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銘柄名 | Chordia Therapeutics | |
銘柄コード | 190A | |
上場市場 | 東証グロース |
1,会社の経営の基本方針
当社は、「日本発」「世界初」のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに届けることで、『Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現』を目指しています。ファーストインクラス抗がん薬を創ることを設立以来のミッションに掲げ、その実現を通じて、2030年には日本発の研究開発型の製薬会社に成長していくことをビジョンとして掲げております。
2,事業の概要
(1)ビジネスモデル
当社は、新規抗がん薬が市販されることを目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。医療ニーズの高いがん領域で、新しい作用を有する低分子の医薬品研究開発が主要な事業の内容です。当社がマネジメントと研究業務(探索研究、前臨床研究、臨床研究(第1相臨床試験、第2相臨床試験))に集中し、基礎研究、原薬及び製剤の製造、流通・販売などは各外部協力先を活用することで、自社での製造販売までを視野に入れたビジネスを進めております。
パートナリングに関する方針、考え方
当社における事業提携の基本戦略は、パイプラインが医薬品として市販される蓋然性が高まったタイミングで日本国外の販売権についてライセンス交渉を行う事です。第2相臨床試験の成功確率が最も低いとされており、第2相臨床試験が成功してパイプラインが医薬品として市販される蓋然性が高まったタイミングは、パイプラインの価値が高くなるタイミングと当社は考えています。
(2)ファーストインクラスの抗がん薬を生み出すための研究開発
ファーストインクラスの医薬品は、既存治療薬と異なる有用性を示すことが期待され、これまでの治療法を大きく変えることができる医薬品に成長する可能性があると考えています。特に既存治療薬では十分な効果が認められず、現在のがんの進行に不安を感じている多くの患者に対して、がんの進行をコントロールできるという希望を届けられる可能性を秘めております。医薬品市場の観点からは、既存治療薬と異なる有用性を示すことから、薬価算定の際にその有効性や新規性に応じた高い価格が設定されることが多く、数多くのグローバル製薬企業が非常に高い関心を持っていると考えています。そのため、ファーストインクラスの医薬品にフォーカスしたパイプラインを複数有する当社は、グローバル製薬企業との共同開発やライセンス契約等の機会を積極的に検討しながら事業の価値最大化をめざすことが可能になります。
(3)当社の研究領域
抗がん薬の標的となる分子を見つけ出すには、がんのホールマーク(特徴)、つまり、がん細胞が正常細胞と比べてどのように異なるのかを明らかにすることが重要です。近年、最新の研究によって、RNA制御ストレスが新たなホールマークとして認識されるようになりました(右図、枠内がRNA制御ストレス)。がんのホールマーク(特徴)に着目した医薬品開発はこれまでにも盛んに行われてきており、優れた抗がん薬が多数生み出されてきたことから、高い効能を有する抗がん薬の開発において有効な研究戦略であると考えています。
がんのホールマークであるRNA制御ストレス
がん細胞ではRNAを生成する複数の過程が乱れ、正常細胞に比べてがん細胞では過剰に負荷がかかっている状態です。当社の研究開発は、この新たに同定されたがんのストレス表現型である、RNA制御ストレスに焦点を当てています。当社のパイプラインは、異常RNAをさらに生成、蓄積させることでがん細胞に追加の負荷をかけて死に至らしめるという科学的なコンセプトに基づいています(右図)。RNA制御ストレスを標的としたがん治療薬は未だ医薬品として市販されていません。当社は、このRNA制御ストレスに注目して低分子医薬品の研究開発を行っており、当領域におけるリーディングカンパニーを目指して、新しい抗がん薬の研究開発を行っています。
(4)パイプラインの概要
当社は現在、2つの臨床パイプライン(CLK阻害薬、MALT1阻害薬)に加えて、1つの前臨床研究段階のパイプライン(CDK12阻害薬)、探索研究段階のパイプライン2つ(GCN2阻害薬、新規パイプライン)、合計5つのパイプラインを保有しています。そのうちMALT1阻害薬は全世界での開発及び商用化の権利について小野薬品工業株式会社とライセンス契約を締結しておりますが、その他のパイプラインは全世界での権利を当社が有しています。
上記の情報には将来見通しに関する記載が含まれており、それらは様々な前提ならびに現在入手可能な情報に依拠し様々なリスクが顕在化しないと仮定して形成された当社の経営陣の見解及び判断に基づいている。そのため、臨床試験または新薬の承認の進捗、時期または結果について、当社は表明または保証を行うことはできず、また、行わない。実際の結果は上記の将来見通しに関する記載から(潜在的には非常に大きく)異なることがある。 |
(1)CTX-712, CTX-439及びGCN2, と異なり、CTX-177の標的であるMALT1については、RNA制御ストレスを対象としていません(2)CS:Candidate Selection(臨床候補化合物選定)、(3)IND:Investigational New Drug Application(治験申請)、(4)LPI:Last Patient In(被験者登録の終了)
(5)収入形態
当社が得る収入は、当面の間は、ライセンス契約に基づく提携企業からの収入を想定しています。ライセンス契約の収入には、「契約一時金」「開発マイルストン収入」「販売マイルストン収入」「ロイヤリティ収入」があります。また、当社は自社でも製造や販売する体制を構築することを視野にいれてパートナー企業との戦略的提携を進めていますので、今後のビジネスの進展により自社で製品を販売して得る収入も想定しています。
当社は、2020年12月に小野薬品工業株式会社との間で全世界におけるCTX-177の独占的ライセンス契約を締結いたしました。この契約に基づき、現在までに契約一時金及び開発マイルストンとして33億円を受け取っております。今後、開発が順調に進んだ場合には、さらなる開発マイルストン収入を受け取るだけでなく、申請・承認された後で販売マイルストン収入やロイヤリティ収入を受け取る事ができます。
<事業収益の類型>
*:現時点での受領実績はないが、受領するために必要なライセンス契約は既に締結されている。
**:現時点では自社で製品を販売する意思決定は行われていないため、計画上で想定される「製品の販売収入」については表中に記載されていない。
3,個別パイプラインの状況
(1)RNA制御ストレスに焦点を当てたパイプライン
RNAを生成する過程を標的とした抗がん薬は未だに市販されていません。当社はこれらに対するパイプラインを有しており、いずれのパイプラインも同じ作用を持つ医薬品は市販されておらず、ファーストインクラスの医薬品になる可能性を有しています。特に当社のリードパイプラインであるCTX-712により、RNA制御ストレスを標的とした抗がん薬の有用性が立証されれば、RNA制御ストレスを対象とした抗がん薬の開発において新たな一歩が示せると考えています。
また、がん特有のホールマークは複数のがん種において共通して認められることから、このホールマークに焦点を当てた創薬研究は一つのがん種に限定されず、多くのがん種に対して適応できることが期待されます。実際に、既知のホールマークを標的とした医薬品は、市販された後に適応とされるがん種が拡大され、ブロックバスターとして成長したケースがあり、当社が焦点を当てるホールマークであるRNA制御ストレスにおいても同様、幅広いがん種に適応する可能性があると考えています。
DNA、RNA及びタンパク質に係るストレスを標的とした市販されているがん治療薬の現状と当社パイプライン
(2)当社のパイプラインの標的となるRNAを生成する過程
DNAは生命活動の維持に不可欠な、タンパク質を合成するための設計図として機能しています。DNA上の遺伝情報は、メッセンジャーRNA(mRNA)へ写しとられ、このmRNAの情報をもとにタンパク質が作られます。当社のパイプラインは、mRNAを生成する過程に対して作用し、RNA制御ストレスを増大させます。イメージ図においては、A:転写を調節するCDK12、B:スプライシングを調節するCLK、C:RNA輸送を調節するGCN2、D:RNA分解を調節する新規パイプラインとして記載しています。
(3)リードパイプラインCTX-712の臨床試験での成績
患者を対象にした国内第1相臨床試験からは、標準治療が無効な再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、及び卵巣がんでCTX-712に対する奏効を確認しました。非臨床試験である動物モデルと実際の臨床試験が大きく相違ない結果であり、CTX-712は特定の特徴を有する複数種類のがんにおいて効果が期待されると考えております。
4,用語説明(五十音順)
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