの転換が含まれており、「アップストリーム事業」では、原油、天然ガス、天然ガス液体を探鉱・採掘するとともに、石油・ガスの販売・輸送、およびそれらを市場に供給するために必要なインフラの運営を行い、「化成品事業」では、原油やその他の原料をさまざまな製品に変える製油所や、独自の販売網を持つ化学品製造工場が含まれています。
競合他社
競合他社は楽天証券では開示されていません。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は今年に入って増配しています。
直近の決算において、今後3カ月間で35億ドルの自社株買いを実施する事、コスト削減や採算性の高い事業を重視する事を発表しており、それらが好感され株価は上昇しています。
前年同期比でも調整後利益、フリー・キャッシュフローは拡大し、現金資本支出、純負債は削減しており、これらを原資に過去12カ月間に132億ドルの自社株買いを実施したと決算で発表しています。
パリ協定の気候変動目標を達成するため、6月にはカナダのアルバータ州において2028年末に操業予定の炭素回収プロジェクトPolarisへの投資を行うことを決定しており、今後も社会課題に取り組みつつ業績の堅調な同社への投資が期待されます。
業績動向
2024年5月2日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。
決算を受けて、自社株買いの発表もあったおかげか株価は上昇しています。
決算について会社側は、2024年第1四半期の調整後利益は77億ドルで、事業全体の堅調な営業実績を反映しており、シェルは当四半期も堅調な事業業績と財務業績を達成し、より少ない排出量でより多くの価値を提供することに引き続き注力していることを実証しましたと発表しています。
6月にはシンガポールに本社を置く、アジアと欧州においてLNG取引、海運、天然ガス供給、マーケティング活動を網羅しているパビリオン・エナジーを買収すると発表しており、今後も事業拡大とそれに伴う堅調な業績が期待されます。
次回2024年8月1日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
原油の需要減少などにより、コロナ発生の時には株価が大きく下落しましたが、今後も市況環境による原油価格の下落には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.752ドル
配当利回り:3.77%
株価:72.93ドル(約1万1,700円)
この銘柄、権利落ち日は8月中旬の予定(権利実施は9月下旬)です。
配当利回りは7月10日時点で3.77%、株価は7月10日終値が72.93ドルでおよそ1万1,700円から購入できます(1USD=161.50円計算)。
2022年からの最高値は74.17ドル、最安値は44.64ドルとなっています(終値ベース)。
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