1.半導体のおかげで人々の生活は便利になった

半導体の高度化や価格の廉価化を通じて、さまざまな分野で人々の生活は便利になった

 今回はこのところ好調に推移している半導体産業や関連株を取り上げます。

「そもそも半導体とは何か?」というと、日本半導体製造装置協会によれば、「半導体とは、電気を良く通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との、中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のこと」とありますが、あまりなじみのないものなのでイメージをしにくいと思います。

 そこで、私は半導体について「人々の生活を便利にしてくれる不思議な物体である」と考えることにしています。投資を考える上ではこの理解で十分だと思っています。

 図表1(イメージ図)は、半導体によって人々の生活が便利になった事例です。半導体の高度化や価格の廉価化を通じて、半導体の活用がさまざまな分野に広がり、人々の生活が便利になりました。

 例えば、「計算」の分野では、その昔、計算する便利な道具は「そろばん」でした。しかし、半導体の誕生で「電卓」が生まれ、半導体が高度化したことや値段が下がったことで「パソコン」が誕生するなど、人々は複雑な計算を簡単にできるようになりました。

 そして、今や「富岳」のようなスーパーコンピュータが誕生し、複雑な気象予報が可能になり、新型コロナウイルスのワクチン開発の高速化など、非常に高度な計算もできるようになりました。

 次に身近な「コミュニケーション」の分野を考えてみると、その昔、コミュニケーションの手段は「手紙」でした。それが半導体の誕生で「電話」が生まれ、半導体が高度化したことや値段が下がったことで「携帯電話やスマホ」が誕生するなど、人々はコミュニケーションが簡単にできるようになりました。

 そして、今や「LINEやFacebook」のようなSNSが誕生し、離れた場所にいる多くの人々とカンタンにつながることができるようになっています。

 最後の例は「医療」です。昔から存在する医療器具といえば「聴診器」です。それが半導体の誕生で「X線装置」が生まれ、半導体が高度化したことや値段が下がったことで「CTスキャン」のような高度な医療検査機が誕生、人々の健康維持に役立っています。そして、今や「手術ロボット」が誕生し、離れた場所にいるドクターが手術できるようになっています。

 これ以外にもたくさんの事例が思いつくと思います。身近な例でいえば、電子マネー、カーナビゲーション、高度な電子レンジなど。半導体が高度化/安価になることで、人々の生活はどんどん便利になってきたのです。

[図表1]半導体が人々の生活を便利にしてきた事例

※上記は一例で、画像はイメージ図です。
(作成)野村アセットマネジメント

2.過去34年間の半導体市場は高成長

過去34年間で、世界の半導体売上高は11.9倍に成長

 前述の通り、半導体のおかげで人々の生活がどんどん便利になりましたが、その原動力となった半導体の市場規模(世界売上高)は、図表2のように過去約34年間で11.9倍に成長しました。年率換算すると7.5%ほどです。

 同じ34年間の世界の経済成長を振り返ると、IMF(国際通貨基金)が算出する成長率では、新興国も含む全世界が5.2倍(年率5.0%)で、先進国だけなら3.7倍(年率4.0%)となっており、半導体市場が世界の経済成長を大きく上回る成長をしてきたことが分かります。

 ただし、注意すべき点は短期的にはかなり凸凹があったことです。短い期間で見ると、大きく増えたときもあれば大きく減ったときもありました。しかし、この凸凹を正確に予測することは非常に困難です。ですので、半導体市場を見る上では、あくまでも長期的視点に立つ必要があります。この点は大いに注意しましょう。

[図表2]世界半導体売上高の推移

期間:1990年1月~2024年3月、月次
SIA(米国半導体工業会)のデータに基づく、3カ月移動平均。
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

3.過去12年余りの半導体関連株も好パフォーマンス

日米の半導体関連株指数は市場平均を大幅に上回るパフォーマンス

 最後に、半導体関連株のパフォーマンスを見てみましょう。図表3は日米を代表する半導体関連株指数と市場全体指数の推移です。日本は「日経半導体株指数」で今年3月から指数の公表が始まりました(2011年11月末からさかのぼって算出)。米国はそれ以前から公表されている「フィラデルフィア半導体株指数」です。

 図表3に見られるように、日米の半導体関連株指数は、共に両国の市場全体指数であるTOPIX(東証株価指数)やS&P500種指数を大きく上回るパフォーマンスを実現してきました。

 半導体市場の拡大が経済全体を上回ってきたように、過去12年余りですが、株価面でも半導体関連株指数が市場平均を大きく上回るパフォーマンスとなりました。ただし、売上高同様、短期的には株価も大きな凸凹が観測でき、短期投資よりも長期投資が望ましいと考えています。

 半導体は人々の生活を便利にしながら成長してきました。今後も、半導体が活用される分野がどんどん広がっていくことが期待され、幅広い分野で人々の生活を便利に変えていくことで、半導体産業は大いに成長が期待できると考えています。

 [図表3]日米半導体関連株指数と市場指数の推移

期間:2011年11月末~2024年4月末、月次
※日経半導体株指数とTOPIXは円ベース、フィラデルフィア半導体株指数とS&P500は米ドルベース
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(証券コード:200A)

<当資料で使用した指数と著作権等について>
■日経半導体株指数
・「日経半導体株指数」は、株式会社日本経済新聞社(以下「日経」という。)によって独自に開発された手法によって、算出される著作物であり,日経半導体株指数自体及び日経半導体株指数を算出する手法に対して、著作権その他一切の知的財産権を有しています。日経は日経半導体株指数を継続的に公表する義務を負うものではなく、公表の誤謬、遅延または中断に関して、責任を負いません。日経は、日経半導体株指数の構成銘柄、計算方法、その他日経半導体株指数の内容を変える権利及び公表を停止する権利を有しています。

・日経半導体株指数は、S&P Dow Jones Indices LLCの子会社であるS&P Opco, LLCとの契約に基づいて、算出、維持されます。S&P Dow Jones Indices、その関連会社あるいは第三者のライセンサーはいずれも日経半導体株指数をスポンサーもしくはプロモートするものではなく、また日経半導体株指数の算出上の過失に対し一切の責任を負いません。「S&P®」はStandard & Poor’s Financial Services LLCの登録商標です。

■TOPIX(東証株価指数)
TOPIX(東証株価指数)に係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社(以下「JPX」といいます。)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用などTOPIX(東証株価指数)に関するすべての権利・ノウハウ及びTOPIX(東証株価指数)に係る標章又は商標に関するすべての権利はJPXが有します。JPXは、TOPIX(東証株価指数)の指数値の算出又は公表の誤謬、遅延又は中断に対し、責任を負いません。

■S&P500
S&P500株価指数はスタンダード&プアーズ ファイナンシャル サービシーズ エル エル シーの所有する登録商標です。

■フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)はNasdaq🄬、PHLX Semiconductor Sector Index TM、SOXSMはNasdaq, Inc.の登録商標です。