大型セール「618」の第1週はGMV14%増、各社一斉にライブコマース強化
中国EC(ネット通販)市場の一大セールイベント「618」では、第1週目のGMV(流通取引総額)が前年同期比14%の伸びを示した。景気が低迷し、競争が激化する中、各社が高コスパ商品の提供やソーシャルコマースを活用した販促を強化したことが、GMVの2桁増に寄与した。BOCIは個別では、万能アプリ「微信」上でECサービスを展開するテンセント(00700)に対して強気。EC効果という新たなカタリストがクラウドビジネスと広告業務の成長を後押しするとみて、同社をECセクターおよびインターネット・セクターのトップピック銘柄に格上げしている。
今回の「618」では従来型の2大ECプラットフォームであるアリババ集団(09988)傘下の「淘宝」とJDドットコム(09618)の「京東」が、先行予約方式を取り止めた。後発の低価格ECであるピン多多や中国版TikTok「抖音」などとの競争に直面する中、購入プロセスを簡素化し、トラフィックや購入頻度を高める狙い。多額の補助金や人気商品の提供はGMVの押し上げ要因となるが、BOCIはECのフォーマット変化がこの先さらに、既存プラットフォームのトラフィックを希薄化させる可能性があると指摘している。
トラフィックの維持・拡大を目指すEC各社は軒並み、人気の高いライブストリーミングの強化に動いている。テンセントは取扱品目の拡大や多くのインフルエンサーの起用を通じて、「微信」上のライブコマースを強化。「微信」の1-3月期の総利用時間数を前年同期比80%拡大させた。また、JDドットコムや小米集団(01810)の創業者ら大物企業家は相次いでライブコマース・イベントを開催。これに続き、淘宝は6月5日、企業幹部が自ら、自社を宣伝する方式の新たなライブコマースをスタートさせた。
BOCIは詐欺や虚偽・誇大広告に対処するための規制強化に言及した上で、消費者のニーズに応える持続可能な手法としてライブコマースを高く評価。多層的な消費アプローチを持つプラットフォームが有利になるとの見通しを示した。個別ではテンセントをトップピックとし、次にアリババ集団を有望視している。テンセントは特にファッション、スポーツアパレルなどのカテゴリーで、JDドットコムなど従来型大手ECの市場に食い込みながら、リテールチャネルのトラフィックを拡大させている。
BOCIはテンセントがEC加盟店やブランド企業にクラウドサービスを提供することで、後発となったEC事業の大幅な収益化に成功しつつあると指摘。さらにオンライン広告収入の拡大を、同社に対する強気見通しの理由に挙げた。現在株価は過去3年のレンジに対してマイナス1標準偏差の水準にあるが、ECという新たな成長要因を支援材料に、この先の再評価が期待できるとしている。BOCIはまた、テンセントだけでなく、JDドットコム、アリババ集団の株価の先行きに対しても強気見通しを付与。レーティング面の潜在リスク要因としてはマクロ経済面の不確実性を挙げている。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。