日経平均、4月以来の高値。最高値更新も?
先週の東京市場では、日経平均株価が足元のレンジ上限である3万9,300円水準を上振れました。5月、6月の戻り高値を更新し、4月以来の3万9,700円台まで回復する場面も見られました。
買いの主体は明確には分かっていませんが、プライム市場の売買代金がさほど盛り上がっていない状況下で、日経平均先物の売買枚数が増加し、TOPIX(東証株価指数)コア30が比較的買われている地合いは、今年1月中旬に見られた外国人投資家による日本株買いの地合いを思い出させる内容です。
仮に外国人投資家が日本株を買いに動き出したとすれば、日本銀行による金融政策の正常化の流れをポジティブに見た動きかもしれません。そして、外国人投資家がこの水準で時価総額が大きい主力株を買ってきたのであれば、日経平均およびTOPIXの史上最高値更新も十分期待できるでしょう。
この辺は、4日の大引け後にJPX(日本取引所グループ)から発表される投資部門別売買状況で詳細が分かりますので、こうご期待です。
新紙幣、いよいよ発行!メリットが期待できる5銘柄
さて、2024年も折り返しを迎えましたが、3日に今年注目のイベントがスタートします。新紙幣の発行です。20年ぶりとなる新紙幣には、デザインの変更や偽造防止の透かし、三次元ホログラムなど世界初の技術が採用されます。
クレジットカードや交通系カード、QR決済など現金以外の支払い手段が増えていますが、新紙幣をぜひ見たい、という願望は根強いでしょう。もしかしたら、7月は新紙幣を一目見たいあまりクレジットカード決済やQR決済などのキャッシュレス決済の利用回数が減少するかもしれませんね。
新紙幣の発行に関しては、ATMや自動販売機や自動券売機などで新紙幣に対応するための回収や買い替え特需が発生します。一部の飲食店では、まだ自動券売機の入れ替えが終わっておらず、引き続き需要が見込めるとの話です。これらの買い替えにかかる費用などの市場規模は1兆円ほどと試算されており、経済波及効果はそれなりに大きいと考えます。
今回は、企業発表などから想像しうる範囲での銘柄紹介となりますが、新紙幣の発行でメリットがありそうな銘柄を5つご紹介します。想像の範囲ではありますが、今後業績発表のタイミングで「新紙幣の発行による駆け込み需要」といった文言が出る可能性もあることで注目したいと思います。
銘柄名 | 株価(円) (7月2日終値) |
ポイント |
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王子HD(3861)P | 619 | 日本資本主義の父である渋沢栄一が最初に設立した企業 |
スマレジ(4431)G | 2,292 | 新紙幣関連銘柄として年初来安値圏からのリバウンドに期待 |
日本金銭機械(6418)P | 1,346 | 海外売上高比率7割超。想定為替は1ドル=140円と保守的 |
グローリー(6457)P | 2,844 | 国内貨幣処理機ではシェア5割を占める |
ムサシ(7521)S | 1,802 | 新貨幣関連のほか、選挙関連の一角としても注目 |
※HDはホールディングス、Pはプライム市場、Gはグロース市場、Sはスタンダード市場の略 |
王子HD(3861)
同社は、今回1万円札の顔として登場する渋沢栄一が設立に携わった「抄紙会社」を起源としています。1873年、銀行経営とともに始めた事業が抄紙会社で、その後王子製紙となり日本産業の発展を支えてきました。環境対応や海外展開を積極的に進め、2012年に現在の王子ホールディングスとなりました。
時価総額が大きく日経平均採用銘柄でもあることから、思惑的な買いは限定的となりそうですが、渋沢栄一関連銘柄の筆頭でもありますので頭には入れておきたいと考えます。
渋沢栄一は日本資本主義の父と呼ばれ、実に500ほどの会社設立に携わりました。現在でも存続する企業は167社、うち上場企業は99社あります。
一例を挙げると、みずほフィナンシャルグループ(8411)、日本銀行(8301、出資証券)、ENEOSホールディングス(5020)、東京電力ホールディングス(9501)、サッポロホールディングス(2501)、日本郵船(9101)、清水建設(1803)、IHI(7013)、電通グループ(4324)、大日本印刷(7912)、日本取引所グループ(8697)、第一三共(4568)など多業種に及びます。
スマレジ(4431)
スマホを使用したPOSレジアプリシステムなどを展開しています。2024年4月期業績は、自動釣銭機の新紙幣対応による特需を受けて、大幅な増益となりました。主力のクラウド型POSレジシステム「スマレジ」の顧客獲得が順調に進み、利用料収入が伸びていることなどから、2025年4月期も二けたの増収増益を見込んでいます。
株価は6月20日に年初来安値1,859円をつけましたが、足元で急反発を見せています。7月は新紙幣関連銘柄の一角として強い動きを見せるかもしれません。
日本金銭機械(6418)
小売業や交通向けのほか、主に米国カジノ市場向けの紙幣識別機や紙幣還流装置を展開しています。世界140を超える国や地域の貨幣に対応しているのが強みで、海外売上高比率は7割超に上ります。
海外売上高比率が非常に高いので、今回の新紙幣の発行に伴う特需などは限定的と考えます。ただ、社名のイメージなどから新紙幣関連銘柄の一角との見方は強いと言えます。
ちなみに2025年3月期営業利益および当期純利益は減益見通しとしていますが、想定為替レートは1ドル=140円、1ユーロ=150円とかなり保守的な内容。今後業績予想を上方修正する余地は十分あるでしょう。
グローリー(6457)
銀行や小売業向けの貨幣処理機で国内シェア5割を占めています。国内外で製品・サービスの販売が好調なことに加えて、国内市場で新紙幣発行に伴う改造作業の実施件数が想定より増加することなどから、2024年3月期の業績は大幅な増益となりました。
2025年3月期の新紙幣発行に関する改造作業の売上高は約50億円と、前期の10分の1ほどに減少する見込みですが、新紙幣関連銘柄では最も業績にプラスがあった銘柄と考えますので、7月は見直しの動きに注目します。
ムサシ(7521)
紙幣計数機などを展開しており、貨幣処理機では国内2位を誇っています。新紙幣発行需要の特需がはく落することで、2025年3月期の金融機関向け機材は落ち込む見通しですが、ほぼ織り込まれている話と考えます。
市場では、新紙幣関連の一角のほか、投開票管理システムも展開していることから、選挙関連銘柄の一角としても広く知られています。自由民主党総裁選挙を9月に控え、足元では自民党有力者から総裁選出馬の話も多く聞かれ始めています。衆議院解散の話も出ていることから、同社の動向には関心を高めておきたいところです。
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