2024年3月本決算は予想上振れ、主力のダウン衣料好調も冬物以外を強化へ

現地コード 銘柄名
03998

波司登国際控股

(ボスドン・インターナショナル)

株価 情報種類

4.56HKD
(6/28現在)

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 中国のダウン衣料最大手、波司登国際の2024年3月本決算は、EPS(1株当たり利益)伸び率が前年比43%に達し、かなりの高水準にあった市場コンセンサス予想からさらに8%上振れた。BOCIによると、マクロ経済面の逆風にもかかわらず、製品価格を維持できるのはまれな事例。ダウンジャケット以外の新商品の投入や販売代理店向けの優遇策の強化など、利益率の低下につながる要因もあったが、ブランド力を維持している限り、マイナス影響は許容範囲にとどまる可能性が高い。BOCIは短期的には、2024年度のような力強い成長の再現には期待しにくいとしながらも、現在株価の配当利回りは魅力的な水準にあり、バリュエーションにも割高感はないとの見解。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 2024年3月通期の売上高は前年比38%増の232億元と、市場予想を上回る水準(下期は前年同期比49%増収)。強力なコスト管理により、営業利益は56%増。のれん代減損7,000万元の計上と実効税率の上昇にもかかわらず、43%のEPS伸び率を確保した。冬のピーク期(2023年11月23日-2024年1月24日)におけるダウン衣料の好調に加え、各部門の効率化が寄与し、卸売売上高は68%増。レディースウエアは17%増収だった。

 主力のダウン衣料への依存度の軽減を進める同社は、日焼け防止など機能性衣料を含む新製品の立ち上げに成功。2024年度の通期売上高は5億元に達した(売上全体の約2%)。利益率はダウン衣料より低くても、店舗レベルの粗利益率は60-70%を維持する見通しという。同社は今後3年で、ダウン以外の売上構成比を10-20%に引き上げる目標を掲げる。個人消費が低迷する中、新製品による販売押し上げ効果が期待される。

 主力の「波司登(Bosideng)」ブランドの店舗数は2,977店と、期中に186店減少したが、売上高は43%増。店舗売上高(直営店)が70%増の月平均100万元を記録した。季節要因やマクロ要因に対処するため、冬物以外を強化したことが奏功したとみられる。

 2025年度に注目されるのは、2024年12月に元本2億7,500万米ドル(約17億元)の転換社債が満期を迎えること。経営陣は大半が株式への転換権を行使するとみているが、仮に全額返済する必要が生じてもEPSの希薄化は約5%で、キャッシュフローへの影響は限られる見込み。BOCIは2025年度の配当性向も前年並みの約80%を維持するとみる。

 BOCIはダウン衣料の販売好調と同時に、ダウン以外の製品と卸売りの比重拡大に伴う粗利益率の縮小圧力を反映させる形で、2025-26年度の予想EPSを9%、2%増額修正した。2026年度までに年商300億元(2024-26年度に年率平均15%増収)を目指す同社の目標は達成可能との見方。直近決算で示された実行力やブランド力を評価し、株価の先行き見通しを強気に引き上げた。新たな目標株価は2025年度、2026年度の予想PER(株価収益率)で14倍、13倍の水準となる(前回までは2025年度予想PERで13倍)。