「618」商戦は混戦模様か、GMV好調も過当競争下で採算悪化の可能性
中国ではネット通販の一大セールイベント「618」の2024年版が幕を開けたが、BOCIは今回の「618」商戦について、消費財ブランドが混戦模様を呈するとみる。大手ブランドの積極的なプロモーションで、期間中のGMV(流通取引総額)は好調に推移する見通しだが、競争は依然厳しく、2024年4-6月期の収益性の後退につながる恐れがあるとの見方。また、従来型のECプラットフォームから、その他の新興プラットフォームへのシフトが進むと予想。投資家にとってはブランド各社の販売成績に関する予測がさらに難しくなるとした。それでも、BOCIは大手ブランドの集客力を理由に、4-6月期の業績を楽観。セクター全体の指標になるとして、まずは宝飾品の周大福珠宝(01929)、アパレルの波司登国際(03998)の2024年3月本決算に注目している。
2024年の「618」商戦では、アリババ集団(09988)系の「淘宝」やJDドットコム(09618)の「京東」といった大手ECプラットフォームが先行販売の仕組みを廃止。従来より購入方法を簡素化した。トラブルの回避による消費者体験の改善などが目的という。
セール中の利用の仕組みや期間が変わったため、今回の「618」のGMVと前年との比較は困難。また、ブランド各社は淘宝や京東などの従来型大手ECではなく、「抖音」(中国版TikTok)や「小紅書」といった急成長中のSNS系新興プラットフォームに予算を振り向けるとみられ、従来型大手のGMVに影響する可能性がある。
個人消費が低迷する中、「618」イベントはブランド各社が売り上げの反転につなげる好機。特にアパレルは低迷しており、中国の小売売上高全体が1-4月に前年同期比4.1%増加したのに対し、アパレルは1.5%増。4月単月では前年同月比2.0%減少した。「618」商戦ではアパレル各社が採算悪化を度外視し、積極的に値下げを行う可能性が高い。
「618」はまた、旗艦商品のプロモーションの場でもある。今回はスポーツ用品大手の李寧(02331)の「絶影3」、ポップマート(09992)の自社IP「LABUBU」のブロック玩具、白物家電の海爾智家(06690)の「Casarte」シリーズなどが注目されるという。
一方、周大福珠宝と波司登国際は6月中に、2024年3月本決算を発表する予定だが、BOCIによれば、現在のマクロ経済環境下では、サプライズは期待しにくい。うち周大福珠宝は好決算が予想されるものの、金価格の高騰と前年実績の高さから、続く2025年3月期については慎重見通しを示す可能性がある。波司登国際は自社ブランド製品やUVカットなどの新製品の販売好調が見込まれるが、同社の場合は季節要因が大きく、利益見通しの明確さという点で限界があるという。
BOCIは一般消費財セクターのカバー銘柄の中で、安踏体育用品(02020)、周大福珠宝、海爾智家、ポップマートの株価の先行きに対して強気見通しを付与。波司登国際と李寧に関しては中立見通しを示している。
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