1.TOPIX-17各セクターのパフォーマンスは過去1年半で大きな優劣の差がついた

 図表1は、TOPIX-17各セクターとTOPIX(東証株価指数)のパフォーマンス分析です。横軸が2023年の年間パフォーマンス、縦軸が2024年のパフォーマンス(6月20日まで)です。バブルの大きさは直近の指数時価総額に基づきます。

 過去1年半程度のパフォーマンスは、ご覧のように大きな優劣がついており、「エネルギー資源」「商社・卸売」「銀行」「機械」「電力・ガス」「金融(除く銀行)」「自動車・輸送機」などはかなり優位であった一方、「医薬品」「運輸・物流」「小売」「情報通信・サービスその他」はかなりの劣位となりました。

 これらの優劣差がどこから来ているのか、そして、今後はどのような展開になるのかについて、今回、予想してみることにしました。

[図表1]TOPIX-17各セクターとTOPIXの株価指数パフォーマンス

期間:(横軸)2022年12月末~2023年12月末
期間:(縦軸)2023年12月末~2024年6月20日
※バブルの大きさは2024年6月20日時点の指数時価総額に基づく
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

2.パフォーマンスの優劣差は、業績動向の影響を受ける傾向にある

 図表2は、TOPIX-17各セクターとTOPIXの業績動向の分析です。セクター指数のEPS(1株当たり利益)の変化率について、横軸を2023年度のEPS変化率、縦軸を2024年度のEPS変化率予想(Bloombergコンセンサス予想)で見ています。

 図表1と見比べてみると、株価パフォーマンスと業績動向は必ずしもぴったり一致していないものの、それなりに関係が深いことが分かります。

 パフォーマンスが良かったセクターのうち、「金融(除く銀行)」「銀行」「機械」「自動車・輸送機」「電力・ガス」については2023年度と2024年度のいずれかは大きく増益していますし、悪かったセクターでは「医薬品」「運輸・物流」の業績はさえませんでした。

 ただし、「エネルギー資源」「商社・卸売」「情報通信・サービスその他」「小売」は株価パフォーマンスと業績動向の関連性が弱いことも分かります。「エネルギー資源」「商社・卸売」は株主還元テーマが株価を押し上げた影響が出ているようです。

[図表2]TOPIX-17各セクターとTOPIXのEPS成長率

期間:(横軸)2023年度(実績)
期間:(縦軸)2024年度(Bloombergコンセンサス予想、6月21日時点)
※バブルの大きさは2024年6月20日時点の指数時価総額に基づく
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

3.今後に期待できるセクターはどれか?

 では、今後のパフォーマンスが期待できるセクターはどれでしょうか?

 図表3は図表2のグラフの軸を1年ずらしたもので、横軸を2024年度EPS変化率予想、縦軸を2025年度EPS変化率予想(共にBloombergコンセンサス)で見たものです。

 前回の同コラムで触れた「素材・化学」の業績予想が非常に良いことが際立つほか、「銀行」「建設・資材」「小売」「機械」なども良さそうです。業績と株価パフォーマンスの関係性が保たれれば、こうしたセクターが期待できるでしょう。

 一方、2024年の株価パフォーマンスが最高に良い「金融(除く銀行)」は2025年度が減益予想となっており、この先は警戒が必要かもしれません。ただし、同セクターは損保セクターの株主還元期待があるほか、証券セクターは株式市場が高値を更新していけば業績予想が大きく上方修正される期待もあり、悲観ばかりではありません。

 情勢は変わりゆくものなので、TOPIX-17セクターについて今後も当コラムで時々フォローしていきたいと考えています。

[図表3]TOPIX-17各セクターとTOPIXのEPS成長率

期間:(横軸)2024年度(Bloombergコンセンサス予想、6月21日時点)
期間:(縦軸)2025年度(Bloombergコンセンサス予想、6月21日時点)
※バブルの大きさは2024年6月20日時点の指数時価総額に基づく
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 建設・資材(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1619)
NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1620)
NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1624)
NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1630)
NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1631)

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