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著者の白石 定之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均の下落は一時的か? それとも本格下落の始まりか?」
企業業績動向から読み解く日経平均の現状
日経平均株価(225種)は3月末の4万円台から3万7,000円台に下落し、投資家の中には、この下げが一時的なものなのか、それとも本格的な下落の始まりなのか、最近まで大きく上昇してきた後だけに、気になっている方も多いと思います。
私は日経平均の動きについて、景気循環をベースとして、企業業績の動向と併せてみていますが、企業業績の動向から見たときに、足元の下落が一時的なのか、それとも本格下落の始まりなのか、どう見えるのかについて、今回お伝えしていきたいと思います。
2013年以降の日経平均と企業業績の関係を見てみると、次のようになっています。
(グラフ1)日経平均と企業業績の関係(1)
グラフ1における青線は、日経平均構成銘柄の来期と再来期のアナリスト予想を基に、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の前年比増減率を示したもので、予想EPSは独自に調整し、24カ月先のEPSをイメージしたものとなっています。
日経平均と青線の関係を見ると、過去においては、日経平均が上昇している局面では、青線は右肩上がりにあるという傾向があります。
ただ、日経平均が大幅に上昇しすぎると、2021年前半のように、青線が右肩上がりでありながら下落するという局面も見受けられます。
一方で、日経平均が大幅に下落する局面は、青線がピークを付けて、右肩下がりになっている状況の中で起こっていることが見て取れます。
現在、青線は右肩上がりで、まだピークを付けていないので、足元の下落は、大幅に下落していく局面ではなく、2021年前半のように上げ過ぎの反動での下落とみています。
次に、日経平均の予想EPSについて、4週前との比較を見てみると、次のようになっています。
(グラフ2)日経平均と企業業績の関係(2)
グラフ2を見ると、青線がプラスの状態、つまり、企業業績が伸びている状態のときには日経平均は上昇しやすく、下落したとしても、その前に大幅な上昇局面があった後で、下落率も限られているように見えます。
一方で、日経平均が大幅に下落しているときには、青線がマイナスになっていて、ジグザグしながらもマイナス幅が拡大していく過程であることが見て取れます。
現在は、青線はプラスで、企業業績は伸びている状態なので、大幅に下落する局面ではなく、上げ過ぎの反動での下げとみています。
このように、グラフ1、グラフ2ともに、過去に大幅に下落した局面と現在の状況とでは異なっているため、今回の下げは一時的なものと言えるということになります。
日経平均は今後どう動く?想定される三つのシナリオ
では、少し先を見たときに、グラフ1、グラフ2から、どのようなシナリオが想定できるのかについて見ていきたいと思います。
(シナリオ1)下落は一時的で再度上昇へ
グラフ1…日経平均予想EPS前年比増減率が右肩上がりを継続
グラフ2…日経平均予想EPS4週前比増減率が1.5%以上の力強いプラスに
(シナリオ2)高値圏での横ばい状態に
グラフ1…日経平均予想EPS前年比増減率がピークアウト
グラフ2…日経平均予想EPS4週前比増減率はマイナスにならずにプラス状態を継続
(シナリオ3)本格調整へ
グラフ1…日経平均予想EPS前年比増減率がピークアウト
グラフ2…日経平均予想EPS4週前比増減率はマイナス転換
4月19日時点でどのような状況かというと、アナリスト予想において、上方修正も下方修正もどちらもなければ、グラフ1の日経平均予想EPS前年比増減率は5月末にピークを付ける形となっています。
ただ、足元においては上方修正のほうが多いので、このまま上方修正が続くと、ピークアウトの時期は後ずれしてくるという状況にあります。
一方で、日経平均予想EPS4週前比増減率が1.5%以上の強い伸びかというと、そこまでのものではないので、現在は、シナリオ1とシナリオ2の間にいるような状況と言えます。
このような状況にあるので、ここから先、どのシナリオになってくるのかは、3月決算銘柄の決算発表後にアナリスト予想がどう変化してくるかにかかっていると言えます。
少なくとも、日経平均予想EPS前年比増減率がまだ右肩上がりを続けるのか、それともピークアウトして右肩下がりに転じるのかの分岐点にあるので、決算発表後のアナリスト予想の動向にはいつも以上に要注目と考えています。
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